ミントチョコ

Open App
5/19/2024, 4:04:53 PM

題 突然の別れ

「ごめん・・・」

今日朝小学校に来るなりみのりちゃんはずっとそう言ってる。

「だから、何がごめんなの?言ってくれなきゃ分からないよ」

私は困惑してみのりちゃんに聞き返す。
そうすると、みのりちゃんは頭を振って無言になっちゃうんだ。

泣いてしまうんじゃないかと思って。
みのりちゃんの顔が歪んでいて、私はそれ以上追求できないでいた。

どうして?何がそんなにみのりちゃんを苦しめてるの?
私、友達なんだから、力になりたいよ。

そこへ、先生が入ってきて、ホームルームが始まった。
始まって最初に、先生が口を開いた。

「坂下みのりさんが転校することになりました。海外に行くそうです。残り少ない日数ですが、みんな坂下さんと最後まで楽しく過ごしましょうね」

て、転校・・・?!

私はしばらく固まってしまう。
思わずみのりちゃんの席を見てしまうけど、みのりちゃんは下を向いたままだ。

転校するの・・・?私達一番仲が良かったし、いつも一緒だったのに・・・・。

そんなの・・・寂しい。

それに、最初はみのりちゃんの口から聞きたかった・・・。

休み時間。悲しくて、思わずみのりちゃんが席を立つ前に席を立って、トイレへ駆け込む。

何で、避けてるんだろう・・・と自分にツッコミをいれる。
きっと、私に一番に話してほしかったんだ。
友達っていう立場を過信しすぎてたんだ。

みのりちゃんに信頼されてなかったようで悲しかったんだ。

トイレを出ると、出口にみのりちゃんが立っていた。

「ごめん」

みのりちゃんにそう言われて、私は低い声で「うん・・・」

と言う。

「言えなかったの、避けないで」

2人で歩きながら話す。

「避けてないよ」

と私。

「避けてるじゃん、今も私の顔見ないし」

「それは・・・歩いてるから」

私は苦しいウソを言う。

「ウソ」

瞬時に見破られてしまう。

「・・・ねえ、私だって離れたくないんだよ」

みのりちゃんの目から涙がポロッとこぼれた。
私は涙に胸を揺さぶられる。動揺した。

「泣かないでよ。私も泣いちゃう」

「うん・・・そうだね・・・」

それから、ひとしきり、2人で抱き合って泣いた。
今までの思い出がなぜかスライドショーみたいに浮かび上がってきて、その度に悲しくなってしまう。

「海外だけど、今はネットあるから連絡できるよ」

2人で泣くだけ泣くと、何だか少しスッキリした。
私もみのりちゃんも赤く腫れ上がったヒドイ顔になっちゃったけど。

「そっかぁ、じゃあ、顔見て話せるね♪」

私はとたんに少し楽天的な気持ちになる。

「私達、ずっと遠くに行っても友達だよ」

みのりちゃんの泣きはらした笑顔に、私も頷いて、彼女の手を取る。

「うん、ずっと友達だよ、約束」

そうして、小指を絡めて私達は遠く離れてもずっと友達でいることを誓ったんだ。



5/17/2024, 1:05:11 PM

題 真夜中

「トントン」

真夜中寝付けないでいたら、外の窓から音がした。
私は起き上がって2階の窓を開ける。

「どーぞ」

隣の家のカイが入ってくる。
同い年のお隣の家の男の子だ。
カイは、昔から屋根伝いに私の部屋を訪問する。

何度怒られても懲りないカイ。
私ももう高校生なのにな。
いいのかな、こんなんで。

「寝れないんだろ?」

「ん、よくお分かりで」

毎日不眠気味な私。
カイは、たまに来てはいろいろ話したり、寝付けるまで歌を歌ってくれたりする。

「カイも寝れないじゃない?別に来なくていいんだよ」

私がそういうと、カイはいつも傷ついたような顔をする。

「そんな事言うなよ。俺がいないと寝れないくせに」

「うーん、まぁ、それはそうなんだけど、カイがいないと寝れないんじゃ困るじゃない?」

