第8話
【友情】
大切なのは―――
辺りは雨が降っている。
今日の帰りは二人きり…!
同じ傘に入って、なんだかドキドキしちゃうっ!
まるで、私の周りは快晴のよう。
やっぱり、私、アタックが大事だと思った!
だからね!蓮の傘に入らせて頂いた訳ですよ~!
とは言え…
いつ蓮に聞こえてもおかしくはないほどの
鼓動がうるさい。
こんな距離…初めて…ではないけど、うん。
(今しかないよね…!!!)
私は 蓮に告白するタイミングは今しかない、
そう思った。
でも、あのコトが頭をよぎった。
『海斗は蓮が好き』
友情。
三人の友情。
私一人の恋愛より、三人の友情の方がよっぽど大事。
…分かってる。
分かっているんだよ、。
でも、大好きになっちゃったならしょーがなくない?
そりゃ、私の告白が上手くいこうがいかないが、
その後三人で今まで通り仲良くは不可能に近いよね…
「そっか、!告白しなければ良いんだ!」
「どした美玖!?」
「ねぇ、蓮、」
鼓動がさっきよりうるさい。
お願い…!今だけは静かにして……!
「こっち向いて」
私は蓮にキスをした。
目の前にいる、幼なじみで私の好きな人は、
目をまん丸にして驚いた。
こんなに驚いているトコ、初めて見た!
キスなら告白に入んないし…!
キスなら三人の関係も壊れるコトはない…ハズ…
本当に?
そのうち、
なんでキスしてきたとか聞かれるんじゃない?
そんなことどーでもいいんだ…っ!
もうっ!
神様ごめんなさい!
私に気持ちを抑えるのは無理でした、!
お願いです!
告白するのを許してくださいっ!
「蓮、私、蓮のコトが大好きっ!付き合って!」
【つづく】
第7話
【花咲いて】
下校中、俺は見てしまった―――。
下校時間、俺は日直の仕事があった。
だから、蓮と美玖には先に帰ってもらった。
本当は帰らせたくないけど…まぁ、
待たせるのは蓮に申し訳ないし、しゃーないか、。
「よしっ!終わったー!」
日直の仕事を終わらせた俺は少しでも早く、
二人に追いつくため、走って学校から出た。
「あ、二人だ!」
二人の背中を見た俺は、叫ぼう
…とした。
俺は見てしまった。
二人の恋が 咲いていた姿を
なんでわかってたって?
…二人はキスしてたんだよ、。
やっぱ、世間、いや、神様は俺と蓮の恋より、
美玖と蓮の恋を応援してたんだ。
「あぁ、俺、おじゃまだな…」
俺は空にそう、ささやき嘆いた。
綺麗な花が咲いている。
それも、俺とは真反対に。
雨が降ってきた。
いつの間にか二人の背中は見えない。
天気さえも、俺の味方をしてくれないのか、。
びしょびしょになった身体。
びしょびしょになった顔。
涙で濡れたか雨で濡れたか、それとも汗でか。
あ、全部か。
「明日から二人とどー接すればいい…」
ぐちゃぐちゃになった俺には、
考えるコトすら できなかった。
【つづく】
第6話
【もしもタイムマシンがあったなら】
未来を知りたい――――。
「海斗ー」
私、美玖は海斗に聞いた。
でも 蓮に好きな人はいなかった。
あぁ、こんなの、聞かなければよかった。
タイムマシンがあったら過去に戻りたいよ…
海斗は蓮に顔を近づけ、私に笑顔を見せた。
その瞬間、私は察した。察してしまった。
海斗は蓮が好きなんだと。
「ふふっ」
案の定、当たっていた…!?
いやいやいや…私、腐ってませんし!
そーゆー恋、こっちからしたら求めてませんから!
周りは求めているだろーケド…汗
…でも、蓮、もしかしたら海斗が好きなのかな。
両想いなのかな。
こんな想像はしたくないぃ!
気づいたら私は、蓮に顔を近づけていた。
それも、海斗に対抗するように。
キーンコーンカーンコーンキー( ˙-˙ )ーン
チャイムがなった瞬間、私の頭に激痛が響いた。
蓮が急に起き上がったんだ。
この状況…なんて説明すれば…!
「ダァァァァッシュ!」
私は逃げた。
でも、意味はない。
だって、
蓮と同じクラスだし、帰りあたり聞かれるだろーし。
「さぁ、どーしましょ」
…いっそのこと、告白しようか。
うん、それがいい!
だって!告白しちゃえば!海斗にとられない!
それにさ、もし、ダメだったら、諦められるし、。
よしっ!
「そーと決まれば帰り、告ろうー!」
私にこの恋が、どーなるか分からない。
タイムマシンがあっても、きっと未来に行かない。
だって、楽しみだもんっ!
