草波香

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10/25/2022, 11:42:05 AM

「友達と仲良くしなさい」と嫌いな子と喧嘩した後に言われた言葉に対する返答は決まっていた。「あの子は友達なんかじゃない」だ。まぁソレを言うとまたガミガミ怒られるんだろうが、友達というより、嫌なことを言ったり、無理やり行動したりして、とにかく馬が合いようもない知り合いは居るもので、殆どの嫌いな子はその立ち位置に立っていた。他人に振る舞う礼儀は尽くしている。なぜ第三者が私達の関係をとやかく言ってくるのが当時も今も分からない。別に要らない衝突は避けるべきだとは思う。が、信念を曲げてまで衝突を避けるのは違う。相手が非礼をしたのなら、コチラだってソレを批判したって良いはずだ。喧嘩は悪いことか?誰とでも仲良くしないとイケないのか?友達は同じコミュニティに居る全員なのか?違う。一般的な保護者の思い描く優しさは自己犠牲の優しさで、自己犠牲を子供に強要することが良い事のように言う。優しさは余裕を作らなければ生まれないのに。友達と仲が良いのは、優しくできるのは、その子といると余裕が生まれるからだ。少し気に食わない事が有れば喧嘩して、また何処かで落ち着いて仲が直って優しくなれるのだ。だから、ただのクラスメイトを、知り合いを、顔見知り程度の仲の者を親も含めた第三者が友達と言うのは止めて頂きたいものだ。

10/25/2022, 5:30:22 AM

「行かないで!待って!ちょっと!おーい!」
こちらに気づいてと、大きく両手で手を振る。何をやっているかって?家にスマホを忘れていった人を引き留めようとしているの。相変わらず車の中で音楽を爆音で聞く人なんだから。聞こえていない。あぁ、あそこまで行ったらもうコチラなんて見えないでしょうねぇ。仕方ない。いつだって、「行かないで」と言って止まってくれる事は殆どない。コチラまで来る事なんてもっと少ない。それは信頼故だろうか。ただ考えつかないだけか。忘れ物なんて忘れた事を忘れているから忘れ物なんだ。相手は忘れたものなんて考えてはしないのだ。「行かないで」ってなんと無力な言葉なんだろう。もっと実りの有ることをしよう。私は忘れられたスマホを持って、その人の勤め先に車を出す。

10/23/2022, 11:49:10 AM

どこまでも続く青い空。日が落ち、山際からオレンジ、紫、藍色と色が変わり、濃く深い青に光る星。その濃く深い青が水彩画の重ねて濃く深くなる色のように見えて、青が一体何度重ねなれたらこの深い青になるのかと考えてしまう。赤い光りが光りの中では一番遠くまで届く光だと言われているのに、淀みの無いその深い青が上空500km、大気圏の中で生み出される色とは思えなくて、きっともっと遠い遠い宇宙の暗い暗い世界を経て輝く星のように、きっと月よりも太陽系よりもずっと遠い場所から重ねられて来た青だと思えて仕方ない。科学的には違うだろうが、この方が夢がある。この濃く深い青い空は宇宙に続いているのだ。この青は空の上に広がっていくのだ。どこまでもどこまでもこの青は広がっていると。

10/22/2022, 12:10:09 PM

朝が冷え込む。布団の中の温かさが幸せだと感じるようになってしばらく経った。暑い日はこうにはならない。タオルを抱いて、日の出から更に上がる胸苦しい暑さで目を覚ます。だから、目覚めと同時に頭まで布団をすっぽり被れるのは幸せなことだ。寒くなるほど膨らむ幸せなんて、なんとも贅沢なものだと思う。窓を開ける。換気と目を冷ますため。澄んで引き締まった風が部屋に流れ込む。香りが違う。何処からか灯油の燃やした香りがする。もう暖をとる時期なんだと、なんとも無機質でずいぶん飾り気のない香りの乾いた風を肺いっぱいに吸い込んで、綿菓子の雲なんて無い高い空に薄く靡いた雲が群れをなす空を見上げる。いい天気になりそうだ。風もあるから洗濯もよく乾く。そろそろ芥子色の厚手のジャケットでもだそうか。さぁ今日は絶好の衣替え日和だ。

題「衣替え」

10/20/2022, 10:26:54 AM

始まりはいつも布団のなか。目覚まし時計が起床を報せる5分前。温まった布団の自分の匂いを吸い込んで、ちょっと沈んだ枕に眠い眼を擦りつけて、出来ることならアラームで目覚めたかったと自分の内に悪態をついて目を覚ます。目が冷めても布団の香りが恋しくて、枕の抱き心地が恋しくて、一度布団をギューと抱いて、手で叩いて枕の形を整えてベットから床に足を下ろす。私の始まりは布団の中。

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