ハッピ−エンド。
青い瞳の来客編 最終回
屋根上生活13日目 1時50分。
トルコ猫は、屋根の右端で身を乗り出してホテルを見ている。
あの男が来るのを今か、今か、と待っている。
空腹に耐えかねているのだ。
アイツは22時に出勤なんだから、その時にすぐ俺にエサを持ってくればいいんだよ!
なのに、こんな時間まで待たせやがって!
アイツが猫ならパンチ喰らわしてるよ!
まったく奴は優先順位を分かってない!
まずは俺に挨拶をしてからエサを献上する。
これは常識だよ!
俺が美味しい物をお腹いっぱい食べて幸せになれば、みんなハッピ−になれるだよ!
まったく分かってないな!
猫は1日2食以上なの!
なのに奴は1日1食しかくれない!
しかも、魚の切り身一切れだけ!
こんなもん足りねえよ!
俺はスリムで美麗なトルコ猫様なんだよ!
ダイエットは必要ねえんだよ!
このままじゃ、栄養失調で倒れちまうよ!
奴曰く、環境に配慮してとの事だけど、いいんだよ!そんなもん!
人間に掃除させておけばいいんだよ!
すると、男が自動ドアから脚立を持って出て来た。
「エサちょうだい!お腹空いた!」
俺はニャー、ニャー、ニャー鳴いてアピールした。
男はゆっくりと瞬きをして、脚立を壁にセットして登ってきた。
そして、キャットフ−ドが入った容器を屋根に置いて降りて行った。
香ばしい匂いが漂ってきた。
俺はキャットフ−ドにがっついた。
美味い!
こんな美味い食べ物があるのか!
俺はキャットフ−ドを平らげた。
俺は脚立を片付けて、ホテルに帰ろうする男を屋根から追いかけた。
「もっとちょうだい!食べたいよ!お腹が空いているんだよ!頼むよ!」
男の背中に向けて叫んだ。
男は振り返り、笑顔で手を振ってホテルに戻って行った。
なんだよ、畜生!ケチケチしないでくれよ!
どうなってんだよ!
うん?キャットフ−ドの匂いがするぞ。
トルコ猫はキャットフ−ドの容器がある場所に戻った。
匂いを辿ると、屋根下の室外機にキャットフ−ド入りの容器が置いてある。
距離にして約150cm。
や、野郎!あんな所にエサを置きやがって!
ふざけるんじゃねえぞ!意地悪にもほどがある!
猫様を舐めんじゃねえぞ!
トルコ猫は、前足からダイブして着地を決めた。
その後、キャットフ−ドを食べ尽くした。
みたか!俺様が本気をこんなもんよ!
てっ!あら!?もしかして屋根から降りられた…。
自力でできちゃったね…。
……しまった!39日間無駄に過ごしちまった!!
(猫だと3倍の時間経過になる)
トルコ猫は跳躍し、塀を蹴った反動で地上に降り立った。
たった今から、失われた分を取り戻すぞ!!
そして、トルコ猫は何処かへ走り去った。
完。
猫の命を助ける為に給餌しました。
ご理解の程、宜しくお願い致します。
何気ないふり。
青い瞳の来客編11
7時になり雨が降ってきた。
倉庫にはしごを立て掛けているのは不自然なので、僕は2連はしごを撤収した。
そのまま何気ないふりをして仕事を終えて部屋に帰った。
カ−テンを開けて窓から倉庫を見た。
昨日までトルコ猫は屋根の上をうろついていたな…。
今もその姿が見えるよ…。
フフフ、夜勤明けで寝ぼけているんだな……。
って、逃げてないんかい!!
あの野郎!なんではしごから降りないんだよ!!
