たーくん。

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言い出せなかった「右の鼻の穴からゴツい鼻毛が一本出てるよ」って。
今日は雲一つない快晴で、絶好のデート日和なのに。
彼氏のゴツい鼻毛が……気になる。
「昨日は雨予報だったけど、今日は晴れてよかったな!」
太陽の光を浴びて、キラキラで元気一杯な彼氏。
だけど、風が吹くたびに、ゴツい鼻毛がカーテンのように揺れる。
手を繋いで歩いている時も。
レストランで向かい合ってランチを食べている時も。
買い物している時も。
彼氏のゴツい鼻毛一本が、気になって仕方がない。
言おうか悩んだけど、言ったらデートが台無しになる気がして言えなかった。
「今日は俺の顔ばっか見てるけど、そんなにイケメン度が上がったか?化粧水変えたからなぁ。はっはっはっ!」
顔じゃなくて、ゴツい鼻毛を見てるんだよ!!!
と、彼氏の鼻にツッコミをしてやりたかった。
夕方になり、人が少なくなった公園のベンチで休む私達。
今日は、ゴツい鼻毛が気になり過ぎて、あまりデートが楽しめなかった気がする。
「なぁ……」
そんなことはお構い無く、彼氏は今は良いムードと勘違いし、目を閉じてキス顔をしながら迫ってきた。
……今しかない!
私は親指と人差し指を、彼氏の右の鼻の穴に突っ込み、思いっきり鼻毛を引き抜いた。
「いてぇ!」
彼氏は鼻を押さえながら痛がる。
「ごめん!でもこうするしかなくて!」
指には、抜けた鼻毛が数本。
しかし、ゴツい鼻毛は抜けておらず、彼氏の鼻のから涼しげになびいていた。

9/4/2025, 10:17:05 PM