ノーネーム

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1/22/2023, 2:54:33 PM

タイムマシーンがあったなら
顔も知らない父親と
どうしても好きになれなかった母親が
出会うのを阻止するんだ

どんなにバチがあたったっていいから
どうか、どうか僕が産まれませんようにと


それで良いと思ってた

だけど、

必死に愛想笑いをする僕に
愛想がいいねと、微笑む老人がいて

すぐ隣に小さな寝息を立てている
無垢な寝顔がそこにはあって

分からなくなったんだよ
自分に向けられた温かい眼差しと
守らなければいけない存在があって


どこかで負けたくない、と
思ってる自分が居て

こんな世界は嫌だ、と
嘆く自分も居て

結局どっち付かずで
優柔不断な僕だから

タイムマシーンなんてあっても
過去にも未来にも行けず今を彷徨う


それでもいいや、と思えた

11/24/2022, 12:04:11 AM

落ちていく葉に
知らない誰かの命を重ねた

どうしても寂しくなる季節だから
理由はなくとも空しくもなる

僕のなんてことなかった今日という日は
知らない誰かにとっての最期の日だったんだって

そんな考えたって仕方ないのに
だからって僕の一日は別に輝きやしないのに

また葉が一枚落ちていく
冷たいアスファルトに留まる事もできず
風に吹かれただ側溝に流れてく

そんなもんなのだ
命を終えた行く先は
でも

吹かれた葉を追いかける
無邪気な足音がした
その葉を掴まえた小さな手は温かそうで

あぁ 終わるのではなく巡るのだと
優しい手に引かれ歩いてくその反対の小さな手に
握られた葉を見てそう思った

10/30/2022, 1:55:05 PM


懐かしく思うことは数え切れぬ程
四季の風が香る度、季節の色が変わる度、

いつだってその時その時が必死だった
苦すぎる失敗も、塩辛い涙の味も
その度によく聴いていたあの曲も
懐かしめるようになったのなら
僕にしては上々だろう

今頃あの人はどうしてるだろうか、と
お世話になった人達のその後を思う度
その人達との日々がまた懐かしくて
戻りたい、と寂しくなってしまう僕は
まだまだだなぁ、と苦笑いしてしまうよ

その内今の自分を懐かしむ日が来たなら
その時の自分はどう思うんだろうか
愛想笑いで流され諦め生きてる今の僕を
ほんと馬鹿だったな、と笑うんだろうか

この先、自慢話も名誉も成果も
何も残せそうにもないからさ
味気ない過去になるんだろうけど

まぁいいか、
笑ってくれるんなら


9/30/2022, 7:07:30 AM

静寂に包まれた部屋の中
少しだけ開けた窓の隙間から

またひとつ、季節が流れる風の匂いがした
名も知らない小さな花が揺れていて


虚しさ続くここ数年
汚れてく未来にもう夢を描けなくなった
普通に生きることさえ難しくなったこの時代に


まだかろうじて心だけは
あの頃を宿したまま
散らかったこんな部屋の中からでも
見えるこのありふれた景色を

綺麗だ、と思える心が
まだ残っていて良かった

9/25/2022, 2:02:39 PM

窓から見える景色をただ眺めていた
真っ直ぐ走る電車の中
座席の端に肘をついて
レールと車輪の擦れる音だけ響いていた

終点は無いらしい
各々ここだと決めて降りていった

ポツポツと降りてく背中を見送って
色々あったなぁと思い返しては
窓に反射した自分の顔はちゃんと笑えていた

もう十分かもしれない
だってこれ以上もう頑張る意味が無い気がした
絶望はしたよ 悲観も嫌になるくらいに
あがいて あがいて
一人隠れて泣いた夜も人並みにあった

だから、もういいよ
ここまでこれたなら十分だ、と
そう思った自分に驚いたけど
案外あっさり受け入れられたのは
きっと後悔は無かったから

見ての通りこんな世の中だ
助けてくれる人は居ないと分かって
自分で決めて、選んで進んできた道程だ
結末を決めるのも自分自身だ


だから終点を決めた


窓から見える景色は
焼き付けるにはあまりに見飽きてしまったから
少しだけひと眠りしたら
この電車を降りよう

よく頑張ったよ、と
笑って降りよう

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