NoName

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泣かないよ。
私の前で転んだ君が起き上がって言った一言。
痛そうに目に涙をためている。
少し前までは泣いていたのに。今はもう立派な大人に見える。
小さな小さな体。そんな小さな体を反りあげて。
胸を力いっぱい張り上げている。

大丈夫?もういたくない?

泣きそうな君に私は問いかけた。

うん。いたくない。ぼくつよいもん。そうくんつよいもん。

今にも泣きそうな顔。
昨日まではすぐに泣きついてきたのに、自分で立派に立ち上がっている。
嬉しいような、どこか寂しいような、そんな気持ちが湧いてくる。

おかあさん。ぼくもう、なかないよ。
だってそうくん。もう大きいもん!

眩しいくらいの笑顔を私に向けて君は大きな声。
たしかに昨日よりも君が大きく見える。
笑顔の眩しい君。
お母さんの方が泣いてしまいそうになるよ。

でも、お母さんもそうくんと同じで、もう、
泣かないよ。
そうくんとは、毎日笑顔でいたいから。

そうくん。帰ろうか。

うん!

帰ったらまずは、泥を落として傷の手当と、絆創膏をしようね。そうくん。

自分で立てるようになったの。偉いね。
そうくん。

3/17/2026, 2:44:05 PM