テーマ“きっと明日も”
「明日の天気は、晴れでしょう」
そんな機械的な言葉しか言わなくなった
この箱は、随分と昔に廃れていたのかもしれない。
明日の天気は、晴れ
そう何日も言っている。
けれど、連日、雨。
止むことを忘れているかのように
降り続く雨。
ここ数日、そう。
真っ黒な雲で覆い尽くした空。
きっと明日も雨。
物語の世界ならば
この辺りで、聖女やら勇者やらが
転移して来て、原因を解明!
とかしてくれるんだろうけど
そんな事は起こり得ない。
ただの異常気象。
テーマ“静寂に包まれた部屋”
(2次創作で)少し前に流行っていた(らしい)
〇〇しないと出られない部屋。
に、1人で閉じ込められた私。
一緒に閉じ込められかけたやつは
鍵をかけられる少し前に
何らかの危険を察知して逃げたらしい。
基本、こういう部屋で、出る為にしなきゃいけない事は
2人以上でしか出来ない事をする前提で
閉じ込められている。
つまり、私は、此処から出られない。
普通の脱出ゲームとは違い
制限時間なんて無い。
指示書にはこう書いている
“2人で協力して下さい”
無理と言う事は
下手したら、一生此処から出られない可能性もある。
一応、水とお菓子は、ある物の
数日後には無くなってしまうだろう。
「あ、死ぬのか此処で」
気づかれずに、何処かも分からない場所で
もしかしたら、死んだ事にも気付かれず
この建物が朽ちてから、見つかるパターン…
何十年後…?
いや、こう言う物って誰かが監視してるのでは!?
…でも、出られそうにないと言う事は
死ぬまで出られないパターンか…。
紙とペンは無い為、遺書を書く事も出来ない。
静寂に包まれている。
誰がなんの意図で、此処に
誰と私を閉じ込めたのか
知る事はきっと来ない。
テーマ“裏返し”
朝起きた時、起きるはずの時間より
随分すぎていた。
自宅を出る時間、5分前。
ご飯も食べていない
顔も洗っていない
歯も磨いていない
洗顔、歯磨きをし、着替える。
外出着は、スーツでは無いから
幾らか楽だけれど、こういう時は、
慌てるから、靴下が上手く履けない
ズボンも上手く履けない。
Tシャツに、カーゴパンツ、黒い靴下
靴も慌てて履き
鍵と財布の入った鞄を持って
外に出る。
隣の家の人に、不思議な顔をされつつも
「おはようございます」
そう言って、駅まで駆けていく。
駅で待ち合わせをしていた人に
「すみません、遅れました」
そう告げると
彼女は一言
「Tシャツ、裏返しだよ」
そういった。
テーマ“鳥のように”
今日は、私の誕生日
それなのに、誰も祝ってくれない。
鳥のように
初めから自分の生まれた日を知らなければ
自分の誕生日に憂鬱になる事も無いのだろうか。
この前祝ったのに
私の事は祝ってくれないんだ…
って落ち込む事なんか無いのかな。
私の事なんか誰も必要としてない
そう思う事も無く
ただ、生きる為にだけ
生きる事が出来るのだろうか。
テーマ“自転車に乗って”
子供の頃憧れていた。
好きな人の自転車に二人乗りする事。
だけど、付き合った人は真面目で
「交通法違反」
そう言われた。
「君がそんな不良がする事をしたがるなんて」
とも言われた。
昔見たアニメ映画に憧れて
なんて言ったら、彼は笑うだろうか。
「そ、そうだよね。」
私は、笑い掛ける。
「突然、おかしな事言わない方がいいよ」
彼は、呆れたように言う。
「う、うん。ごめん。」
そうして、私の憧れだった
自転車二人乗りの夢は潰えたのだった。