たーくん。

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8/15/2025, 11:06:33 PM

スマホのメッセージ画面に現れる色んな形の記号達。
私は彼氏に愛を伝えるため、メッセージを打ってたんだけど……。
「愛してる!」「大好き!」「ずっと一緒だよ!」
う~ん……ビックリマークだけだとなんか物足りない。
だから私は、ハートマークを沢山付けてメッセージを送信。
数分後、彼氏から返信が来た。
メッセージを見ると、愛の言葉と、私の倍以上のハートマークが付いている。
んもう、私よりハートマーク付けちゃって……嬉しい。キャッ☆
それから私と彼氏は、夜遅くまでハートマークの付け合い合戦をした。

8/14/2025, 11:31:11 PM

高台から海まで見える町並み。
朝日が町を照らし、一日の始まりを知らせている。
早朝だから、高台には誰もいなくて静かだ。
「はぁ……」
思わず溜め息が漏れる。
先月、彼女は交通事故で亡くなった。
打ち所が悪く、即死だったらしい。
もし、まだ生きていたら、隣には彼女が居ただろう。
朝日のように明るく笑って、俺を照らしてくれて……。
ズボンのポケットからスマホを取り出し、彼女の写真を映す。
いつも笑っていて、元気な彼女。
見ているだけで、色んな感情が込み上がってくる。
スマホを俺の顔の横に並ぶように持つ。
君には、この景色はどんな風に見える?
俺には、色がない町に見えるよ。
今まで色鮮やかだった町が、君がいなくなってモノクロになってしまった。
君が見た景色を……知りたい。
君の声が……聞きたい。
君と一緒に……もっと居たかった。
いっそのこと、君の元へ……。
いや、そんなことしたら、悲しませるだけだ。
君の分まで、頑張って生きて見せるよ。
俺は彼女の写真と一緒に、モノクロの町をしばらくの間ずっと見ていた。

8/13/2025, 10:53:55 PM

愛の巣と名付けた、私と彼氏の寝室。
だけど、ドアの向こうから、彼氏と誰かの声が聞こえてくる。
今日は仕事が早く終わって、彼氏を驚かせようと連絡しないで帰ってきたけど……彼氏は私がいない間に女を連れ込んだのだろうか?
ノックをせずにドアをゆっくり開けると、中は薄暗く、ベッドの上では布団が膨らんでいる。
私は、彼氏に聞こえるよう照明スイッチをパチッ!と大きく鳴らす。
寝室が明るくなると、布団がめくり上がり、慌てて起き上がったのは……彼氏。
彼氏は全裸で、もう一人ベッドの上で寝ていたのは、全裸の男性。
……全裸の、男性?
「これはその……違うんだ」
彼氏は私に言い訳をしようとしているが、私は思考が停止して言葉を発せない。
なるほど、この状態を"言葉にならない"というのだろう。
寝ていた男性は起き上がり、彼氏に身を寄せる。
男と男、合わせて男男?てか、なんで男なの?じゃあ私は何?
もう意味が分からない。
口から魂を出して、そのまま飛んでいきたい。
「私……頭ふやかしてくる」
自分で言っている言葉がめちゃくちゃになる。
私は落ち着くため、寝室を出て、そのまま玄関へ向かい、外へ出る。
結局、私はあの寝室へ戻ることは二度となかった。

8/12/2025, 11:04:12 PM

あちこちの木々から聞こえてくるセミ達の合唱。
今日は約束があり、公園前で待っていた。
ミーン!ミンミーン!
セミの鳴き声を聞いていると、嫌な記憶がよみがえる。
幼稚園児の頃、地面に落ちて動かなくなったセミに近づいたら、息を吹き返してバタバタ暴れ始めて、びっくりして走って逃げた記憶。
中学生の頃、突然セミが飛んできて肩に止まり、ミーン!ミーン!と鳴き始めて一緒に叫んだ記憶。
他の夏の記憶は……暑いから冷たい物を食べたり飲んだりしまくって腹を壊したり……。
一人で夏祭りへ行き、カップルだらけの中を歩いて寂しい思いをしたり……。
今思えば、ろくな記憶がないな。
だけど、これからは。
「ごめ~ん!お待たせ!待った?」
彼女が早足で俺の元へやって来た。
最近付き合い始めた、人生初の彼女だ。
「いや、俺も今来たところだから大丈夫。暑いし、涼しい所へ行こうか」
「うんっ」
今までの夏は、ろくな記憶がなかったけど、これからは彼女と過ごした夏の記憶が上書きされていくだろう。
いや、夏だけじゃなくて、秋も、冬も、春もだ。
俺は彼女と手を繋ぎ、幸せを噛み締めながら一緒に歩いた。

8/11/2025, 11:35:52 PM

空から熱い視線を送ってくる太陽の光。
彼女と一緒に、近くの広い公園で手を繋ぎながら歩いていると、あちこちからセミ達の合唱が聞こえてくる。
最近は家デートが多かったから、今日は外でデートしようと俺から提案した。
だが、今日は一段と暑くて、身体が溶けてしまいそうだ。
何か、冷やす物が欲しい……。
俺の思いが届いたのか、公園内にアイスクリームを販売しているキッチンカーを発見。
彼女の手を引き、キッチンカーの元へ向かう。
購入したのは持ち手がコーンで、上にバニラアイスが乗っている王道アイスクリーム。
彼女も、俺と同じのを選んでいた。
歩きながら、早速アイスのてっぺんにかぶりつく。
冷たくて、甘過ぎず、やわらかいバニラの味が口の中で広がる。
バニラうめぇ……。
彼女はハムスターのように、てっぺんから少しずつ食べている。
可愛いなぁ……。
セミ達が俺達を見て嫉妬したのか、さっきより鳴き声が大きくなる。
俺はあっという間にアイスを完食したが、彼女はまだ半分ぐらい残っていた。
彼女の手元を見ると、暑さで溶けたアイスがたら~っと指の上を流れている。
「アイス溶けてきてるぞ」
「あっ、ほんとだ。早く食べないと……」
彼女は大きく口を開けてアイスにかぶりつこうとしたが、あごにアイスが当たり、アイスはコーンからこぼれて地面へ落ちていく。
「っとととと!」
地面に落ちる前に、俺は両手でアイスをキャッチした。
「ご、ごめ~ん!でも、ナイスキャッチ!」
あごにアイスを付けた彼女が、コーンを持ってない方の手でグッドポーズをする。
「つ、冷たい……」
だが、アイスは手の温度で更に溶けていき、指の隙間から雨漏りのように、地面へ一滴一滴落ちていく。
「これから先も、こんな風に支え合っていきたいね」
溶けていくアイスのことはお構い無く、彼女は未来を語っている。
「そうだな……。これから先も、ずっと一緒に居ような」
「うんっ!」
結局アイスは全て溶けて、手がベトベトになってしまったが、彼女との距離が一段と縮まったので、結果オーライだ。

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