ミントチョコ

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6/1/2024, 12:34:53 PM

題 梅雨

ムシムシムシムシ・・・
蒸し暑い、蒸し暑い

私は休日、家でソファーでスマホをいじりながらイライラしていた。

季節は6月の梅雨真っ只中。
ジメジメにも程があるほどジメジメしている。

部屋にきのこが生えてくるんじゃないかと思う程の蒸し暑さ。
かといって、この位でエアコンをつけていたら、電気代が恐ろしい。

「はぁー、梅雨なんて嫌いだ!」

せっかく仕事休みの土日なのに、ここで座っているだけで不快指数120%だ。
頬をツゥっと汗が伝う。
うっとおしい。
どうしたら快適になるだろう。

私は立ち上がると洗面台でタオルを取って顔を拭く。
ついでに顔を洗った。

はぁ、少しはマシになった。

でも、全身の不快感は取れない。


そうだ!
私は冷蔵庫からレモンを取り出して、むくと実をミキサーに入れる。レモンの皮も少しだけ。

ミキサーに入れて攪拌すると、レモン汁ができる。

大きなピッチャーに、サイダーとレモンを混ぜる。
飲んでみて味を調整する。

うん、爽やか〜!
レモネード♪

こんな時期は爽やかさで全てを吹き飛ばすに限る。

私は出来立てのレモネードをコップに注いでソファーへ戻ると一口口に含む。

酸味のある爽やかさが癒やしを与えてくれる。
爽やかな一抹の風が私の周りに吹いているようだ。

ふぅ〜!

私は先程とは違う、満足感一杯のため息をつくと、携帯をまた取り出して、ゆったりとソファーに座ったのだった。

5/31/2024, 11:46:59 AM

題 無垢

「ねぇ、私にはなんでいつもソウキが付いてまわってるの?」

私は、常に後ろにいるソウキに問いかけた。
近所に住むソウキは、私といつも登校している。
別のクラスになっても、ずっと朝も帰りも待っててくれて、一緒に帰ってる。

他の人たちにからかわれても気にしないで、ずっと私のこと守ってるみたいに・・・。

だから・・・。
だから、私は窮屈で仕方ない!!!

何でこんなに私のこと監視するみたいに側にいつづけるの?

何で私はソウキと別に何でもないのに周りの人に夫婦とか、カレカノとかからかわれなきゃいけないんだろう。

いい加減嫌なんだけどな。

「それは、ミホが無垢すぎるからだろ!」

「は?」

私はソウキの、解答に?マークを浮かべた。
私が無垢?ムク・・・純粋ってこと?

「そんなことないよっ、私だって性格悪いとこあるし!」

現に今、ソウキのこと邪魔って思ったばっかだ。

「俺は、ミホに変な虫がついてほしくないんだ!だから監視してる」

「・・・堂々と監視とか言わないでよ。こっちはそんなにずっと一緒にいられたら息がつまるの。私は大丈夫だから、一人で登校できるから」

「ミホ・・・そんな事言うのか・・・」

ソウキがショックを受けたように2、3歩下がる。

「・・・だって、ずっと一緒だと夫婦とかからかわれるじゃない!やだよ」

私はいままで散々からかわれたことを思い出して思い切り抗議する。

「え?いいじゃん。むしろ褒め言葉だろ。仲いいっていう」

「え・・・」

ニコニコして私に笑いかけるソウキに、私は言葉を失う。
嫌じゃないのかな、ソウキは。

「と、とにかく、もういいから!ソウキから卒業するから!ついてこないで!!」

私は猛ダッシュで駆け出す。

「待てよ、ミホ!俺は納得してないから!ミホの無垢は俺が守ってやるから〜」

「いらないのよ!追いかけてこないで!!」

いつまでも追いかけられながら私は天を仰ぐ。
ソウキを納得させるにはどうしたらいいのか。

もちろん、天の神様も、綺麗な夕日も何も答えてはくれなかった。
どうも明日も私はソウキに付きまとわれる人生な気がする。

5/30/2024, 11:38:08 AM

題 終わりなき旅

終わらない旅、どこまで行けば休めるんだろう。
僕は休息の地を見つけたい。

探している。
僕は生まれ持って不死の身体だった。

大事な人も、家族も、知っている人は全員いなくなってしまった。
その後で出来た大事な人もみんないなくなってしまう。
みんな天に召されてしまう。

どうしてだ?
どうして僕だけこんな身体で産まれてしまったんだ。

僕は頭を抱える。そして、幾度となく天に抗議をした。
でも返事は来ない。僕の悲しみの時間は永遠に続きそうだ。

不死とばれないように転々とする日々。
人の猜疑心に満ちた視線が怖い。
臆病になってしまった。
この世界に生きていることがいびつに感じる。

早く・・・早く
何処かにたどり着きたい。

いつしか願うようになってしまった。
僕がいていい場所に、休める場所に。

すべてを終わらせられる場所に。
疲れた。
もう疲れたよ。
休息が欲しいんだ。

もう再び目を開けなくていいように。

そのまま目を閉じれば
特別な場所へと連れて行ってはもらえないだろうか?

