第3話
【視線の先には】
朝、俺は美玖達と合流するためにいつもの曲がり角にいた。いつもなら、いるはずの二人がいない。
なんで…なんで…
昨日の二時間目の休み時間、確かに美玖に言った。
今日は絶対に確実に三人…いや、もしかしたら二人で登校したかったのに。アイツ…
「ごめーん!海斗!」
美玖だ。まぁー、日数はまだあるし。
でも…早めにしないと、取られてしまうよな
「大丈夫だよ。気にしないで」
「ありがとうー!!感謝です~!」
「同じ意味だね」
キーンコーンカーンコーンキー( ˙-˙ )
「蓮っ!」
俺は、違うクラスの蓮にいつも話しかけている。
毎日昼休み、蓮はたまに美玖と話しているけど、
大体は二人が話す前に俺が話しかけている。
なんていうか…話すのをわざと邪魔している。
自分でも分からないけど多分嫉妬。
なんか、蓮と話している時は、味わったことがないほど楽しくて 本当の笑顔になれる、気がする…
バイバーい じゃな 笑笑 また明日ー それでさー
下校は毎日三人。
委員会とかあっても、待つ。
必ず三人揃ってから学校を離れる。
(あれ…?)
「あ、海斗ー今日美玖、早退したから二人だわ」
本当!?二人きりだとぉ!
蓮を独り占めできるって訳か…
「そっか。あんなに元気なやつでも早退するんだな」
「美玖、意外と体調不良になりやすいからさ」
「流石 幼なじみ…」
「海斗も早く僕のこと知ってよなー!」
「蓮のことならもう、知ってるよ」
「…どした」
「早く行こうぜ」
「おう」
俺の視線の先は、いつも蓮。
同じ空間にいたら蓮しか見れない。
親友の特権
”親友”の関係を壊したくない。
でも俺は、
親友の蓮が好きだ。
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読んでくださった方、ありがとうございます。
気づいた方もいると思いますが、
この話は連載になっています。
好評だったら続けていくつもりです。
また、過去の1話、2話もありますので、
それと合わせて読んでもらえたら幸いです。
第2話
【私だけ】
あぁ~幸せだなぁ
私だけ、楽しい思いをしている!
キーンコーンカーンコーンキー( ˙-˙ )ーンポ
「美玖ー」
「!? どした 蓮」
「…いや、別に」
どうしたんだろう。
「私にできることがあったら言ってよね!」
「ありがと」
なんてたって、蓮は幼なじみなんだし、私にかかればなんでもわかるってのー!
…でも、私、最近なんか変なんだよね。
「ねぇねぇ美玖」
「海斗じゃん!どした~」
「明日一緒に朝登校しような!約束!」
「わかったよー!おけっ!」
今は二時間目の休み時間…なんで朝の約束なんだ笑
まーいつも三人で登校しているけどね。
次の日――
「おっはよー!」
「おはよう…美玖」
うーん、やっぱり私変だァ!もぅ!わかんなーい!
(...海斗と約束してたんだったやば 汗汗)
「ねーねー、海斗あっちだし、よってい…」
「美玖。」
『ごめん!そっちから言ってください!』
かぶった!?
「はははははっ!もーなんだよ美玖ー」
蓮の笑い声、久々かも…そんなことないか。
「さっすが幼なじみー!」
「…そうだなっ」
あ、学校着いちゃったっ!
海斗、約束破ってごめんよ~ぉ!
でも…なんか楽しいな。
海斗のこと、忘れちゃった(ノ≧ڡ≦)☆
5歳の頃、お気に入りのキーホルダー無くしちゃって
それを届けてくれたのが蓮だったんだよなー。
すごく 優しくて私から話しかけていた。
今もだけどね!
私はそんな優しい幼なじみが好き…なのかな
「蓮…なんで美玖と一緒にいるんだよ…」
【つづく】
第1話
【遠い日の記憶】
もし あの頃に戻れたら
どんなに良かっただろう――
キーンコーンカーンコーン( ˙-˙ )/キーンコーンピー
「蓮ー!おーそーいー!」
「なんだよー美玖。別にカンケーないだろ…って、
まさか、また一緒に帰るつもりかー?」
「おぉ~、やりますね~!」
「マジかよ」
僕は 幼なじみの美玖が好きだ。
でも、こーゆー楽しい関係を壊したくない。
だから、好きって気持ちは ずっと心にしまっている。
「よー!お二人さんっ!」
こいつは、海斗。僕と美玖の親友だ。
小4の時にこっちに転校してきて、
そこから 7年間ずっと仲が良い。
あ、美玖とは5歳の頃からずっっと仲が良い。
美玖がめっちゃ話しかけてたんだよなー。
「じゃ!私達あっちだから帰るね!蓮、行こ!」
「じゃーなー!二人ともーッ」
「また明日ー」
(ドキドキドキドキドキドキ…)
止まれ、心臓の音、、
何故か今日はいつもより心臓の音がうるさい。
なんだろう。夕日をバックに美玖が輝いている。
止まらないドキドキ。
いつ漏れてもおかしくない、僕の好きという気持ち。
抑えるんだ…抑えるんだ…
「どしたの~?」
「きゃっ!」
最悪だ。驚きのあまり、声が裏返った。
ちょー恥ずいんだけど…
「も~なんなの笑 驚かないでよ笑笑」
「そっちが急に声をかけてくるからだろっ!」
「ごめんごめん笑笑」
話しかけられて良かった…
このまま自分のドキドキを聞いててもつまんないし。
恥ずいけど。
「いい加減、笑うのやめて…」
「ゔっゔっん ふぅー。…ははは×2 笑笑」
「まったく、やめってってばー」
「だって 頭の上にカエルが乗っているんだもん笑」
ケロケロケロケロ~
「カエルさんに気に入られてるね!」
「っ!もう帰る!」
「”かえる”だけにね笑笑」
「そんなつもりじゃなーーーい!」
あー、好きだなー。
…恥
「ただいまー」
僕は、何故かアルバムを取り出した。
思い出したくなった。
アルバムには美玖と二人の写真がたくさんあった。
途中から海斗も写ってた。
三人とも笑顔で。
これ、僕が海斗のボール、木の上にあげちゃった時じゃん…海斗、ちょー優しかったなぁ~。
「申し訳なさすぎる…ごめんよ海斗…」
未だに反省しているこの出来事。
そんなたくさんの楽しい思い出が記憶とともに蘇る。
トントンッ
「おっはよー!」
「おはよう…美玖」
毎朝、眠い僕を登校中起こしてくれる。
(朝っぱらからドキドキさせんなよ…)
【つづく】
空を見上げて心に浮かんだこと…
そもそも、空を見上げない
だって 空を見上げると
涙を乾かしているように見えるじゃん
泣かない
泣きたくない
青い空
明るい太陽
そんな理想 どこに行っちゃったんだろう
今は 雨なのに
終わりにしよう…
「付き合ってください!」
長年の片想いはこれで 終わりにしよう。
片想いはこれで終わり、
これからは、両思いなんだから!