問い続けている。何で存在しているんだろう。自分にできることをずっと考え続けている。
友人も学生の時から同じように問い続けていた。言葉にならないような焦りや、もどかしさ。何だか分からないけれど、どこか満たされないような気持ちを話し合った。
なかなか会えなくなってからも、時々そんな思いを文字にして送ってきてくれた。時が経つにつれ、回数は減ってきても、色々な思いが綴られていた。ある日突然、パートナーができたと知らせてきた。それ以来、ぱたっと連絡がこなくなった。彼女の問いかけは、もう終わったのだろうか。聞く相手がパートナーに変わっただけなのかもしれないけれど。
私の問いは、ずっと続いている。生活環境が変わっても、それは変わらない。おそらくこれからも。いつか答えは出るのだろうか。自分に期待するなともう一人の私が言う。でも、また別の私がもっともっとと言ってきて、終わらないのだ。
「終わらない問い」
久しぶりに友人の家を訪れた。すっきり整理された部屋の椅子に腰掛けると、壁に羽根のついた飾りがあった。「お土産にもらったの。何か縁起がいいものらしいよ」。「何かいいことあった?」。「あったのか、なかったのか」。
コーヒーを飲んでいると、友人の携帯電話に連絡が入った。幼なじみからだそうだ。「近くまできているみたい」。「ここに呼んでみたら?」。
友人とその人は、側から見てもいい感じだと思っていた。でも、友達なのだそうだ。「ああ、いいの?」。「私は、いいよ」。
しばらくすると、玄関のチャイムが鳴った。人懐っこい笑顔がのぞく。「どうぞ」。友人の声もどこか弾んで聞こえる。ドアが大きく開くと、開いた窓からさーっと風が通り抜けた。「あ、飾ってくれてるんだ」。嬉しそうな声がする。
壁の羽根飾りが、さっきの風で優しくふわふわと揺れていた。
「揺れる羽根」
その人のところに行くのは、少し憂鬱だった。仕事で時々訪ねていくと、大きな体を机からはみ出させるように座っている。怒っているというわけではないけれど、無愛想な感じだった。
ある時、その人が机の引き出しを開けると、奥のほうに小さい箱が見えた。小花が描かれた紙の箱だ。ほかの持ち物とは明らかに違う。何だろう。気になったけれど、気軽に聞く雰囲気ではない。その人の前では、緊張してしまうのだ。
別の日に訪ねると、その人は引き出しを開けたまま作業をしていた。あの箱が見える。「あ、来たね」。珍しく顔をこちらに向けてくれる。その日は、話せるような気がした。
「あの、その箱…」。「あ、これ?」。奥からそっと出して箱を開けてくれた。飴が入っていた。「もしかして、似合わないとか思ってる? この席に前いた人が置いていったの。飴が入っていたから、継ぎ足して使ってる」。笑顔でそう言うと、一つ出して手に乗せてくれた。
もらった飴は、黒糖味ですごく甘かった。その人の知らなかった顔を見たようで、少しうれしかった。
「秘密の箱」
無人島なら、きっと雑草がもしゃもしゃと生えているだろう。虫除けスプレーは、絶対持っていかないといけない。
今年の夏は暑くて蚊も少ないと言われていたのに、結構よく刺された。ちょっと薄暗いところ、道端の草むらの近くなどを通った後、よくやられた。やっかいなことに、最近は刺されるとずっとかゆい。赤く腫れてしばらくはひかない。面倒なことになるのだ。
いそうな所は、だいたい分かる。気配?がする。ちょっと涼しくなった夕暮れは危険だ。
無人島には、蚊以外にもいろいろな虫がたくさんいそうだ。アウトドア用の虫除けに、長袖と長ズボンに…。
こんなことで、無人島を楽しめるのかしらん。
「無人島に行くならば」
夏の疲れをいやすように、風が室内に入ってくる。秋の風は少し肌寒くて、羽織る上着の温かさが心地よい。乾いた枯葉の匂い、どこからか香ってくる金木犀の香り。秋の匂いは、香ばしい。
秋の日差しは、思いのほか強くて木々を焦がすように照らしてくる。日が落ちると、赤い余韻が空に残って、山が影絵のようにみえる。
そんな秋が似合う人がいた。あたたかいようで、どこかクールだ。物憂げな目をして、時々人を寄せ付けない顔をする。何やら、ややこしそうだ。でも魅力的にみえる。秋風はそんな思いものせて、通り過ぎていく。
「秋風🍂」