第5話
【今一番欲しいもの】
僕…蓮が欲しいのは、確信だ。
海斗と美玖が話している様子をみると、
美玖は、海斗のコトが好きなように見える。
海斗が美玖をオトそうとしているようにも見える。
「してませんよーに!」
つい声が出てしまった。
「何が?」
「うわぁ!?」
そこにいたのは、美玖だった。
「いつもだけど急に話しかけんなー」
「へへ」
「なんだよ へへ って…」
僕は思った。いや、前から思っていた。
「なぁ、美玖、お前好きな人いんの」
僕は聞いてしまった。
なんの前フリもなかった。
そーゆー雰囲気でもなかった。
だから、美玖は目をまん丸にして驚いている。
僕も そのくらい驚いている…と思う。
「わかんない」
目の前にいる美玖は、
僕の隣を歩きながらそう答えた。
いやいやいや、わかんないってなにーーーー!
「わかんないってなんだよ」
「うーん、わからなくはないよっ!」
「じゃぁなんだよ」
「…言うのが恥ずかしいだけっ」
なんて可愛いんだ…
…恥ずかしくてわかんないなんて答えるか?
ま、いいーや
「そっか、」
「まっ!そのうちわかるよっー!」
「ったよー」
せっかく、自然な感じ&勇気をだし て言ったのに…
そのうちわかるってなんだよ。
まるで、何かを計画しているかのように
美玖の言葉には確信があった。
休み時間―――
僕は寝ていた。
すると、隣に美玖と海斗がいた。
話しているようだ。
なんでわかるって?起きているからさ。
机に倒れかかっている冗談。
「海斗ー」
「どした?」
…盗み聞き
こんなのしちゃダメってわかっている。
でも、二人の関係も気になる。
そして、美玖がどう思っているかとか。
「蓮って誰が好きなのかわかる?」
「なんだよ急に」
ほんと、なんで急に僕の好きな人なんて…?
僕の頭の中はハテナであふれていた。
海斗は言った。
「知らないケド」
「ふーんそっか!」
「…いないんじゃない?蓮のことだし。」
いや、いますよ!すぐ隣に!
「そっか」
だから!いますって!
「美玖はいるの?」
「…いるよ。でも、もーいいや!無理だしさ」
美玖…?どーゆー事だ?
「それは残念だな。ま、諦めたならそれでいいよ」
数秒経って美玖は言った。
「まさか、海斗…!?」
「ふふっ」
ふふっ?顔近づけているのか?あいつは?
何がおこっている。
横目ならどうにかバレない…よな。
バレないようにそっと、、、
キーンコーンカーンコーン( ˙-˙ )/キーン
くそっ!もう少しだったのに…!
『痛ッッッ』
三人の痛いという声が僕には聞こえた。
実際、僕は頭が痛くなった。
急に起き上がった。周りを見てみる。
そこには、僕を真ん中に、痛そうなポーズをしている美玖と海斗がいた。
あぁ、きっと三人でゴッツんしたのかー!
…なんで?
どーやったらゴッツんなる?
寝ている間に何かあったのか?
あぁぁぁ過去に戻せる魔法が欲しいー!!!
「何があったの?二人とも…?」
【つづく】
第4話
【私の名前】
今日は、美玖がいない帰り。
こんなのいつぶりだろう。
海斗が
「蓮のことならもう、知ってるよ」
って返して、なんだかドキってした。
男同士なのにドキって変か。
「蓮、俺…実はさ」
「どうした?」
海斗が話しかけてくるのなんか新鮮…!
って思っていたら突然、顔を近づけてきた。
「!?」
そりゃびっくりするわ。
「ふふっ」
海斗は、僕の顔の近くでニコってした。
(ドキっ)
「蓮の顔が可愛くってね」
「なんだよそれ」
「そのままの意味だけど」
海斗…お前まさか…これ女子にもしているのか…
そりゃモテるわな…ゴゴゴ
「蓮って名前いいよね!」
「いや、だからさっきからなにぃ~」
「美玖って名前もいいけど、蓮とは似合わないよ」
「…どした」
「ううん!じゃなー」
翌朝――
昨日の海斗がしていたやつ、美玖にしてみようかな…
いや顔近づけてニコとか、恥ずかしぃよ…
心臓壊れるって…
でも、あのくらいしないとドキドキしないよな
男の僕でさえドキドキしたもの。
待てよ…
海斗、美玖にしているんじゃね
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ
いや、してないよ!あいつは!
う…でも仮にしていたら美玖は海斗に夢中だろうしな
してな…いよ…絶対…多分きっと!
「してませんよーに!」
「何が?」
「うわぁ!?」
【つづく】