ノーネーム

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8/16/2022, 1:32:25 PM

誇らしさ?
あいにく自分に値打ちがあるなんて
一度も思った事はないよ

強いて言うなら詩を作る事
なんて嘘だよ、言ってみたかっただけ

どうしても書けないんだ
誰かの為に前向きに頑張れと
背中を押せるような詩も

誰かの為に優しく大丈夫だよと
包み込めるような言葉も浮かばず

結局自分の為だけに書いてる
吐き溜めみたいな僕の詩が
自分の誇らしさなんてあまりにも傲慢だ

それでも苦しいが消えないこんな夜は
自分の言葉で吐き出さなきゃ
本当に死んでしまいそうで

それはきっと僕だけじゃない
その中で

頑張れと真っ直ぐな詩を書いてる人がいた

泣いちゃうくらい優しい詩を書いてる人も

キラキラと輝くような恋の詩を書く人も

難しい言葉を綺麗に紡ぐ詩を書く人も


比べてしまう自分が情けないけれど
そんな詩を僕も書けたら…と
今日も誰かの詩を読む



8/11/2022, 3:14:09 PM

定番の遊具があるだけの
小さな公園の錆びたベンチの脚の側に
誰かが落とした麦わら帽子が
空を仰いで落ちていた

昔は猛暑の日なんて無くて
夜は寒いくらいだった田舎の町も
今じゃ灼けつく肌が刺すように痛くて
夜になっても冷めてくれない

耐性がない僕には生き苦しい季節になった

こんなんじゃなかったのにな
毎日麦わら帽子を被っては
夢中で夏を追いかけ回していた
自分は無敵だったんだよ、あの時確かにね

ある時無敵な少年は少しずつ違和感を覚えた
同じ夏のはず、なのに
見える景色はどんどん変わっていく
背丈が伸びたせいにしていたけれど

自分を守れ、と
警告音が蝉のように鳴り響いた
自分の声でさえ聞こえないほどに

それでも無敵であろうとした
負けたくなかった、頑張れば報われる
大丈夫、大丈夫、
ひたすらに麦わら帽子を握りしめてた

でもね
そもそも敵なんてどこにも無かったよ
自分で敵を決めつけて意気がってただけで

警告音を無視した僕には守るすべもなく
麦わら帽子は静かに灰になっていった

無防備なまま影だけが長く伸びて
もう何度目の夏だろう

警告音はもう鳴らない
自分の声だけが虚しく日暮れに鳴いて

いつの間にか
あの麦わら帽子は影も残さず無くなっていた

それでも
強くなりたい、僕の声だけが
ぬるい夜風に響いていた


8/8/2022, 2:21:34 PM

蝶も花もなかったよ、僕には

絶えて枯れて散らばっていた記憶は
今もこびりついてるけど
愛でられた記憶はやっぱり無いみたい

だからあの日捨てた
自死を選ぶよりは、と

それが親不孝とでも?
実際子を捨てる親はあちこちに居るのに?


蝶よ花よと愛でられてきた君は
こんな僕でも受け入れてくれるんだろうけど
理解はできないんだろう


実際少し離れた所に居る君は
ちやほやされ愛し愛され
周りが理想とする幸せの形そのものだ

君は何のために愛でられて生きてるの?
そんな君を見てそう聞きたくなった

それは親のため?見せびらかすため?
それともそれが無性の愛ってやつ?

自分のため?には僕には見えなくて

今が幸せで楽しくてそのままでいいなら
僕は何も言わないけど

あの日あの場所で
猫柳の枝を粉々に折ってたのは
紛れもなく君で

分からなくなった
蝶よ花よのその束縛と
蝶も花もない無関心と

一体どちらが幸せなのかな?

8/7/2022, 1:00:41 PM

最初から決まってたんなら
教えてくれりゃ良いのに

過程はいらない
結末だけでいいから
ばらしてくれりゃ良いのに

そしたらいつも笑って生きてやるよ
抗うのもやめて 全部受け入れて
寿命を全うして笑って死んであげるよ

自分は特別だとでも思っていたんだろう
バカみたいだ だからこうなる

なんとかなるさ、って
自分を慰めるのにも
どうしよう、って
自分で追い詰めるのにも飽きてきた所さ


今ならどんな結末でも素直に聞けるよ
だから丁度いいや

最初から決まってたんなら
早く教えてくれよ結末を

8/3/2022, 11:52:44 PM


随分と淡く柔らかくなった部屋を見ていた
君の色しかない世界になった

置きっぱなしのライターも
黒のピアスもその他細々と散らばっていた
僕の物は全部僕のポケットの中

君の目が覚めるまでに、と

いつからだったかは覚えてない
気まぐれにそれっぽい言葉を吐いて、吸って
寂しい時だけのただの捌け口

そんなのいつか邪魔になる
それでも良かった、はずなのに

でもごめん、ギブアップ
それは恋でも情でも、ましてや愛でもない
欲だよ、ただの塞がらない傷の舐めあい

一番欲しい物が分かってしまった
多分君も気付いてる

だから暑くてうっとおしい
賑やかなこの季節ならいいと思った

酷いのは今更、寂しいも痛いもお互い様
でしょ?

一言書いたメモを置いてくよ
その綺麗な白いテーブルに

最後に見るのは
朝日が差しはじめたカーテン
目が覚めないふりをしてる君の背中

もう僕に縋ってこない、
言葉のいらない君の答えに
少しだけ手が震えたけど

君の目が覚めるように
前を向けるように
わざと音を立ててドアを閉めて


さよなら、

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