ミントチョコ

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10/30/2024, 2:31:56 PM

題 懐かしく思うこと

懐しいな・・・・。
私は何度も思い返す。

もう会えなくなった人のことを。

あんなにたくさん話したのに、別れてしまった親友のことを。

もちろん今だってたまに手紙交換だってしてるよ。

でも、ここにいないって大きい。
傍にいて話せないって何か違う。

会いたい時に会えないのが寂しいな・・・。

「またカナのこと考えてるの?」

彼氏が横で私に話しかける。
だってしょうがないじゃない、と思う。ずっと中学2年まで幼なじみで親友だったんだから。

中学3年で親の転勤で東京に引っ越してしまって1年、高校生になっても、カナが恋しい。

「だって、それだけ私にとっては大切な人だったんだよ」

「俺じゃだめなの?」

「カイトの相談は誰にしたらいいのよ?」

「俺」

カイトが当然のように言うからため息ついた。

ちょっとしたカイトの愚痴でも、カナは笑って聞いてくれたのに。時に怒ってくれて、時に抱きしめてくれた。
逆にカナの愚痴も、私は笑って聞けたのに。
同情して、共感して、お互い、相手がいれば怖いものはなかったのに。

「ため息つくなよ、俺の立場は?」

「もちろんカイトもとても大切な人だよ。でも、親友と恋人は比べられないよ」

カイトといると楽しいしドキドキするけど、親友の安心感、何でも話せる心強さは、何物にも変えられない。

もちろん遠くにいても親友だけど、いつも思ってしまう。
今横にいてくれたら、今いろんな今まであったことをいつまでもカフェとかで話せたら。

ううう〜〜〜。

「決めたっ!!」

私が突然大声出すからカイトがびっくりして私を見る。

「え?何を?」

「私、大学東京にいくっ、カナを追いかけるっ」

「ええっ!マジで?俺は?!俺地元大学志望なんだけど」

「今テレビ電話もあるし、大丈夫だよ〜、あ、何ならカイトも東京の大学志望する?」

私は思いつきにハイテンションになってカイトにまくしたてた。

「え〜。うーん、そんな即決できないから、考えさせて・・・」

「うんっ、分かった、あ、カイト、私これからカナに東京の大学目指すこと電話で伝えてくるから、またねっ」

「え、ちょっと・・・?」

私は駆け足で自宅に戻りだす。
東京の大学のリストを見ながらカナと相談したい。

カナは喜んでくれるかな?
カイトに、少し悪いことしちゃったな。

でも、私の中でのカナの存在意義って凄い大きいんだって、この1年で気付いてしまったんだ。

だから、待っててね、カナ、私、勉強頑張るからっ!!

私は強く心で決意しつつ、家の自室目がけて階段をダッシュで上っていったのだった。

10/29/2024, 11:29:37 AM

題 もう1つの物語

私には好きな人がいる。
でもね、実はその人とは別にもう一人、ずっと心から離れない人がいるの。

その人は、幼い頃からずっとずっと遊んでいた幼なじみなの。
小学校までは一緒で、ずっと遊んでたのに、中学で離れてしまった。

・・・不思議な子だった。その子の周りには動物とか沢山寄ってきて、動物の心が読める子だったの。
私は・・・実は植物の心が読めて、今悲しいとか喉渇いたとか、苦しいとか分かったんだ。

