椋 muku

Open App
11/23/2024, 1:41:24 PM

久しぶりに外に出て朝の空気を吸いながら散歩した。お決まりの散歩コースには神社があり、紅葉は全て地へ降りていた。残ったのは見事なイチョウだけ。枝に金色の葉をいくつも纏って輝き続けている。紅葉の絨毯を踏みしめた時、雨の重さに耐えきれなかった葉が私に降り掛かってきた。
落ちていく…

私と君の仲が深まってからというもの漫画ではないがやはり厄介な人物というのは存在するものだった。
君との仲が良くても想い人を軽々しく聞けるような間柄とはまた違った関係だった。私の前の席の子は多分君にとって厄介な人物だろう。悪い子ではないんだけど、私が後ろにいるから休まず常に話しかけてくる。君はその子と私が話すのが嫌みたい。
私はというと、君がゲームの話で意気投合してるあの子が厄介だと思ってる。私はゲームを持っていないし、君が楽しいなら沢山話しても別に問題は無い。問題なのはあの子の性格だ。あの子は狙ってるのか無意識なのか、君との距離が以上に近いから。私だって妬くに決まってる。君の学生服の外れたボタンを締めてあげてたところも実は見てたんだよ。目の前だったから視線を逸らした方が怪しいかなって思ったから。君は私と話す時とはまた違った笑顔を見せてる、あの子にだけ。私、ゲームの話、できないもんね。私だけすごくつらくなってる。

君は最近私よりあの子と仲が良くなった。心なしか距離も縮まった気がする。私だけ置いてけぼりなこの感じ。嫌だな。私も君のことを見ると心苦しくて関わることを控えた。学校生活に私情は挟めないから。私が予想外の行動に出たからだろうか。君は私が離れていくととても焦った。まるで私に勘違いしてるとでも言いたげな表情。そんなこと信用できるわけが…
「ありました」。完全に私の負けでした。私の前に現れた君は私の傷ついた顔を覗き込んだ。それからごめんと言わんばかりの甘々対応。

「アイツとはただゲームの話してるだけだから。別に特に仲良い訳じゃないから」

信じます。全然信じるよ。それから君は気づいたら私の側にいるようになった。心配そうに見つめるその瞳。私は君に見つめられるだけでもっともっと落ちていく。君のスキンシップが少しずつ増えてきたのも気のせい?君も私に落ちて来たんじゃない?

私たちはもっと深くまで落ちていく。きっと互いを知る度にもっと欲しくなって、そのうち互いじゃなきゃダメになって。気づいた時にはきっともう「堕ちてる」。
色彩豊かな紅葉が枯葉となって散っていくこの季節とは裏腹に私達はもっと親密で熱を帯びた関係の沼へ沈んでいく。奥深くまでオチテいく。

題材「落ちていく」

11/22/2024, 12:05:23 PM

私が思い描いてるのは私を誰よりも愛してくれる人と互いに生涯を捧げること。それが夫婦だと思ってる。ただ、学生の私が思い描くにはきっと少しだけ早い話な気がする。

私はね、君みたいな甘えん坊でかまってちゃんで気にしてないフリして誰よりも私のことを気にかけてくれる人が未来の旦那さんになってくれれば良いななんて思ったりするよ。君は私にいつもイタズラをしてかまって欲しいってアピールしてるんだよね。ずっと気づいてたしわかってた。でも相手にしてくれないとちょっぴり焦る君が可愛くて仕方ないんだよ?
あぁ、そうだ。今日は金曜日だったね。明日から2日会えなくなっちゃったね。だから君の「甘えたさん」が急激に増す。いつもより私の近くうろついて私と一緒にいたがってるのもバレてるよ。理科の授業は自由席方式だから必ず私の隣に座るよね。今日は甘えたさん100%でできてる君だから私が履いてる靴を欲しがったり見えないからって足を絡めてきたり。しれーっと私の方に寝転がって髪を撫でて欲しそうにしてみるかと思えば授業に集中する私にかまって欲しくてプリントにお絵描きしてくるとか。今日は本当に甘々なんだね。

「明日から2日会えなくなるから」

…帰りのホームルーム前、君の肩に手を置きながらそう呟いた。

「会いに行くよ?家、行くよ?」

って平気な顔してまたそんなこと言うんだから。

「じゃあ寂しくないね笑」

君の頭。ちゃんと撫でてあげたでしょ。今週はこれで我慢してね。そのつもりだった。でも君が帰る前の後ろ姿見たら急に寂しくなっちゃった。だから追いかけて友達を待ってる君に会いに行った。君のスクールザック開けたら君がまた笑顔になって私が君の靴を踏もうとしたらもっと嬉しそうにして。私が来ること、待ってたんだ。君の制服が入ったサブバッグ。学校で君に抱きつけないから代わりに君のサブバッグを奪って抱きしめた。君の照れたような笑顔、すごくすごく好きだよ。その後バイバイって君は帰っていったけど、幸せだった。
こんなことしてる私たちだけど、実は付き合っていない。私は君の告白待ちなんだけどなー?笑
そんな可愛らしい君と生涯を共に過ごせる人は世界一幸せだよ。君のこと旦那さんって呼ぶ少しの可能性を私は信じてるよ。だからね、卒業式まで私はちゃんと待ってるからね。

題材「夫婦」

11/21/2024, 11:32:27 AM

わ、私一体どうすればいいの…!?

