夢を持たなきゃ希望を抱けない。なのに此処じゃあ現実を見ろと頭ごなしに言われる事もある。
ねぇ、そんなの理不尽だと思わない?
現実を見た結果、病んで廃人になったって一切責任は負ってくれないのに。一方的に主張するだけ。
自分の思い通りに全てなると、自分が正しいと信じて決して疑わないような人達。私からしたら理想を盲信してる様にしか見えないなんて、なんだか滑稽よね。
でも、そんな滑稽な人達に壊された人生も沢山あるんでしょうね。確かに、自分の事を想ってくれた上での言葉ならどんな言葉でもきちんと受け取って然るべきものよ。それが、現実を見ろ、だったとしても。
だけどね、自分のこの先なんて全く考慮してない人達に、ただその場で言われた事なんて気にする必要無いの。
あら、そろそろお目覚めの時間ね。私の夢の主様。
今日も貴方にとって良い日になりますように。
それじゃあ、行ってらっしゃい。
『夢と現実』
『さよならは言わないで』
私、またねって言葉が好き。
次があるって、これきりじゃないって素敵な事だと思うから。
それに、また会おうねだとかまた会えるよねって意味も含まれている気がするから、相手と言い合えば絶対また会える気がするの。
だからさ、一緒に言おう?
真っ黒く染められた背景に無数の流れ星。距離感も時間感覚も何も無い。そんな空間に僕は一人だ。
此処の流れ星は理想の世界を象る。だけど触れてしまうと凄惨な世界を見せられる。そんな趣味の悪い空間。一体どんな神様が創ったんだろうね。顔を見てみたいものだよ。
まぁ、僕の場合は自分の為に此処に来たのだけれど。
光を掴む為に闇に飛び込む事が間違いだとするなら、一体何が正解なのだろう。救おうとする事が、夢を見る事自体が過ちだった?
願いを最初から持たなければ正解だと言うのなら。
間違わなければ君を守れないなら。
僕はずっと不正解のままでいい。
それすらも貫いてみせる。
『光と闇の狭間で』
この道がどこまで続いているのか誰にもわからない。
でも進んでいる、というのは間違いないと思う。やっと見つけた痕跡を辿っているから。微かではあるけれど貴方の軌跡が続いているから。
貴方との距離が少しでも縮まっているとするなら、他の事なんてどうだっていい。怪我したって何だって。
希望が少しでもあるなら奇跡は起きるものなんだよ。
私ね、本当はあの時消えるべきだったんじゃないかって思ってたの。それがこの世界の理だったんじゃないかって。貴方が世界に苦しめられずに済んだんじゃないかって。
でも、そんなの違うって分かったんだ。過去の選択を考えたって無意味で。もう起こってしまった事は変えられない。だから、私に出来るのは未来を変える事。理想を描いて創って掴み取ってみせる。
今度は私の番だよ。運命だろうが真実だろうが、ねじ曲げて貴方に会いに行く。すぐに追いついてみせるから私の事も信じていてね。
『距離』
『泣かないで』
「でも、だって、離れ離れになっちゃうんでしょ?
もう、会えなくなるんでしょ?そんなのっ、て。」
拭っても拭っても溢れる涙に間に合わない。
私の頭の上にある貴方の手は暖かいのに遠く感じてしまう。いつもそうするように、彼は目線を合わせる為に少し屈んでくれていて距離は近いはずなのに。
貴方はあやすように優しく私を撫でてから頷いて、
「うん。ごめんね。でも、こうするしか無いんだ。
何をしてでも貴方に生きていて欲しいから。一緒に生きていたいから。
それに一生の別れでは無いよ。僕がそうさせない。
だから、信じて待っていて欲しいんだ。」
「…本当に?絶対迎えに、来てくれる、?」
「勿論。そのリボンをつけてくれている限り、何処に居たって見つけてみせる。約束はちゃんと守るよ。」
そんな風に言われたら、貴方の目で見つめられたら。断れるわけ無いじゃないか。例え可能性が低くたって貴方が言う事を疑う事なんて出来ないから。
「分かった。私、ちゃんとリボンと一緒に待ってる。なんなら貴方の事、探しにだって行くんだから。」
彼の悲しげな表情は緩み、少し微笑んで
「ああ。泣き顔も好きだけど前を向いてる方が君に似合う。君が探してくれるなら僕も負けないようにしないとね。」
撫でていた手で私の前髪をそっと上げて額にキスをする。涙の熱が貴方の熱で塗り替えられた気がした。もう、泣き顔も好きって何なの。貴方はよく私に敵わないと言うけれど、私の方がよっぽど敵っていないよ。
ねぇ、神様。今まで酷い目に遭って来た分、救ってくれたって良いでしょう?だからもし本当に居るのならどうか、彼を守ってあげて下さい。私の世界で一番大切な人を。大好きな人を。