だから、彼は私に動物の話していることを教えてくれて、私は彼に植物の思念のような物を教えていたんだ。

あんなに穏やかな時間はないってくらい、穏やかだった。
あの子のオーラはハッキリと緑だったんじゃないかなと思うくらい平和で・・・。

大好きだった。
誰よりも大好きな人だったから、今も私の心の中で大切な思い出になってる。
今会えなくて悲しいし、切なさもある。

今も色褪せないし、1つの大きな物語のようにすら感じる、壮大な経験だったんだ。

でも、今気になる人がいる。
私はチラッと横を見る。

「ん?」

淡い茶色のウェーブヘアの彼が私に微笑む。
優しくて、なんか・・・なんか例の彼を彷彿とさせる。

優雅な感じで、メガネかけてる。
知的な感じだ。

物腰柔らかくて、優しい。
優しすぎる位優しくて。

だから、好きになってしまった。

「ううん、何でもないよ」

私は彼に微笑む。
でも・・・でも、何かチクッと罪悪感を感じる。

昔の彼が、私の心を捉えてる。 

だから、心が切なくなる。
どうしたらこの罪悪感はなくなるんだろう。

今の彼と恋人になって昔の彼と再会してしまったらどうしよう。そんなあるわけない気持ちに。囚われる。

あの時間・・・。
動物の心と植物の思念を伝えあってた時間は褪せることがない。
何にも替えがたい時間だったんだ。

本当は待ってたい、探したい、あの子を。

なんて思って自嘲する。
あの子はとっくに私のことなんて忘れてしまって、可愛い彼女といるかもしれないのにね。

未練がましいなぁ。

「今日どっか行く?」

今の彼が優しい微笑みで私に話しかけてくる。
まだ友達だ。恋人になれるか分からない。

でもね、でも、昔のあの子に似てるっていう要素だけで本当は彼のことが好きなんじゃないかっていう疑惑も湧いてくるんだ。

どうしたらいいんだろう。

何度も逡巡して気持ちは、解決を見ることはない。

でも・・・。

「うん、行こうか」

私は彼に微笑み返す。

だって私の今「好きっ」て気持ちも確かにあるから。
だから・・・。

過去のあの物語は多分色褪せないんだろうと思う。

でも、私の物語は、またここから始めていくんだろう。
あの子との大切な気持ちを抱えて、複雑な気持ちを抱きながらも・・・。
この今いてくれる彼を想うことで、新しい物語を進めていくんだろう。

10/28/2024, 10:46:53 AM

題 暗がりの中で

暗がり・・・・

「ギャアアアアア!!!」

私は突然の停電に悲鳴をあげた。
て、停電、停電・・・・。

どうしよう・・・・。

夜、8時、父親も母親もまだ家に帰宅してない。
部屋を移動しようとすると、下に置いてあったテニスラケットにつまずいてそのままダンッと転ぶ。

いたぁ・・・。

私は半泣きでぶつけたおでこをさする。

まだ暗いままで、全然辺りが確認できない。

とにかくドアまで行かなきゃ・・・。

私はそろそろとドアまで行くと、廊下へ出た。

うっ、暗いよ〜。

あまりの暗さに終わりがないような飲み込まれるような闇に感じる。

行くのやだな・・・。
若干の暗所恐怖症がある私はそんな想いに囚われる。

なんて言っててもしょうがない。

私は、こわごわ真っ暗な廊下を進んで、階段をこわごわ降りた。

慌てると踏み外しそうでそろそろ出来うる限りゆっくり、恐怖心と戦いながら降りた。

一階に降りて、ブレーカーを上げるために浴室の脱衣場を目指す。

しかし暗いなぁ。
台所からピチャ、ピチャって、水の跳ねる音がして、しかも、時計のカチカチの音も聞こえて来て、私の恐怖心を増長させる。

やっと脱衣場にたどり着いた時は、実際よりももっともっと時間が経過した気がした。

無事ブレーカーを上げると、一斉に電気が点灯する。

はぁぁぁぁ。
よかったぁぁぁぁ。

私は心から安堵のため息をついた。

明るいってこんなに幸せで安心することなんだな。

今までの暗さ一杯の中にいた時の恐怖心が払拭されて、気持ちも明るくなる。

降りてきた時とは心が別人のように足取りも軽く、私は2階の自室に戻っていったのだった。

10/27/2024, 10:49:42 AM

題 紅茶の香り

フンフン〜♪

私は鼻歌を歌いながら食器棚を開けた。
今日は久しぶりのお仕事お休みの日。

せっかくだから、とっときの日に買っておいた紅茶のティーバッグでお茶にしようと思ったんだ。

朝ご飯はもう済ませて、10時。
優雅なティータイム。

昨日御用達のお菓子屋さんで、しっかりとクッキーセットは購入済。

お気に入りの貝のオーロラ色のお皿に色とりどりのクッキーをのせる。
いちごの形のいちごクッキー、チョコとバニラのボックスクッキー、それから、くるくる巻かれたロールクッキー。

