朝が冷え込む。布団の中の温かさが幸せだと感じるようになってしばらく経った。暑い日はこうにはならない。タオルを抱いて、日の出から更に上がる胸苦しい暑さで目を覚ます。だから、目覚めと同時に頭まで布団をすっぽり被れるのは幸せなことだ。寒くなるほど膨らむ幸せなんて、なんとも贅沢なものだと思う。窓を開ける。換気と目を冷ますため。澄んで引き締まった風が部屋に流れ込む。香りが違う。何処からか灯油の燃やした香りがする。もう暖をとる時期なんだと、なんとも無機質でずいぶん飾り気のない香りの乾いた風を肺いっぱいに吸い込んで、綿菓子の雲なんて無い高い空に薄く靡いた雲が群れをなす空を見上げる。いい天気になりそうだ。風もあるから洗濯もよく乾く。そろそろ芥子色の厚手のジャケットでもだそうか。さぁ今日は絶好の衣替え日和だ。
題「衣替え」
10/22/2022, 12:10:09 PM