テーマ“キャンドル”
もう、何もしたくない日の夜
見た目重視で買った
アロマキャンドルに火を灯す。
甘ったるい香りが部屋の中に充満する。
揺らめく火に魅了されつつ
何も考えずにただ、火を見つめる。
たまにゆらりと揺らめく火
おそらく他人からすれば
「大丈夫?病んでない?」
なのかもしれないけれど
もうすでにその領域は超えていて
何なのか分からない。
鬱々としながら生きる毎日。
大丈夫って何が?
そもそも【大丈夫】だった時期の記憶が無い。
どういう精神状態が【大丈夫】なのか
どういう精神状態が【病んでない】のか。
どのくらい、火を見つめていただろう。
息苦しさが少しだけ楽になった気がする。
アロマキャンドルの火を消し
電気をつける。
明るさに目が慣れてくるまで
ソファーに、もたれ掛かる
それから、適当に買ってきたお弁当をテーブルに置いて
食べる。
後はお風呂に入って、寝るだけ。
今日も私頑張った。
(食後直ぐ入浴と睡眠はなるべくやめましょう)
(アロマキャンドルなどを使う場合、換気は大事)
テーマ“はなればなれ”
離れる事は
寂しいだけの事じゃない。
離れる事は
辛いだけの事じゃない。
いつまでも一緒になんて
かなり難易度が高い。
いつも一緒なんて
簡単な事じゃないのに
君は簡単に
ずっと一緒だよ
なんて無邪気に言うから
余計に腹が立つ。
そんな無邪気さを忘れてしまった
自分自身にも。
肉体的な距離は
近くても
心の距離が
はなればなれになりつつある事を
君は気が付いていないだろうね。
(無理矢理だなぁ…)
テーマ“子猫”
友人の家で子猫が生まれたというので
貰いに行った。
母猫の名前は、“ミケ”
父猫の名前は、“タマ”
何とも、昔ながらの猫の名前。
子猫は6匹。
名前はまだ無い。
「みぃぃ…」
僕はその中でも、鈍くさいと言うか
ドジと言うか
むしろそこが愛しく思えて
1匹だけ、子猫の群れから逸れている子猫を
貰うことにした。
「名前は何にするんだ?」
友人に訊かれて
僕は少し悩む。
「うーん…コロコロしてるし、タマの子どもだから、コダマ…」
「安易だなー」
「うん、それ、一番言われたくない。ミケとタマだって安易だろ。」
「俺は結構悩んだぜ?でも一番しっくり来たのが、ミケとタマだった訳で」
「本当かぁ?」
「マジだって」
「まあ、どうでもいいけど。とにかく、コイツはコダマで決定」
「猫飼うための注意点とか、書いておいたから、ちゃんと目を通せよ?」
「おー、ありがとう。一応、調べてはあるけど助かる。」
学校で使っていた数学のテキストくらいの分厚さがある、冊子を渡される。
「こんなに…?」
戸惑うと
「必須!」
圧が強い。
「分かった。ちゃんと読むよ…」
そう言って、早速目を通す。
「今読むのか」
「え、駄目か?」
「まさかお前、なにも準備してない?」
「いや、ある程度は準備してある。トイレとか爪とぎとか。こうやって猫を入れる鞄持ってきてるし」
「そうか」
「ただ、餌がわからないから、その辺を聞こうと…思ったんだが…思った以上に注意点多いのか」
「ペットって簡単に言うけど、生き物を育てるって大変だからな。前にも飼った事があったとしても、個々で違うから、その辺で色々把握しないといけないし。後半は、観察メモだ。」
「観察メモって…」
「色々把握する為には必要だと思うんだよな…」
「まあ、観察メモって言い方はどうかと思うけど、使わせて貰うよ。」
「ただ、コイツ…コダマは、シャイみたいだから、いっぱい気にかけてくれよ。」
「ああ。」
そう言われて、家に連れ帰ってきた瞬間。
何処がシャイだ!と思うくらい
家の中を走り回っていた。
そんな事を、昔撮った、コダマの写真を見ながら思い出す。
今のコダマは、時々家の外を駆け回っている。
外に探索に行って、仕事から帰ってくるタイミングを見計らった様に、前を歩いている時もある。
鍵はかけてある。
ペット用の出入り口から抜け出しているようだ。
「にぁー」
「どうした?」
「にぁーー!」
猫じゃらしを咥えてくる。
「あー…遊べと。分かった」
アルバムを片付け、猫じゃらしを手に持ち
遊ぶ。
シャイだと言われた、この猫は
全くシャイでは無かった。
テーマ“スリル”
なぜ人は、スリルを求めるのだろう。
ミステリー小説やミステリードラマのスリル
ジェットコースターやバンジージャンプと言うスリル
その中でも…
恋愛のもつれと言う現実に起こり得るスリル…。
わざと起こしている訳じゃない人が殆どだろうが
中には…
自ら、スリルを味わうためだけに
そう言った事をする人も居るだろう。
ーーー
「アヤミの彼氏カッコイイよねぇ」
「そう?うん。カッコイイの」
アヤミは、ニヤニヤと破顔する。
「アヤミも可愛いし、すっごいお似合い」
「そんな事…」
無いよとアヤミは続けない。
「あー、私も、アヤミの彼氏みたいな彼が欲しい」
「大丈夫、ミチエ可愛いから、すぐ出来るよ」
そう。こんな会話をしていた。
その日から数週間後
喫茶店のテラス席。テーブルの上
アヤミ側にはグラスに入った水が置かれ
ミチエ側にはアイスレモンティーが置かれている。
「ねぇ!何で?」
アヤミは、鬼の形相で、ミチエに詰め寄っている。
「え?何が?」
突然、怒鳴られて困惑している様子のミチエ。
「アンタ、私の彼氏と…」
「ああ、その事。」
ミチエは、つまらなそうな表情をして
「だって、アヤミの彼氏みたいな彼が欲しかったし?だったら、アヤミの彼氏と付き合えばいいんだ!って。」
そう言った。
「おかしいよ!」
アヤミは、泣き出しそうな顔をする。
「そうかな?…でも、やっぱり顔だけの男は駄目だね。」
反対にミチエは、あまり興味なさそうに、自分のピンク色のネイルを見つめている。
「なん…」
「他人の彼氏奪うって、もっとスリルとか味わえてサイコーだと思ってたのに。案外あっさり付き合えちゃってつまらなかったよ」
「はぁー!?私がどんな気持ちだったか」
「んー…まだ、やり直せるから大丈夫じゃない?」
「無理…もう。無理…。」
「水、かける?私の事殴る?」
何故か、恍惚そうな顔をするミチエ。
「しないわよ!もう、二度と会わないから!」
そう言って、走り去る、アヤミ。
「つまんないの。」
ふう、と息を吐き
立ち上がるミチエ。
もう少し、略奪愛のスリル味わいたかったのに…。
そう思ったミチエは、後ろから誰かに突き飛ばされ……
(世にも奇妙な物語観た影響でこんな感じの終わり方)
テーマ“飛べない翼”
鳥が全て飛べる訳ではない。
鳥のように飛べたらいいなどと
簡単に口に出してはいけない。
そう。
ワタシのようになりたくなければ…。
鳥になりたいと日々願っていて
いざ、鳥に転生したら、
飛ぶ事が出来ない鳥だった。
(ラノベのタイトル風。多分面白くない。)