ノーネーム

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随分と淡く柔らかくなった部屋を見ていた
君の色しかない世界になった

置きっぱなしのライターも
黒のピアスもその他細々と散らばっていた
僕の物は全部僕のポケットの中

君の目が覚めるまでに、と

いつからだったかは覚えてない
気まぐれにそれっぽい言葉を吐いて、吸って
寂しい時だけのただの捌け口

そんなのいつか邪魔になる
それでも良かった、はずなのに

でもごめん、ギブアップ
それは恋でも情でも、ましてや愛でもない
欲だよ、ただの塞がらない傷の舐めあい

一番欲しい物が分かってしまった
多分君も気付いてる

だから暑くてうっとおしい
賑やかなこの季節ならいいと思った

酷いのは今更、寂しいも痛いもお互い様
でしょ?

一言書いたメモを置いてくよ
その綺麗な白いテーブルに

最後に見るのは
朝日が差しはじめたカーテン
目が覚めないふりをしてる君の背中

もう僕に縋ってこない、
言葉のいらない君の答えに
少しだけ手が震えたけど

君の目が覚めるように
前を向けるように
わざと音を立ててドアを閉めて


さよなら、

8/3/2022, 11:52:44 PM