僕はYouTubeで猫がはしごから前足からや後ろ足から1段、1段降りる姿を見た。
彼らは普通の猫である。
つまりやろうと思えば出来るのだ。
子猫は母猫に狩りなどの生きる術を3週間学ぶ。
その後は一人で生きて行かなければならない厳しい世界だ。
はしごの降り方なんて誰も教えてくれない。
僕から言わせれば、やる気と創意工夫がない。
トルコ猫に対して失望した。
このままでは解決しないと思ったので、倉庫の持ち主の自宅に訪問した。
そして、家主に屋根の上にトルコ猫がいて、救出しないと餓死してしまうと伝えた。
今まで書いていなかったが、倉庫と民家が繋がっており、その間に小さなベランダにドアがある。
そのドアを開けていればトルコ猫はそこから逃げて行くこともアドバイスした。
家主はトルコ猫の救出を約束してくれた。
だが、数日過ぎても動く気配はなかった。
僕は家主に対しても失望した。
23時29分。
僕が駐車場で仕事をしていた。
すると、トルコ猫が屋根の上からニャー、ニャーと鳴くようになった。
お腹空いてます!エサ下さい!とでも言っているのだろう。
前半の仕事を終えてからエサをあげるので1時45分ぐらいにあげるのだが、その時間には屋根から身を乗り出してホテルの自動ドアを見つめている…。
おい、おい、おい、腹減ってしょうがないんだから早くしてよ!って感じだろうな。
屋根の上でいつものように魚の切り身をあげた。
トルコ猫は僕がいなくなってから食べた。
僕では彼を救出できないので保健所に連絡しよう。
今日は金曜日だから月曜日の朝に連絡だ。
次回で最終回です。
餌やりはトルコ猫の命を救う為に行っております。
ご理解の程、宜しくお願い致します。
ところにより雨。
青い瞳の来客編10
屋根上生活3日目、午前1時40分。
トルコ猫は屋根の上で丸くなっている。
あぁ〜、腹減った…。
喉が渇いた…。
ここに来てから何も飲み食いしていない。
俺はこのまま飢え死にするのかな…。
トルコ猫は死を覚悟した。
その時、ガシャ−ン!カツ、カツ、カツ、カツ、と騒音がした。
ヤ、ヤバい!
トルコ猫は身の危険を感じて屋根裏に隠れた。
そっと覗くと、あの男の上半身が見えた。
「やっぱりこっちには来ないか!仕方ない、これでも食べて元気出しな!必ず助けてやるから安心しろ!」
僕はトルコ猫を励まし、水と鯖の切り身が入った皿を置いた。
そして、脚立から降りて撤収した。
水と魚だ!ありがてえ!!
トルコ猫はがっついた。
3日ぶりの食事は美味かった。
屋根上生活9日目の夕方、土砂降りの雨が降った。
僕は部屋でYouTubeを見ながら、猫の生態を調べていた。
その時、動物の悲鳴が外から上がった。
うん!?奴か?屋根で雨をしのげる場所はないのか?猫は体が濡れて体温が下がると命取りになる。
まだ不十分だが、今夜計画を実行するか…。
残念だが時間がない…。
僕は決意した。
その日の深夜1時44分。
小雨になったので、毎日の給餌をした。
明日の朝、雨が止むから逃がしてやる!
今の内に腹ごしらえしておきな!
僕とトルコ猫は屋根で目が合ったのでそう語りかけた。
その日の早朝6時30分。
雨は止んだ。
僕は屋根付きの駐車場の左端に置いてある2連はしごを持った。
2連はしごの長さは4mで2人で持つ事が推奨されている。
だから、長くて重い!
この近くに支配人の車が駐車しており、危うく2連はしごが接触しそうになった。
危ない!危ない!気をつけよう。
僕は2連はしごを倉庫の右端の壁に掛けた。
2連はしごは屋根より1m程突き出てる。
これなら地上に降りられる。
トルコ猫はこれを絶対に見ている。
行動するに違いない。
僕はホテルに戻る事にした。
その時、屋根にいるトルコ猫と視線が合った。
達者でな!落ち着いたら、また、遊びに来い!
ただ、倉庫の屋根には2度と登るなよ!じゃあな!
