題 無垢
「ねぇ、私にはなんでいつもソウキが付いてまわってるの?」
私は、常に後ろにいるソウキに問いかけた。
近所に住むソウキは、私といつも登校している。
別のクラスになっても、ずっと朝も帰りも待っててくれて、一緒に帰ってる。
他の人たちにからかわれても気にしないで、ずっと私のこと守ってるみたいに・・・。
だから・・・。
だから、私は窮屈で仕方ない!!!
何でこんなに私のこと監視するみたいに側にいつづけるの?
何で私はソウキと別に何でもないのに周りの人に夫婦とか、カレカノとかからかわれなきゃいけないんだろう。
いい加減嫌なんだけどな。
「それは、ミホが無垢すぎるからだろ!」
「は?」
私はソウキの、解答に?マークを浮かべた。
私が無垢?ムク・・・純粋ってこと?
「そんなことないよっ、私だって性格悪いとこあるし!」
現に今、ソウキのこと邪魔って思ったばっかだ。
「俺は、ミホに変な虫がついてほしくないんだ!だから監視してる」
「・・・堂々と監視とか言わないでよ。こっちはそんなにずっと一緒にいられたら息がつまるの。私は大丈夫だから、一人で登校できるから」
「ミホ・・・そんな事言うのか・・・」
ソウキがショックを受けたように2、3歩下がる。
「・・・だって、ずっと一緒だと夫婦とかからかわれるじゃない!やだよ」
私はいままで散々からかわれたことを思い出して思い切り抗議する。
「え?いいじゃん。むしろ褒め言葉だろ。仲いいっていう」
「え・・・」
ニコニコして私に笑いかけるソウキに、私は言葉を失う。
嫌じゃないのかな、ソウキは。
「と、とにかく、もういいから!ソウキから卒業するから!ついてこないで!!」
私は猛ダッシュで駆け出す。
「待てよ、ミホ!俺は納得してないから!ミホの無垢は俺が守ってやるから〜」
「いらないのよ!追いかけてこないで!!」
いつまでも追いかけられながら私は天を仰ぐ。
ソウキを納得させるにはどうしたらいいのか。
もちろん、天の神様も、綺麗な夕日も何も答えてはくれなかった。
どうも明日も私はソウキに付きまとわれる人生な気がする。
5/31/2024, 11:46:59 AM