夜空で輝く無数の星。
この星空の下で、僕達の物語は始まる。
「……で、なんで私達は外でマフラーを編んでるのよ」
隣で、マフラーを編んでいる彼女。
その彼女の隣で、マフラーを編んでいる俺。
「このマフラーは俺達二人で紡ぐことで、物語が始まるんだ」
「つまり、星空の下でこうして二人でマフラーを編むことが思い出になるってことかしら?」
「理解ある彼女で助かる」
「あんたがややこしいことを言うからでしょ」
確かにそうかもしれない。
まぁ、そのまま言うのが恥ずかしいから照れ隠しで言ってしまっているんだと思う。
でも、これだけは素直に言いたい。
「これからも、よろしくな」
「まっ、あんたがそう言うなら……よろしくっ」
素直に言ったら言ったで、彼女は照れてしまう。
うむ、なぜか立場逆転してしまった。
なんだか……俺も恥ずかしくなってきたぞ。
俺達は星空の下で、しばらくの間黙々とマフラーを一緒に編み続けた。
11/30/2025, 10:07:56 PM