ジャングルジムのてっぺんに、形の無いものがいる。
形を持たないもの。
団地はぐるりと建物で、公園を取り囲むようになっている。
4階のわたしの部屋の窓から見える景色には、多くの部屋がそうであるように、その公園が見え、そのジャングルジムも見える。
秋になって公園の木々の葉が落ちても、
通り雨が降っても、
あいつは変わらずそこにあり続けた。
ある時、うちの家が家を建てて、その部屋を出て行くことになった。
荷物をすっかり運び終わり、
その場所との別れ際に、静寂に包まれた部屋で、あの公園をまた窓から眺めた。
きっと明日もその先も、あいつはあそこでこんな時間にはあんなふうにたそがれて、夕日を見ていることだろう。
なにかの奇跡をもう一度など、待っていたりでもするのだろうか。
誰かが来るのを、待っていたりするのだろうか。
夕日を見つめるあいつを見るのを最後に、もうあいつを見ることはないと、安心するような、だけどなんだか淋しいような、よくわからない気持ちになった。
100作突破記念 わあ、すごい!
といってもいつも通りで特別なことはない。
「奇跡をもう一度」
7/15 20作 7/27 30作 8/4 40作 8/14 50作
8/23 60作 9/3 70作 9/13 80作 9/23 90作
突破記念の続き。
これまでのタイトルを並べて繋げたもの。
内容は続いていない。
インターバル的なもの。
10/2/2024, 12:39:56 PM