どれも美味しそう。
見てるだけでテンションがルンルンと上がってくる。

食器棚から取り出したのはティー専門店で買った紅茶。
マロングラッセ風味の紅茶、シュトーレン風味の紅茶、そしてミントチョコ風味の紅茶。

変わり種が好きな私はついつい手を伸ばしてかごに入れてしまっていた。

どれを飲もうかな・・・

しばらく逡巡した結果、マロングラッセの紅茶にすることに。

今丁度秋だし、季節柄もこれかな、と思ったから。

紅茶のカップにティーバッグをいれると、テーブルに置いて、横にお湯を補充してあったポットを持ち上げる。

コポコポコポ・・・

癒しの音と共に紅茶の色が淡い茶色に色づいていく。
そして、柔らかくて、甘いマロンの匂い。

「良い匂い〜!」

思わず声に出てしまう。

私はポットを置くと、ソファに座って、しばらく紅茶が出来るのを待つ。

外は青空。まだ冷たすぎない風がカーテンを揺らして入ってくる。

癒しだ。癒ししか感じない空間。

紅茶ができると、ティーバッグを取って、一口口に含む。

淡いマロンの香りが鼻を抜けて、紅茶の深い味が私にほぅっとため息をつかせた。

とてもステキなティータイムに心は始終ウキウキ。

仕事休みにこんな風に自分を楽しませられるなんてなんて幸せなんだろうと思う。

次はどのクッキーから食べようかな。

私は幸せな選択をしながらそんな思いを抱いていた。

10/26/2024, 12:58:06 PM

題 愛言葉

こんなこと言えない
付き合ってるけど好きとか愛してるとか

いいたいけど、照れくさい
でもさ

あなたは惜しみなくくれるよね?

それこそ浴びるほどに

私が窒息してしまうほどに・・・。

「好きだよ」

「うん、分かってる」

私がそういうと、悲しそうな顔をするあなた。

「楓は?俺のこと好き?」

「うん、まぁね〜」

「まあねって何?」

「えーだって照れくさいもん」

私がデートしている時、いつもそんな会話になってしまう。
言えればいいのに、この溢れてる気持ちを。

でも、いざ言おうと思うと胸のあたりでつっかえて言葉がでてこないんだ。

「楓、俺は楓のこと愛してるからな」

「うん・・・」

私も言いたいのに言葉を飲み込んでしまう。

あなたはちょっと切なそうな顔をして私の頭を優しく撫でるんだ。

いつもいつももらってばかりだから、嬉しい言葉を返したいのに。

私の素直じゃない所が抵抗してしまう。

私とあなたの性格が入れ替わったらいいのに。
そしたら私はあなたにたくさんの愛を囁いて打ち明けて、そして、喜ばせられるのに。

でも、あなたはそうしたら私に返してくれないのかな?
好きって言っても、まあねって返すのかな?

私みたいに不器用になって何も言ってくれなくなるのかな?

私が何度も何度も何度も好きって言っても・・・。

それでも言葉を返してくれないの?

横を歩くあなたを見る。
優しい顔をしてる。

いくら返さなくてあなたは笑顔でいてくれるんだね。

私は衝動的にあなたの腕に抱きつく。

「えっ?どうしたの?」

あなたは優しく笑顔で、私を、見る。
とても嬉しそうな顔してる。

私の胸はいっぱいになって・・・。

「スキ・・・」

言葉が零れ落ちてきた。
無意識に出てた。

だって、私だったらたまらない。
何度も何度も何度も言ってくれる愛の言葉を返してくれないなんて。

だから、気持ちを伝えたくてたまらなくなったんだ。

あなたは一瞬止まってから・・・私を強く抱きしめた。

「はっ?!えっ・・・」

私が固まってると、あなたの声が耳元で響く。

「すごく・・・嬉しい、俺も好き」

「うん・・・」

その幸せそうな顔に、私はあなたの背中に手を回して微笑む。

これからは愛の言葉を伝えていこうと思いながら、
いつかはあなたの言葉よりも沢山伝えられればいいなと思ったけど。

・・・それは無理か。あなたの愛の言葉は降り注ぐように私に既に沢山届いているんだから。

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