sunao

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10/7/2024, 12:32:37 AM

あの頃きみは、色が白くて、くびれのあまりないしっかりとした足をしていて、よちよちとわたしに向かって歩いてきていた。

そんなきみをわたしは
「My little polar bear」
『わたしのかわいいシロクマちゃん』
と呼んでいた。

月日が経って
もうすっかりかわいいシロクマちゃんではなくなったきみだけど、
年頃の、毛並みの美しい狼のように瞬間、瞬間、時折思う。

そんな子に、部活のお迎えなんかの時に、すこし離れたとこで口をパクパクして、
(ちょっと待ってて)
など言われるのは、贅沢なような、もったいないような、無駄遣いなような、うれしいような、複雑な気持ちになってしまう。

これから先、きみが成長したら、わたしはどう思うのかな。
こどもはずっと、どう変わってもかわいいものなのかな。




「過ぎた日を想う」

10/5/2024, 4:09:54 PM

「…カシオペア、
 北斗七星、
 オリオン座、
 それでこれが秋の大四辺形。」

女の子は星座をなぞって、空にすうっ、すうっ、と指で線を描いた。

ただわかる星座をなぞっただけだったが、
その動きは、まるで魔法陣を描くようでも、
空を指揮しているみたいでもあった。

チリン!

北極星が揺れた。

ド・ド・ソ・ソ・ラ・ラ・ソ

空のあちこちで、鈴のような音とともに星が揺れる。

女の子は驚きで目を輝かせる。

とたん、音の数がたくさんになる。

華やかなきらきら星のメロディとともに星たちが瞬く。

きらきらと、星たちが降り注ぐような夜になった。




「星座」

10/5/2024, 5:41:23 AM

僕と彼女はカフェでお茶をしている。

窓の外を落ち葉が降るから

僕たちは小さくなってあの星の形の葉っぱに乗ってくるくると

カップの中で渦を巻いてるミルクに乗ってくるくると

踊りませんか?

そんな風に僕といっしょにこれからを過ごしませんか?

そう言うと、彼女は

「あなたは何を言っているかわからないわ。」

と言ってわらって、ミルクの入ったカップをかき混ぜた。

「でも、いいかもね。」

僕も自分のカプチーノに口をつけると、
口に泡のついた姿を見て、また、彼女がわらった。





「踊りませんか?」

10/3/2024, 11:12:57 AM

メリーゴーランドぐるぐるまわる

巡り会うたび手を振るきみ




「巡り会えたら」

10/2/2024, 12:39:56 PM

ジャングルジムのてっぺんに、形の無いものがいる。

形を持たないもの。

団地はぐるりと建物で、公園を取り囲むようになっている。

4階のわたしの部屋の窓から見える景色には、多くの部屋がそうであるように、その公園が見え、そのジャングルジムも見える。

秋になって公園の木々の葉が落ちても、

通り雨が降っても、

あいつは変わらずそこにあり続けた。


ある時、うちの家が家を建てて、その部屋を出て行くことになった。

荷物をすっかり運び終わり、
その場所との別れ際に、静寂に包まれた部屋で、あの公園をまた窓から眺めた。

きっと明日もその先も、あいつはあそこでこんな時間にはあんなふうにたそがれて、夕日を見ていることだろう。

なにかの奇跡をもう一度など、待っていたりでもするのだろうか。

誰かが来るのを、待っていたりするのだろうか。


夕日を見つめるあいつを見るのを最後に、もうあいつを見ることはないと、安心するような、だけどなんだか淋しいような、よくわからない気持ちになった。






100作突破記念 わあ、すごい!
といってもいつも通りで特別なことはない。
「奇跡をもう一度」

7/15 20作 7/27 30作 8/4 40作 8/14 50作
8/23 60作 9/3 70作 9/13 80作 9/23 90作
突破記念の続き。
これまでのタイトルを並べて繋げたもの。
内容は続いていない。
インターバル的なもの。

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