僕はトルコ猫に別れの挨拶をして仕事に戻った。
続く。
今回の給餌は猫の延命の為です。
ご理解の程、宜しくお願い致します。
MY HEART。
青い瞳の来客編9
屋根から降りられなくなって3日目。
夕陽が街を染める頃、トルコ猫は目覚めた。
「ここには飲み物も食物もない。腹減った…。喉も渇いた…。そろそろヤバいな…。苦しい…。脱出ル−トを探して早く逃げよう…」
トルコ猫は屋根を伝って右端まで歩いた。
そして、下を覗き込んだ。
倉庫の屋根は二等辺三角形の形状をしており、最も低い軒先で高さ3m。
前方にはホテルの駐車場の屋根があり高さは2m。
この間には倉庫が塀で囲まれていた。
倉庫と駐車場の屋根の離間距離は約1m。
まず塀を越えて、右側の駐車場の屋根の柱に伝ってよじ登り、そこから倉庫の壁に爪を立て登ったと考えられる。
「駄目だ。怖い。他の方法を考えよう…」
トルコ猫は怖じ気ついた。
その様子を僕は窓から見ている。
「甘いな…。周囲を観察したところで状況は同じだから何も変わりやしない。人生もそう、毎日仕事して、遊んで、寝るだけなら、夢なんて叶うわけがないのだ。その夢に向かって努力しないとね…。自分で屋根に登ったのだから、自分で降りれるに決まっている。だから、登ったところから飛び降りればいいだけの事だ。なぜそれに気づかない?普通の猫なら可能な高さだ。ハ−トが弱過ぎる。怖くてできないなら、僕が脚立で屋根に登った時に身を任せればいいのにそれもできない。自分で勝手に苦しんでいるだけだ。僕だったら、そのどちらかを選択して、今頃、地上で春を謳歌しているのにな…」
僕は冷静に分析した。
続く。
好きじゃないのに。
青い瞳の来客編8
「……やっぱり人間は信用できない!あなたの元には行かない!!」
トルコ猫は拒否した。
「……そうか…。それなら仕方ない…。では、君の脱出プランを聞かせてもらおう」
僕は質問した。
「……そんなもんはないよ!あるわけないがない!ノ−プランだよ、ノ−プラン!」
「ハァ?なんでないんだよ!」
「俺たち猫はネズミなどの小動物を狩るのが仕事。考えて何かをするのはあなた方人間の役割でしよ?」
「お前はプランAが通用しなかったら、後は選手任せの帝拳ジムより酷いじゃないか!WBCボクシング世界バンタム級タイトルマッチで、那須川天心が井上拓真に負けちまったじゃねえかよ!天心を応援してたのに…。僕は井上一家は好きだし、尊敬してるよ。井上尚弥さんは無敵の偉大なチャンピオンで人格者だし、お父さんの真吾トレ−ナ−も素晴らしい。なのに、なぜ、弟の拓真は結婚しているのに、合宿に愛人を連れているのを容認するんだ?ここは尚弥さんも、真吾さんも激怒して別れささなあかんやろ?奥さんが可哀想だよ…。僕が言う事ではないけど奥さんを大事にしたれよ!そこが残念でならない…。だから拓真は好きじゃない!ちなみに天心も浮気したからよろしくないけど、独身だからまだマシかなっと思ってね…」
「……旦那、本題から外れてます」
「僕も分かってはいるんだけど、こういう話をする相手がいないのよ…。じゃあ、ここから本編に戻ろう…。僕は今から15分この場を離れる。脚立はそのままにしておくから、逃げろ!分かったな!じゃあな!」
僕はそう言うと脚立から降りて、ホテル内に姿を消した。
15分後、僕は駐車場に戻ってきて脚立を片付けた。
これで一件落着だ。
良かった…。
僕は満足して屋根を見上げるとそこにトルコ猫がいた。
「なんでそこにいるんだよ!逃げろよ!!」
続く。