ギラギラとかがやいているたいよう。
こんなにいいてんきなのに、ぼくはひとり。
こうえんでは、みんなたのしそうにあそんでいる。
なかまにいれてって言ったけど、いやそうなかおをされたから、やっぱりいいってことわった。
ひとりでブランコにのっているのはあきた。
ひとりですべり台をすべるのもあきた。
ひとりですなばであそぶのもあきた。
ひとりは……つまんない。
「あっ」
じめんを見ると、ぼくのかげがあった。
ぼくがうごくたびに、かげもうごく。
「ねぇねぇ、いっしょにあそぼ」
ぼくはかげにきくと、かげはうなずいて、いいよってへんじしてくれた。
やったー。これでぼくはひとりじゃない。
ぼくはかげといっしょに、こうえんないをはしりまわった。
空から落ちてくる秋の雨。
君は赤い傘を回しながら、雨で濡れたアスファルトを歩いていく。
「今日は随分とご機嫌だな」
「うんっ、だって久しぶりの雨なんだもんっ」
傘を回しながらこっちを向き、微笑む君。
まるで虹のようだ。
「どうしたの?笑ったりして?」
「いや、なんでもないさ」
虹のような笑顔をずっと見ていたくて、雨は止んでほしくないなと思った。
放課後の誰もいない教室。
外から、部活動に励んでいる部員達の声が聞こえてくる。
青春は学校行事、恋愛、友達と過ごすだけじゃない。
こうして一人で、ぼーっと教室から外の風景を眺めるのも青春の一つだと思う。
壁掛け時計の秒針の音が、今の私の青春を一秒ごとに刻んでいく。
「忘れ物忘れ物っと……あっ」
振り返ると同じクラスの男子が居て、目が合う。
秒針の音が、心に響く。
私の中で、新しい青春が始まろうとしていた。
いつまで経っても、赤から変わらない横断歩道の信号。
他の皆の信号は青になっていて、横断歩道を渡っている。
試しに一歩踏み出してみると、車にクラクションを鳴らされた。
一歩下がり、元の位置へ戻る。
……私は、これからどういう人生を歩んでいこうか悩んでいた。
今まで適当に生き過ぎて、多分、危険を感じた心の信号が私を止めたのだろう。
友達に相談しようとしたが、私の相手をしている暇がないのか、早足で横断歩道を渡っていってしまった。
誰か……相談に乗ってくれる人は……。
赤信号の前で呆然としていると、鞄の中から着信音が鳴った。
鞄からスマホを取り出す。
着信相手は……母さんからだ。
「もしもし?悩み事があるんでしょ?一人で悩んでないで、家に帰っておいで。相談に乗ってあげるから」
母さんの優しい声を聞いて、涙腺が緩む。
「お父さんも待ってるぞー」
父さんの声を聞いたら、涙が引っ込んだ。
「母さん、ついでに父さんもありがとう。今から帰るね」
私は赤信号に背を向け、実家へ向かって歩く。
次はきっと、この赤信号は青信号に変わっていると思う。
だって私には、家族という強い味方がいるから。
言い出せなかった「右の鼻の穴からゴツい鼻毛が一本出てるよ」って。
今日は雲一つない快晴で、絶好のデート日和なのに。
彼氏のゴツい鼻毛が……気になる。
「昨日は雨予報だったけど、今日は晴れてよかったな!」
太陽の光を浴びて、キラキラで元気一杯な彼氏。
だけど、風が吹くたびに、ゴツい鼻毛がカーテンのように揺れる。
手を繋いで歩いている時も。
レストランで向かい合ってランチを食べている時も。
買い物している時も。
彼氏のゴツい鼻毛一本が、気になって仕方がない。
言おうか悩んだけど、言ったらデートが台無しになる気がして言えなかった。
「今日は俺の顔ばっか見てるけど、そんなにイケメン度が上がったか?化粧水変えたからなぁ。はっはっはっ!」
顔じゃなくて、ゴツい鼻毛を見てるんだよ!!!
と、彼氏の鼻にツッコミをしてやりたかった。
夕方になり、人が少なくなった公園のベンチで休む私達。
今日は、ゴツい鼻毛が気になり過ぎて、あまりデートが楽しめなかった気がする。
「なぁ……」
そんなことはお構い無く、彼氏は今は良いムードと勘違いし、目を閉じてキス顔をしながら迫ってきた。
……今しかない!
私は親指と人差し指を、彼氏の右の鼻の穴に突っ込み、思いっきり鼻毛を引き抜いた。
「いてぇ!」
彼氏は鼻を押さえながら痛がる。
「ごめん!でもこうするしかなくて!」
指には、抜けた鼻毛が数本。
しかし、ゴツい鼻毛は抜けておらず、彼氏の鼻のから涼しげになびいていた。