私と保育園からの幼馴染。直接的な接点はあんまりなかったけどそれなりに一緒になることはあるし同じクラスになった。私は君のことが嫌いだった。学年が上がっても猿みたいで全く成長しない男子は邪魔くさいしうるさいからって。

でも2年の後半から好きなアニメが一緒で一気に距離が縮まった。私もあんまり君のこと知らなかったみたい。案外良い奴じゃん。君といるとすごく楽しい、なんか今までごめんって1人で思ってた。

3年に上がってから君は頻繁に私にちょっかいを出すようになったよね。

「なんでこのキャラクターのシャーペン使ってんの?」

「んー?好きだから。私1番好きなの、このキャラクター」

こんな会話をした翌日からよく私の筆箱からお気に入りのシャーペン取って行った君。

「俺、このシャーペン好きだわ。」

…え、どゆこと笑 代わりに君が使っているシャーペンを私に渡して君が去っていく。それから君はよくシャーペンを交換しにきた。エスカレートして筆箱を交換するようにもなった。君が私のプリントを奪って私の苗字を君の苗字に書き換えたこともあったね。周りからは「アンタら付き合ってんの?」とか「もう籍入れたんだ〜♡」みたいなこと言われたけどびっくりして状況を把握出来なかった私は否定すらしなかった。
君は私の問題集の解答に落書きをしていくわ、私の席に座るわで毎日ちょっかいを出していた。そんな君が好きになっていたのに気づいたのはここ最近のこと。君が私のことをどう思っているのか分からないけど、かまってほしそうな君を見ているうちに好きになってしまったんだよ?もう今年で卒業しちゃうし同じ学校目指してる訳じゃないから会えるかもわかんなくなるよね…寂しいな。

で、でもね…さすがの私でも君がぐいぐい来るのには全然慣れてないんだよ?君に頭ポンってされるし成り行きでハグもどきまでしちゃったし…もう本当にどうすればいいのーーーー!!!?っていうか君はどう思ってるのよー!?

題材「どうすればいいの?」

11/20/2024, 11:41:09 AM

My treasure is...

いつかの私はそうやって不器用に英語を使って大切なものを発表していたっけ。

小さい頃は可愛いものやカラフルなものが好きでよく集めていた。母の化粧道具からリップを探し出してはよく塗っていた記憶もある。キラキラした世界が見えていたんだ。でも成長が早くて周りより身長が高かったこと、覚えるのが好きで周りより知識量が少しだけ多かったことがあって先生から大人びていると何度も言われた。1番記憶に残っているのは私だけ「○○ちゃん」と呼ばれたことがなかった。1度も。そのせいか、自分の好きなものを素直に好きだと言えず徐々に周りに馴染めなくなったんだと思う。

成長していくにつれ、周りは女の子らしいお洒落や美容に関して関心が湧く時期になった。私も興味はあった。ただ、周りの環境の影響もあってか、女の子として生きづらい自分がいた。女の子である自分も別に嫌いではない。ただ、時間が経つにつれて男の子でいたいと思う自分が強くなっていった。周りもいつしか「男友達みたいで安心するわ」とか「女として見れない」って男の子としての私を必要とするようになった。

私は髪を切った。部活で邪魔になるからって言うことを言い訳にしたけど、本当はもう女の子でいる自分を捨てる覚悟を決めたからだった。短いマッシュヘアに刈り上げを入れる。不安がなかったといえば嘘になる。それでも男の子として生きていく自分の第1歩と思えば難しいことではなかった。鏡に映った自分は男の子そのものだった。なりたい自分にようやく出会えた気がして心臓は高鳴ったままだった。

今になってみると、自分のために自分が決断してきた過去がとても愛おしく思える。いつか捨ててしまった女の子としての自分も大切な「自分」である。覚悟を決めた男の子としての自分も大切な「自分」である。だから私は女の子としても男の子としても生きていくことを決めた。大切な宝物、それは自分自身であった。自分自身を愛さないことには、自分自身と向き合わないことには人生というのは始まらないものである。今までの想い出全部を振り返って今だから言えること。

My treasure is myself.

題材「宝物」

11/19/2024, 11:23:54 AM

灯火。燈。あたたかく落ち着きのあるイメージ。寒さが増すほど恋しくなるもの。火を灯すだけで安らぐ。だからこそ多くの人から愛されているのだろう。

キャンドルというものに憧れがあるのに今まで手にしたことがない。使ったことがないからこそロマンチックだとかお洒落だとか偏見とイメージだけが広がっていく。たかがミツロウで固められたもの。それだけのはずなのにそこに燈が点くだけで人は安堵してしまうんだ。

あぁ、今日もまた1日が終わる。ここにキャンドルというひとつの灯火があったのならば、安らぐことができたのだろうか。キャンドルという題材に偏見でしか言葉を紡げない自分に腹立たしさを感じながらなんとなく問いかけてみる。何かが思い浮かぶわけでも変わるわけでもない。「自分」という生物はこんなにも無知な存在であったか。炎が揺れるさまを想像しながら今日は眠りについてみるとする。キャンドル、皆さんにはどんな想い出がありますか?皆さんにとってどんな存在ですか?

題材「キャンドル」

Next