糸井

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心に火が灯る瞬間。ぼんやりとした光がそれでも確かに暗闇を照らし出すあの瞬間。世界が反射して反転して姿を変える。

ただ黒に塗り潰されていたのに、綺麗なものなんて何処にも無いと思っていたのに。近くにも遠くにも輝きが有ったのだと気づけるようになる。

ただ、それは一瞬で。目が慣れてしまえばまた隠れていくし、灯火は少しの風で消えてしまう。

だから、私のキャンドルの炎で私と世界に痕をつけるの。火が灯る度にね。
そうすれば感動も美しさも儚さも彩られた景色も、感じた事含めて全てをまた思い起こせるから。火が消えてもサヨナラじゃない。跡のおかげでまた会える。

だから暫く暗闇で一緒に眠りましょう。辺りがまた照らされるまで。

『キャンドル』

11/19/2024, 11:27:58 PM