「別に困らないだろ、俺がいればいいんだから」

そう言うと、当然のようにベッドに来て、私の頭をなでるカイ。

「何か話してやろうか?」

「え、うん・・・って、カイだってずっと私と一緒にいるわけじゃないじゃない」

私は流されそうになってはたと気づく。

「私がちゃんと自分で眠れるようにならないとだめなんだよ!」

「・・・出来るのか?」

カイの視線にうつむく私。

「それは・・・気合で・・・」

「そんなの気にするなよ!」

そう言うと、カイは私を無理やりベッドに押し込む。
再び頭をなでると、ベットの端に腰掛けるカイ。

「俺が一生責任持って面倒見てやるよ」

「え?それはムリでしょ、私もカイもずっと一緒じゃないんだから」

私がなでられて多少の眠気を感じながら言うと、カイは答える。

「一生一緒にいればいいだろ?俺がずっと寝かしつけするよ」

「えっ?!じゃあ結婚するしかないね」

私はカイの答えに笑って返答する。

「そうだな、結婚すれば万事解決だな」

あれ・・・?
冗談のつもりだったのに・・・。

見上げると、真剣なカイの眼差しと視線がぶつける。

「それって・・・?」

「お前のことずっと好きだったってこと」

涼しげな顔で言われて、パニックが止まらない私。

「はっ・・・・?なっ・・・?!」

「どうせ、俺がいないと寝れないんだから、お前は俺を選ぶしかないんだよ」

頭を撫でていた手が私の手を優しく握る。

何だかそう言われているとそんな気もしてくる。

「じゃあ、私に他に好きな人が出来なければね」

そう言うと、カイはニコッと笑って、私に不意に軽いキスをする。

「はっ!?」

びっくりして声が出る私に不敵な笑みを見せるカイ。

「絶対に他に好きな人作らせないよ」

そのカイの表情に、不覚にも私はドキドキしてしまっていた。

5/15/2024, 11:28:41 AM

題 後悔

「あの時告白しとけば良かった・・・」

私は、前の席で仲良くご飯を食べている島原くんと関谷さんをみて呟いた・・・。

付き合いだしてから、教室で毎日一緒にお昼を食べている2人。
見ている私は辛くて仕方ない。

だけど、昼ご飯は教室で食べないといけないから仕方ないよね。

ずっと島原くんが好きだった。
そこそこ話してたし、隣の席になって勉強教えていたから仲良くなった気でいた。

・・・でもね、わかってたんだ。
島原くん、たまにチラッと私と話している時に視線そらしてるの。

その先にあるのが関谷さんだってこと、私、気づいてた。

だからこそ、ムキになって、話しかけて、出来るだけ仲良くなろうと話題の共通点探して、いろいろしたけど・・・。

そうだよね、ここで頑張っても、私は成功しなかった。
ここから逆転なんて無理な話だったんだ。

それでも・・・。
それでも、告白しておけば、と思わずにいられない。

たとえ振られたとしても、この気持ちを、溢れる気持ちを伝えたかった。
知ってほしかった。

結局、島原くんから関谷さんに告白したんだ。
私がどうしようか迷っている間に。

毎日後悔の日々だ。
でも、まさか付き合ってる人がいる人に好きでしたなんて言えるわけない。

だから・・・。
私は机に伏せった。
だから、私はこの気持ちを胸に秘めているしかない。
苦しいくらいに突き上げている悲しみと切なさが混ざった気持ちを・・・。

この胸の中に閉じ込めておこう。

5/14/2024, 2:15:59 PM

題 風に身を任せ

風に身を任せたらどこに行くんだろう。
私はふと下校中に、鳥の群れを見つけて思った。

鳥は風に逆らって飛んでいるんだろうか。
身を任せたらどこに行くんだろう。
好奇心でそんなことする鳥がいたりして・・・いないか。
鳥にとっては、どこに行き着くかは死活問題だもんね。

