そのまま変わらずにいてくれたらいいのに
君の後ろ姿を見て思った
君の傷が少しでも浅く、なるべく残らないように
僕がなにがなんでも守ってあげるよ
だって今までそうしてきたんだもの
なのに
時間だけあっという間に過ぎていって
僕が居なきゃ何も出来なかった君は
小さな花束を握りしめ目の前に立っていた
ありがとう、僕にそう言ったんだ
あぁ、少しずつ君は
僕の手から離れる準備をしている
それが無性に寂しくて
だから時間なんて意味が無くなればいい
嬉しい門出のはずなのに
本当に僕はどうしようもないね、
ありがとう、と言い返せずに
初めて僕は君の前で泣いた気がするよ
大好きな君にもらった初めての花束は
部屋の隅に吊るしてあるんだ
それが色褪せる頃には
僕も少しずつ君から離れる準備をするよ
君のためにできる事は
もうそれくらいしかないんだろう
大好きな君に、おめでとう、
「太陽のような人」
僕はそんな大人になりたかった
いつでも明るくて 眩しくて
誰かの背中を強く照らす人に
目の前がどんなに朽ちて 荒れ果てても
それでも世界は綺麗だと言える人に
冷たく暗い海の底を歩く誰かの
その震える手を優しく包み込む温かい人に
きっと誰もがそんな大人になりたいと
願ってきたんだろう
現実はどうだ
皆が一日を生きるのに精一杯で
今日もまた何かを諦めて、傷付き、
後悔を背負い 影だけが濃く伸びていく
辛いよな? 辛いよなぁ
今日もよく頑張ったなんて
微塵も思えない真夜中に
太陽のような光などある訳もない
僕もずっとそうなんだ
心の中で何か燻ぶっていても
もういいや、そう思いながら
こんな詩を書いている
諦めたくないだけなのかもしれない
こんな僕でも
いつか、誰か一人だけでいいから
その誰かをを照らす光になりたいのだと
タイムマシーンがあったなら
顔も知らない父親と
どうしても好きになれなかった母親が
出会うのを阻止するんだ
どんなにバチがあたったっていいから
どうか、どうか僕が産まれませんようにと
それで良いと思ってた
だけど、
必死に愛想笑いをする僕に
愛想がいいねと、微笑む老人がいて
すぐ隣に小さな寝息を立てている
無垢な寝顔がそこにはあって
分からなくなったんだよ
自分に向けられた温かい眼差しと
守らなければいけない存在があって
どこかで負けたくない、と
思ってる自分が居て
こんな世界は嫌だ、と
嘆く自分も居て
結局どっち付かずで
優柔不断な僕だから
タイムマシーンなんてあっても
過去にも未来にも行けず今を彷徨う
それでもいいや、と思えた
落ちていく葉に
知らない誰かの命を重ねた
どうしても寂しくなる季節だから
理由はなくとも空しくもなる
僕のなんてことなかった今日という日は
知らない誰かにとっての最期の日だったんだって
そんな考えたって仕方ないのに
だからって僕の一日は別に輝きやしないのに
また葉が一枚落ちていく
冷たいアスファルトに留まる事もできず
風に吹かれただ側溝に流れてく
そんなもんなのだ
命を終えた行く先は
でも
吹かれた葉を追いかける
無邪気な足音がした
その葉を掴まえた小さな手は温かそうで
あぁ 終わるのではなく巡るのだと
優しい手に引かれ歩いてくその反対の小さな手に
握られた葉を見てそう思った
懐かしく思うことは数え切れぬ程
四季の風が香る度、季節の色が変わる度、
いつだってその時その時が必死だった
苦すぎる失敗も、塩辛い涙の味も
その度によく聴いていたあの曲も
懐かしめるようになったのなら
僕にしては上々だろう
今頃あの人はどうしてるだろうか、と
お世話になった人達のその後を思う度
その人達との日々がまた懐かしくて
戻りたい、と寂しくなってしまう僕は
まだまだだなぁ、と苦笑いしてしまうよ
その内今の自分を懐かしむ日が来たなら
その時の自分はどう思うんだろうか
愛想笑いで流され諦め生きてる今の僕を
ほんと馬鹿だったな、と笑うんだろうか
この先、自慢話も名誉も成果も
何も残せそうにもないからさ
味気ない過去になるんだろうけど
まぁいいか、
笑ってくれるんなら