私が何を言ってもひらりと躱してしまうし、もっともらしい言葉で返してくるし。普段の口論に終わりなんて無いのに。
たまに二人でいる時、無言でそっと寄りかかってくる。そんな彼の頭はふわふわしていて心地良い。顔を覗き込むとほんのり赤く、それでいて泣きそうな顔をしていて。あまりの可愛さに愛しさで胸が満たされる。
こういう時は私が与えられた分の仕返しをするのだ。めいっぱい撫でて甘やかして慰める。
彼の強い所も弱い所も、ちょっと腹が立つような所も全てが私の宝物。今までもこれからもずっとこの世で一番大切にしたい物。
本人にはそんな事、滅多に言ってあげないけど。
『宝物』
11/21/2024, 7:10:04 AM