sunao

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12/18/2024, 12:53:39 AM

僕らは毎晩星の上で会う。

絵に描いたような星の右肩にきみ
左肩に僕。

きみはホットティー
甘党の僕はココアを手に
星空の中で
とりとめもない話を夜中してる。

だけど朝が近くなった頃
なぜか僕の姿は追いやられて
僕のいた場所はマレーバクになりかわられてしまう。

僕は覚えているけども
目覚めたきみはどこまで覚えているのだろう。
夢の中で毎晩会う僕のことを覚えているだろうか…




「とりとめもない話」

参考 : 12/4「夢と現実」

12/17/2024, 2:31:57 AM

俺は視える。

幽霊ではない。

なんだ?あれは?
風邪おばけ?とでも言おうか。

風邪をひいてるやつに憑いてるやつ。

今日もいろんな人の肩の向こうに憑いてるのが視える。

今朝においては友人の安田の肩にまで憑いていた。

「ぶへっっくしょいっっ!!」

安田が豪快なくしゃみをする。

「やめろ。」
おはようよりも前に迷惑そうな顔をして安田の出した空気中の飛沫を払う。

「なんだよー。つれねーなー。」
ずるずる。
個包装の使い捨てマスクを差し出す。
「迷惑だからつけとけ。」

「あー?1回くしゃみしただけだろー。」
ずるずる。

俺は呆れ顔でそれ以上言うのをやめたが、安田の肩口には例のおばけが憑いている。
濃さはふつう。
これがもっと薄かったら、あるいは憑いてなかったらその1回のくしゃみだけで終わるかもしれないが、そうでもなさそうだ。
とはいえ今は肩口に憑いてるだけなのでたいしたことはない。
が、ちゃんと風邪にはなってしまっているから正直あんまり近づいてほしくない。

フッ。
おばけが安田の首筋に息を吹きかけた。
ぶるぶるっ。
「わっ。今ちょっと寒気した。」
(だろうな。)
「帰れば?」
迷惑そうに俺が言う。
「えー。せっかくきたのにー?
 冗談言うなやー。」
安田はがははと笑った。

こいつのいろいろ気にしない明るいとこはいいとこなんだがこういう時は困る。

(まあ、まだこれぐらいなら…)
そう思っていたら、1コマの終わりには安田はぐったりしていた。
「なんかだるおも〜。」
机に突っ伏す安田を、おばけが覆っている。
わざと少し離れて座った俺は
「だから帰れって。」
と冷たく言った。
実は気にして時折見ていたのだが、
おばけは肩口から背中の真ん中に移動し、
しだいに息を吹きかける回数を増やしていた。
今はすっかり安田に愛おしそうに抱きついてしまっている。

「熱、出てるかも。
 今出てなくてもどうせ出るから。」
「えー。やなこと言うなよー。」
(しょうがない。
 ほんとは2コマ目も出たかったんだけど…)

ピコンッ。
安田を連れて帰ろうとする俺に、次の授業は休講になったとメッセージが入った。
どうやら先生も風邪をひいたらしい。

安田がしないから俺がマスクをして、安田を家に連れて帰った。
安田の家は意外と片付いている。
「いつでも女の子連れ込めるな…」
と俺が言うと、
しんどそうな顔で、
「でしょ。」
と親指を立てて笑った。
安田を家に置いて俺はいろいろ買い出しに出かけた。

(それにしても………)

安田を連れて学校を出た時から思っていたが、朝より格段におばけの数(風邪の人)が増えている。その事実に俺はゾッとしながら、棚に並んだ鍋焼きうどんに手をかける。

(あいつ、俺が倒れた時治ってたら面倒見てくれるかな…)




「風邪」

12/15/2024, 9:18:12 PM

「あ?何?
 早く降りたい?

 あー、もー、散々聞いたって。
 黙って待ってろ。」

雲の上、耳打ちしてくる雪の子の1人に、銀髪に鎧を纏った冬将軍が言いました。
雲の上には雪玉に手足が生えたような雪の子たちがたくさん。
ゆっきー
ゆっきー(はやくふりたい)
と騒いでいます。

毎年雲の上で冬将軍は彼らと鉢合わせ、そして同じような状況になるのです。

ゆっきー
ゆっきー
雲の上で楽しそうにぴょんぴょん跳ねる雪の子たち。
そのうちの1人が待ちきれず、雲の隙間からぴょんっと飛び降りました。
それを見た何人かも続いてぴょんっ、ぴょんっ。

「ああ!待て!」
ゆっきーーー………
声が遠ざかります。
「今から行っても霙になるだけなのに……」
はあっ、とため息をつく将軍。
「いいか?あいつが合図を出すまで行っちゃ駄目だ!」
遠くにいる雪おこしを指さして、冬将軍が言いました。
ゆっきー…
「大体何でみんな毎年俺の周りに集まるんだ。
 合図を出すあいつの周りにいればいいだろ。」
ゆっきー
ゆっきー(だってこわいから…)
雪おこしは雷なので、雪雲の帽子を被った鬼のような風貌の男なのです。
「だからって俺だって将軍で甲冑も纏ってんだから怖いんじゃないのかよ。」

ゆっきー!(こわくなーい!)
わいわいうれしそうにとび跳ねる雪の子たち。
はあ。とため息をつく将軍は、合図があるまで、なんだかんだ言いながらいつも彼らの世話をするのでした。




「雪を待つ」

12/14/2024, 10:29:40 PM

寒い寒いどこかの森の中、
開けた広い場所があって、その真ん中に大きなモミの木が1本立っている。

いつも夜通し夜空を飾っている星々は
クリスマスの日、その木にとまって憩う。
大きめの星たちがモミの木にとまると、
小さな星や星のかけらたちは、その場所をとり囲む木々にとまる。

冷たい風がびゅう、と吹くと、
星たちは
シャンシャンシャン
と、鈴のような音を出す。

そしてみんなの集いをいわって
大きな木の星のひとつが、チリン、と音を出す。
すると大きな木の星たちが次々音を出し、
キラキラとしたクリスマスキャロルのメロディが、その場所を包んでいく。




「イルミネーション」

12/14/2024, 1:18:34 AM

休憩に
コーヒーを注ぐ
紅茶を注ぐ
緑茶を注ぐ

勉強中のあのこに
ココアを注ぐ

眠れないあのこに
ミルクを注ぐ

かぜ気味のあのこに
レモネードを注ぐ

あったかい飲み物を注ぐ時
そこにある気持ち。




「愛を注いで」

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