椿灯夏《少しずつ削除します》

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8/3/2022, 11:12:15 AM

お題《目が覚めるまでに》



毎日君の窓辺に花を飾って。


毎日君の好きな紅茶を淹れて。


毎日君の育てたハーブを摘んで、朝食をつくって。


毎日君におはようのキスをする。



やわらかな陽光の中、君が微笑む。


 


僕の幸せは、君と繋がっている。

8/2/2022, 11:57:18 AM

お題《病室》


枯れた言葉と涙の跡には。


奇跡が生まれる。


君の声が、私の世界を再生させる。




霧に包まれた町アリーシャ。

ここは最果て――治ることのない病を抱えた人々が暮らす楽園。女神アリーシャの力がこの地に宿っているとされ、とある者が「これは女神の意思だ、奇跡だ」としたのが始まり。


アリーシャは年中深い霧に包まれているため、町を出歩く人はまずいない。



――だからこうしていつも、つまらない世間話をする。



「今日は霧の丘で歌を聴いたんだ、きっと女神さまの歌だよ」

「女神さま、ねぇ……」


呆れるほど、女神さま女神さまうるさい私の幼なじみコトア。泣き虫で、女神オタクだ。可愛い顔なので、周りから受けがよかったのをよく覚えている。


「そんなことよりトア――いい加減ここへ来るのはやめなさい」

「どうして?」

「そんなこともわからないの?! ここは最後の時を過ごす場所なの! もう、あなたの顔なんて見たくないのよっ」

「――っ」



――これで。もうここへは、こないでしょう。小さい頃から私の知る世界は《トア》だけだった。


トア………………あなたの行く末を、隣でずっと見守っていたかった。


まばゆい光の中で。




ずっと先の未来。


私は、あなたの声で目を覚ます。



追伸 メモのように描いてしまって、この不出来ですが……一応残しておきます^_^;

8/1/2022, 12:19:32 PM

お題《明日、もし晴れたら》



永遠の旅に、でよう。



森はすっかり落葉し、季節は終焉を迎える。


淡い冬の陽射しの中やわらかな蜂蜜色の机で、読書をする。少女は夢中で気づかない――そして、背後からひょいと本を取り上げられ、聞き慣れた声がした。


「そんなに面白いか、俺といるより?」



青い瞳、青い髪。神秘的な青さの青年は、少女を背後から抱きしめる。慈しむように、顔を寄せ――しょうがないなあ、と笑う少女。



「面白いに決まってるわ、あなたが買ってくれた物語だもん。それより、明日は飛べそう?」


「ああ、問題ない」


「じゃあこれから用意しないとね」



窓辺にある渋い紅茶色のトランクは、青年が自由になったら旅にでようと約束して買ったものだ。この森を離れ、遠くへいくために。




あの日星の降り注ぐ夜、竜の王になった。



そして今、竜は最愛の少女のもとへかえってきた。





「もし明日晴れたら――旅にでよう、永遠に旅し続けよう」





竜と少女は旅にでる。


始まりの夜の約束を――。



7/31/2022, 12:20:02 PM

お題《だから、一人でいたい。》



叶うなら、その腕の中にいたかった。


叶うなら、あなたを殺すのは――。





「もう泣くな。大丈夫だから……俺がいるから、なくな……」



血の海を照らすのは月。


朱は互いの衣を美しく冷酷に、染めあげる。

子供みたいに泣きじゃくる少女を抱きしめる青年は、この時一体何を想ったのだろう。





突き刺さる静寂と罪。


それでも、あなたとはなれられない――。



7/30/2022, 2:06:03 PM

お題《澄んだ瞳》



その瞳は、果ての果てまで見通す――。



この瞳は災いだ。


しりたくもない真実を識り、そして見せる。



それでもこの瞳は希望《のぞみ》だ。



「――この手がどれだけ血で濡れようと。俺はおまえのためなら、捨てられるんだ希望《のぞみ》を」





世界を識る者と世界を渡る者。




わたしたちが夢みた世界は、どこで違えてしまったんだろう。



《同じ瞳》を持つ者なのに。





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