僕の心から願っていた場所に到達はしないだろうか?
永遠の安らぎという特別な場所に・・・。

5/28/2024, 9:27:09 AM

題 天国と地獄

ここは天国の門の前。
誰もいない。

どうしてだ?ぼくはキョロキョロとあたりを見回す。
周りには何人か戸惑った様子で辺りを見回している人々。

門番もいない、どうしたらいいのか分からないでいると、下からザワザワと声が聞こえてきた。

雲の上にある天国の門。
その雲は巨大で真ん中に穴が空いている。
そこから声は聞こえてきているようだった。

行って覗き込んでみる。
下には天国とは比べ物にならないくらいの人々。

わいわいと門の前に並んでいる。
地獄、と門には書いてあるように見える。

何でこんなに地獄に・・・みんな悪人ってことか?

僕は呆然としていると、下の地獄行きの人の会話が耳に入ってくる。

「ねえ、地獄って現実世界とほぼ一緒の世界なんでしょ?」

「そうそう、しかもさ、噂では、お仕置きしてくる鬼を狩ったりするイベント開催中だって」

「え?リアルで鬼を狩れるの?凄っ」

「人間が多すぎて、鬼の勢力も落ちてるんだって。だからやりたい放題、現実世界より楽しいらしいよ」

「オススメしてくれてありがとう!ここに並んで良かったわ」

同じように天国から会話を聞いていた人たちが次々と下の地獄の階に降りていく。

みんな、現実に近いほうがいいらしい。
天国は、どうやら、食欲もなく、常に幸福で何もせずにぼーっとしていられるらしいけど・・・。

僕は考えた末、雲の穴を下に降りた。
何もしなくていいなんて退屈すぎる!
やっぱり僕は刺激が強い世界が好きなんだな。

そして、常時、天国の門の前には誰もいない閑散とした景色が続いていくのだった。

5/26/2024, 1:01:12 AM

題 降り止まない雨

雨が降ってる
私は大木の下でぼーっと思う。
降ってきたなって。
小雨だと思っていたらバーっといきなりやってきた。

ザアザアと降る雨が葉っぱに跳ねてパラパラと音がする。
空を見ていたんだ。
この木の下で空を見るのが好きだから。

何かあるたびにここに来ていたんだ。
嫌なこと、辛いこと、幸せな時。
どうして・・・?
どうしてなんだろう。

分からないんだけど、家から割と遠いこの木の下へ引き寄せられるように来てしまう。

今日は天気予報で雨なんて言ってなかったのにな。
降り止まない空を見上げながら小さくため息をついた。

どうしようか・・・。
携帯は、よりによって家に忘れてきてしまった。
雨が木の間から垂れてきて、私の髪を濡らしつつあった。

「あれ、人がいる」

そこへ声がかかる。
見ると男の子が黒い傘をさして木の側に立っていた。

「どうしたの?傘忘れた?」

ニコッと聞いてくる気さくな印象の子だ。
同い年位・・・?
私は頷く。

「そっか、じゃあ、入っていってよ」

男の子は私の頭の上に傘を掲げてくれた。

「・・・ありがと」

私は素直にその傘に入った。普段だったら人見知りだし、そんな行動取らないのに。不思議だなって思った。

「何してたの?木のところで」

「空を見てたの」

「空?好きなの?」

「うん・・・」

「色んな空の色があるから面白いよね、僕も良く見る」

「うん、色んな色があるし雲の形とか見てると飽きないの」

「そうだよね、あの雲はカメに見えるとか、星に見えるとかね、考えるの楽しいよね」

不思議。なんだか・・・。話しやすい。
こんなに話しやすい男の子、初めて。

少しだけ沈黙が続いた後、男の子は、私の顔をジッと見た。

「会ったことある気がするな、君と。小さい頃、この辺に住んでなかった?」

「え?」

確かに、小さい頃は引っ越ししたことある。
今の前の家、この辺だったのかな?覚えてない・・・。

「覚えてない」

私は素直に言う。

「多分君だよ。あの木の下で一緒に良く遊んでいた子じゃない?ある日突然来なくなって、会えなくなってたから、もう一度会いたいって思ってたんだ」

「そ、なの?」

記憶を思い返す。幼い頃の記憶は蘇ってこない。

「うん、一緒に良く空見てたよ、雲の形をこの木の下で飽きずにずーっと言ってた。気になっててさ、ふと思い立ったらここに来るんだ。君にはもう会えないとは思ってたけど、もしかしたらって」

あ・・・
木の下で2人で地面に座って手を繋いで・・・青い空を見て、指を指して、笑い合う光景が・・・。

その言葉で急に蘇ってきた。

「ソウ・・・くん?」

その時のセリフも思い出す。ソウくんってよんでた。

「うん、ミキちゃん」

私は名前を呼ばれて頷く。

「また会えて嬉しい。今度またあの木の下で一緒に話そうよ」

ソウくんが笑う。急に懐かしいっていう思いが急激に込み上げてくる。

「うん、話したい」

私の口は無意識に開いていた。

「決まりだね」

ソウくんと2人、雨の中、黒い傘をさして歩いていく。

私、あの場所に行ってよかった。

きっとソウくんと会うためにあの木の下へと無意識に引き寄せられていたんだ。

雨が降り止まなくて良かった。

ソウくんに見つけてもらえたから。

私は込み上げてくる多幸感にとまどいながら、ソウくんと次にいつあの木の下で待ち合わせるか話していた。

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