私は、風に吹かれてどこまでも飛んでいきたい。

どこかへ行くというより、ただ、漂っていたい。
風に吹かれて浮遊感を感じていたい。

海やプールで力を抜いて浮遊するのが大好きなんだ。
たまらなく心地良い。

だから、風に身を任せてそのふわふわした浮遊感を存分に感じたい。

ふと上を見上げて考え出した思考は思ったよりも長くなってしまった。
今気づくと地面に土を感じる。
私はしっかりと足を踏みしめていた。

ふわふわする浮遊感に憧れるなぁ〜。
軽やかに飛んでいく鳥たちを見上げ、私は再び羨望の眼差しで見つめた。

5/13/2024, 1:39:29 AM

題 子供のままで

「あ、風船だぁ」

私は空を飛ぶ風船を見て歓声をあげる。
隣で彼氏が同じように顔を上げた。

「珍しいな、最近ヘリウムガス足りなくて風船の価格もあがってるはずなのにな」

「ちょっと!何でそんないつも現実的なの?!」

私は彼氏の言葉に憤慨して言う。

「いや、ひなたが子供っぽすぎるんだって」

「ひど、彼女に向かって」

私が言い返すと、彼氏は冷静な目で私を一瞥した。

「別に、彼女なことと子供っぽいことは関係ないだろう?」

そう言われて、ムカムカと怒りが込み上げてくる。

「じゃあ!たかとはないの?こう、わぁ、きれい〜すてき〜みたいなのは」

「別に」

即答。
この男〜!!

「ほら、見てよ、これっ、こないだ撮ったの。虹が雲にかかったベストショット!!」

「どれ?ふーん、いいんじゃない」

「反応薄すぎ・・・!」

私の力作の写真を見せてもたかとは顔の表情一つ変えずに感想を話す。
いつもいつも現実的であまり取り乱さないたかと。
頼りにはなるけど、私が子供っぽいってしょっちゅう言われる。

ていうか、私はたかとが落ち着きすぎなだけだと思うんだけどね・・・。

「じゃ、これは?」

私は写真をスライドさせて、その前に撮ったたかとの好きなゲームの新作情報を見せた。
私もたかともそのゲーム大好きで、よくオンライン対戦してるから・・・。

「あ、店頭に情報出てた?知ってたよ」

そっか・・・たかとの方が情報通だったわ・・・。
私はがっかりして携帯の画面を閉じようとして、もう一回スライドさせてしまった。

「え?なにこれ?」

そこで、たかとの声色が変わる。
何かと思って私もたかとと携帯画面を覗き込む。

「ああ、これ?何かね、ひさびさにいとこのお姉ちゃんが来て、服をプレゼントしてくれてメイクしてくれたんだ〜」

私が笑顔で答えるけど、たかとの表情は変わらない。

「そうじゃなくて、この、横でひなたの肩に手を回してる男は?」

険しいたかとの顔に珍しいなと思いながら答える。

「え?幼馴染だけど・・・隣に住んでる。いとこのお姉ちゃんと一緒によく遊んだから来てもらったんだ〜楽しかったよ」

私が笑顔でたかとを見ると、たかとはフイッと横を見た。

「楽しそうだな、本当」

「たかと・・・?」

あれ?こんなたかと初めてかも。あんまり機嫌悪くならないのに・・・。
幼馴染と一緒にいて機嫌悪くなった?まさかたかと・・・。

「ヤキモチ?」

思い当たった言葉が口からこぼれる。
たかとは当惑したような表情で振り返った。

「や、やきもち?俺が?」

「だって、たかと機嫌悪くなったじゃない、幼馴染の話したら。大丈夫〜!幼馴染はずっといとこのお姉ちゃんに片思いしてるんだから」

「別に、気にしてない・・・」

たかとの見たことない表情に、私の顔に思わず笑顔がこぼれる。
私はたかとの腕に飛びついて言った。

「たかとも案外子供っぽいんだね〜!」

私の言葉にかぁぁと赤面するたかと。

「うるさいな」

とそっぽを向く。

うん。
冷静でしっかりしてるたかとも好きだけど・・・。
こんな風に動揺してヤキモチ焼いてるたかとも・・・。

「好きだよ」

私は赤面してそっぽを向いたままの彼氏の耳に囁いた。

Next