たーくん。

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12/2/2025, 10:14:51 PM

遊具が月の光に照らされている夜の公園。
彼女に呼び出され、来たのはいいが……。
最近付き合い始めた別の彼女と連絡がつかない。
遅くても一時間で返事が来るのに、もう二時間経つ。
どうしたのだろう?
さっさと用事を済ませて、家に行ってみるか。
……この際だ。前の彼女に別れ話をしてさっさと別れよう。
「こ〜んばんは♪」
噂をすれば、彼女が現れた。
なぜか、ニコニコ笑っている。
「どうしたんだよ。こんな夜に」
「はい!これ!私からのプレゼント♪」
彼女に手渡されたのは白い箱。
プレゼント?俺の誕生日はまだ先だが……。
箱を開けると、中にブレスレット、時計、香水が入っていた。
どれも、俺が新しい彼女にあげた物だ。
なんで……こいつが持ってる……?
「うふふ♪面白い顔してる♪私に隠れて、あんな女と会っていたんだね。私だけを愛してるって言ってたのに」
「お前、あいつに会ったのか。てか、なんであいつの物がここに……あ」
暗くて気づかなかったが、こいつの服に……血のような赤い何かが、数カ所付いている。
「お前、まさか――」
「しね。裏切り者」
ニコニコしていた顔から、真顔へと変わる。
赤く染まったナイフが、俺の心臓に向かって――。
最後に聞こえたのは、泣き声だった。

12/1/2025, 10:05:56 PM

空から落ちてくる星の雫。
いつからか、空は凍ってしまい、星を閉じ込めた。
地上は年中氷点下で、数分立っているだけで凍ってしまいそうだ。
宇宙へ逃げようと考えたが、凍った空は想像以上に固く、逃げられない。
絶望しかけていたある日、空から隕石が落ちてきた。
凍った空にヒビが入り、パリン!と割れる。
「よし!これで宇宙へ逃げれ――」
空から氷の破片が大量に落ちてきて、身体に突き刺さっていく。
最後に見た光景は……氷の破片と……流れ星と……隕石が落ちてくる……地獄のような光景だった。

11/30/2025, 10:07:56 PM

夜空で輝く無数の星。
この星空の下で、僕達の物語は始まる。
「……で、なんで私達は外でマフラーを編んでるのよ」
隣で、マフラーを編んでいる彼女。
その彼女の隣で、マフラーを編んでいる俺。
「このマフラーは俺達二人で紡ぐことで、物語が始まるんだ」
「つまり、星空の下でこうして二人でマフラーを編むことが思い出になるってことかしら?」
「理解ある彼女で助かる」
「あんたがややこしいことを言うからでしょ」
確かにそうかもしれない。
まぁ、そのまま言うのが恥ずかしいから照れ隠しで言ってしまっているんだと思う。
でも、これだけは素直に言いたい。
「これからも、よろしくな」
「まっ、あんたがそう言うなら……よろしくっ」
素直に言ったら言ったで、彼女は照れてしまう。
うむ、なぜか立場逆転してしまった。
なんだか……俺も恥ずかしくなってきたぞ。
俺達は星空の下で、しばらくの間黙々とマフラーを一緒に編み続けた。

11/29/2025, 11:54:37 PM

誰も座っていない静かなホール。
舞台の上を一人で立つと、まるで世界にひとりぼっちになった気分だ。
息を大きく吸い、声を吐き出す。
だが、声はほんの少ししか出ず、以前のようにホール内に響かなかった。
病気で声が出なくなり、舞台俳優を引退することになった。
……なったというより、そうするしかなかったのほうが正しいか。
最後に舞台へ立って、舞台俳優人生の余韻に浸りたかったが、逆に虚しくなってしまう。
客席から目を逸らし、上を見上げる。
照明が、すごく眩しい。
これからも、照明の光のように輝きたかったな……。
今までの俳優人生を思い出すと、だんだんと光が滲んでいく。
パチ……パチパチパチパチ!
突然ホール内に、拍手が響き渡る。
客席の方を見ると、一緒に舞台の上で演技した仲間達が、拍手をしていた。
感極まってしまい、涙が舞台上にぽたぽたと雨のように落ちる。
「今まで、ありがとうございました!」
今出せる精一杯の声を出しながら、一礼する。
更に拍手の音が大きくなり、ホール内と心にいつまでも響き渡った。

11/28/2025, 10:59:35 PM

太陽に照らされた白を纏う植物達。
風で揺れる植物達が、寒がっているように見える。
今日の朝は……寒い。
はあーっと息を吐き出すと、白い息が出た。
もう少し、暖かくして出かけたほうがいいかも。
一旦家へ戻り、厚手のコートを着て再び外に出た。
うーん……まだ寒い。
でも、そろそろ行かないと会社に遅刻してしまう。
ひゅ〜〜〜っと、冷たい風が吹く。
ゆらゆら揺れる白を纏った植物達に見送られながら、会社へと向かった。

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