『泣かないで』
「でも、だって、離れ離れになっちゃうんでしょ?
もう、会えなくなるんでしょ?そんなのっ、て。」
拭っても拭っても溢れる涙に間に合わない。
私の頭の上にある貴方の手は暖かいのに遠く感じてしまう。いつもそうするように、彼は目線を合わせる為に少し屈んでくれていて距離は近いはずなのに。
貴方はあやすように優しく私を撫でてから頷いて、
「うん。ごめんね。でも、こうするしか無いんだ。
何をしてでも貴方に生きていて欲しいから。一緒に生きていたいから。
それに一生の別れでは無いよ。僕がそうさせない。
だから、信じて待っていて欲しいんだ。」
「…本当に?絶対迎えに、来てくれる、?」
「勿論。そのリボンをつけてくれている限り、何処に居たって見つけてみせる。約束はちゃんと守るよ。」
そんな風に言われたら、貴方の目で見つめられたら。断れるわけ無いじゃないか。例え可能性が低くたって貴方が言う事を疑う事なんて出来ないから。
「分かった。私、ちゃんとリボンと一緒に待ってる。なんなら貴方の事、探しにだって行くんだから。」
彼の悲しげな表情は緩み、少し微笑んで
「ああ。泣き顔も好きだけど前を向いてる方が君に似合う。君が探してくれるなら僕も負けないようにしないとね。」
撫でていた手で私の前髪をそっと上げて額にキスをする。涙の熱が貴方の熱で塗り替えられた気がした。もう、泣き顔も好きって何なの。貴方はよく私に敵わないと言うけれど、私の方がよっぽど敵っていないよ。
ねぇ、神様。今まで酷い目に遭って来た分、救ってくれたって良いでしょう?だからもし本当に居るのならどうか、彼を守ってあげて下さい。私の世界で一番大切な人を。大好きな人を。
11/30/2024, 11:55:51 AM