ノーネーム

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窓から見える景色をただ眺めていた
真っ直ぐ走る電車の中
座席の端に肘をついて
レールと車輪の擦れる音だけ響いていた

終点は無いらしい
各々ここだと決めて降りていった

ポツポツと降りてく背中を見送って
色々あったなぁと思い返しては
窓に反射した自分の顔はちゃんと笑えていた

もう十分かもしれない
だってこれ以上もう頑張る意味が無い気がした
絶望はしたよ 悲観も嫌になるくらいに
あがいて あがいて
一人隠れて泣いた夜も人並みにあった

だから、もういいよ
ここまでこれたなら十分だ、と
そう思った自分に驚いたけど
案外あっさり受け入れられたのは
きっと後悔は無かったから

見ての通りこんな世の中だ
助けてくれる人は居ないと分かって
自分で決めて、選んで進んできた道程だ
結末を決めるのも自分自身だ


だから終点を決めた


窓から見える景色は
焼き付けるにはあまりに見飽きてしまったから
少しだけひと眠りしたら
この電車を降りよう

よく頑張ったよ、と
笑って降りよう

9/25/2022, 2:02:39 PM