上も下も右も左も全てが黒く塗り潰されている。
あるのはただ落ちていく感覚だけ。
いつまでも此処で孤独に漂うだけかもしれないのに。
どうして希望を見い出せてしまえるんだろう。無条件に貴方が来てくれると思ってしまうんだろう。
もういっそ呑み込まれてしまった方が楽だろうに。意識なんて手放してしまえば心地良く眠れるだろうに。
私はどうしても貴方を、貴方と過ごした日々を捨てたくないみたい。
貴方が何処にいるのかも生きているのかも、ずっとわかっていないのにね。
この暗闇は。貴方に落ちきってしまった私の運命で、そして向き合うべき私自身なのかな。
『落ちていく』
時間が無いけど書きたいので一旦保存させて下さい。
私の今の気持ちがどうすればいいの?です、
『どうすればいいの?』
私が何を言ってもひらりと躱してしまうし、もっともらしい言葉で返してくるし。普段の口論に終わりなんて無いのに。
たまに二人でいる時、無言でそっと寄りかかってくる。そんな彼の頭はふわふわしていて心地良い。顔を覗き込むとほんのり赤く、それでいて泣きそうな顔をしていて。あまりの可愛さに愛しさで胸が満たされる。
こういう時は私が与えられた分の仕返しをするのだ。めいっぱい撫でて甘やかして慰める。
彼の強い所も弱い所も、ちょっと腹が立つような所も全てが私の宝物。今までもこれからもずっとこの世で一番大切にしたい物。
本人にはそんな事、滅多に言ってあげないけど。
『宝物』
心に火が灯る瞬間。ぼんやりとした光がそれでも確かに暗闇を照らし出すあの瞬間。世界が反射して反転して姿を変える。
ただ黒に塗り潰されていたのに、綺麗なものなんて何処にも無いと思っていたのに。近くにも遠くにも輝きが有ったのだと気づけるようになる。
ただ、それは一瞬で。目が慣れてしまえばまた隠れていくし、灯火は少しの風で消えてしまう。
だから、私のキャンドルの炎で私と世界に痕をつけるの。火が灯る度にね。
そうすれば感動も美しさも儚さも彩られた景色も、感じた事含めて全てをまた思い起こせるから。火が消えてもサヨナラじゃない。跡のおかげでまた会える。
だから暫く暗闇で一緒に眠りましょう。辺りがまた照らされるまで。
『キャンドル』
可笑しくて笑った事も、苦しくて泣いた事も。どれもが自分だけの思い出で。
過ごしてきた数え切れない程の日々は絶対に無くならないし、裏切らないで傍に居てくれる。鮮明に思い出せなくなったとしても、それは私の隣で記憶が眠るだけなのだ。
その眠りは、いつ覚めるのかも、はたして目覚める事があるのかさえもわからないけれど。存在してくれるだけで私を私たらしめてくれる。
だって思い出は、友達でも家族でも恋でも夢でもあって、私そのものでもあるんだから。
『たくさんの思い出』