題 懐かしく思うこと
懐しいな・・・・。
私は何度も思い返す。
もう会えなくなった人のことを。
あんなにたくさん話したのに、別れてしまった親友のことを。
もちろん今だってたまに手紙交換だってしてるよ。
でも、ここにいないって大きい。
傍にいて話せないって何か違う。
会いたい時に会えないのが寂しいな・・・。
「またカナのこと考えてるの?」
彼氏が横で私に話しかける。
だってしょうがないじゃない、と思う。ずっと中学2年まで幼なじみで親友だったんだから。
中学3年で親の転勤で東京に引っ越してしまって1年、高校生になっても、カナが恋しい。
「だって、それだけ私にとっては大切な人だったんだよ」
「俺じゃだめなの?」
「カイトの相談は誰にしたらいいのよ?」
「俺」
カイトが当然のように言うからため息ついた。
ちょっとしたカイトの愚痴でも、カナは笑って聞いてくれたのに。時に怒ってくれて、時に抱きしめてくれた。
逆にカナの愚痴も、私は笑って聞けたのに。
同情して、共感して、お互い、相手がいれば怖いものはなかったのに。
「ため息つくなよ、俺の立場は?」
「もちろんカイトもとても大切な人だよ。でも、親友と恋人は比べられないよ」
カイトといると楽しいしドキドキするけど、親友の安心感、何でも話せる心強さは、何物にも変えられない。
もちろん遠くにいても親友だけど、いつも思ってしまう。
今横にいてくれたら、今いろんな今まであったことをいつまでもカフェとかで話せたら。
ううう〜〜〜。
「決めたっ!!」
私が突然大声出すからカイトがびっくりして私を見る。
「え?何を?」
「私、大学東京にいくっ、カナを追いかけるっ」
「ええっ!マジで?俺は?!俺地元大学志望なんだけど」
「今テレビ電話もあるし、大丈夫だよ〜、あ、何ならカイトも東京の大学志望する?」
私は思いつきにハイテンションになってカイトにまくしたてた。
「え〜。うーん、そんな即決できないから、考えさせて・・・」
「うんっ、分かった、あ、カイト、私これからカナに東京の大学目指すこと電話で伝えてくるから、またねっ」
「え、ちょっと・・・?」
私は駆け足で自宅に戻りだす。
東京の大学のリストを見ながらカナと相談したい。
カナは喜んでくれるかな?
カイトに、少し悪いことしちゃったな。
でも、私の中でのカナの存在意義って凄い大きいんだって、この1年で気付いてしまったんだ。
だから、待っててね、カナ、私、勉強頑張るからっ!!
私は強く心で決意しつつ、家の自室目がけて階段をダッシュで上っていったのだった。
10/30/2024, 2:31:56 PM