kiliu yoa

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3/12/2025, 12:18:46 PM

いつの世も、大抵の男は色好みだ。

わたしの知る男性たちは、皆一様に色に耽り、色に溺れる。

わたしの祖父も、わたしの父も、それは同様であった。

そして、寝首を掻かれた。

なんと、愚かだろう。

やはり、何事も飲んでも呑まれては成らないようだった。

わたしの夫も又、色好みだった。

しかし、寝首は掻かれなかった。

わたしは、それが不思議だった。

だから、わたしは夫に問うた。

「何故、貴方は色好みなのに寝首を掻かれないのでしょう?」

すると、貴方は笑いながらも応えてくれた。

「そんなの容易いことだ。私は賢い、そして冷静だからだ。」

「と、仰せになられますと?」

わたしは再び、問うた。

「良いか、大抵の男、否、寝首を掻かれるような利己的な愚者は、

 大抵他者を振り回したいものだ。

 他者が自分の言葉に、行いに、一喜一憂している様を見て、

 自分は本当に愛されているか、自分は本当に必要とされているか、

 毎秒毎時間、確認したいのさ。

 自分を第一としてくれる、どんな要求にも応えてくれる、

 都合の良い人間にこよなく愛されている、

 そんな自分にいつまでも限りなく酔っていたのだろう。

 だから、寝首を掻かれる。

 だから、敵を作る。」

貴方は、わたしの目をまっすぐと見て、応えてくれた。

「そう云うことだったのですね。」

わたしは、貴方に尊敬の眼差しを向けた。

「あと、色好みの人間と寝首を掻かれる人間は別ものだ。」

そして、貴方は酒を煽った。

再度、貴方はわたしをまっすぐ見た。

「あんまり、私をそう云う目で見ない方が良い。

 私は、自分の美しく聡い妻だけを愛することが出来ない人間だ。

 もし、御前を一途に愛してしまったのなら、

 もし、御前が先に逝ってしまったのなら、

 その先が恐ろしく、御前一人だけを愛することも出来無いのだから。」

済まなそうに、遠くを見て、貴方はそう言った。

今迄の自信は、何処へいったのだろう。

そんな貴方の可愛らしい姿は、初めてだった。

「ふふ、大丈夫ですよ。

 どんな貴方だろうと、わたしは愛しています。

 それに、貴方からのわたしへの愛は日々しっかりと感じられますよ。」

わたしは、微笑む。

貴方は、安堵したように笑っていた。

「ありがとう。」

貴方は、わたしから視線を逸らし、小さく言った。

「こちらこそ、いつもありがとうございます。」

わたしは、あなたをまっすぐ見た。

貴方の大きく温かい手をわたしは握ると、

わたしの手を貴方は優しく握り返してくれた。


そろそろ春が訪れる、そのような麗らかな陽気の日だった。
 

 



 




3/5/2025, 10:22:01 AM

J'allume une cigarette pour la première fois depuis longtemps.

C'est vraiment mauvais, c'était bon avant.

J'ai involontairement déformé mon visage.

Lorsqu'elle a vu cela, elle a ri.

Alors ne fumez pas.

Elle a ri et a dit.

J'ai décidé d'arrêter de fumer.

3/5/2025, 2:42:29 AM

いつからだろう。

あなたが憎くなったのは。

あなたを殺したくなったのは。

わたしは、あなたを愛していた。

わたしは、あなたを好んでいたはずなのに。

今、あなたを見ると癪に障る。

今、あなたの気遣いが鬱陶しく感じる。

あなたを見ると、何度も刃物で刺したくなる。

わたしは、あなた何度も何度も何度も包丁で刺す。

快感と安堵を感じながらも手が震え、血塗れとなった部屋を見渡す。

いつも、わたしの夢はここで終わる。

こんな夢を見るということは、

わたしがあなたに関心があるのだろう。

あなたに関心があるということは、あなたを歪んで愛しているのだろう。

きっと、そうだ。

愛して無ければ、関心が無ければ、

あなたを見ても何も思わないだろうから。


だから、わたしはあなたの元を去る。

あなたという唯一無二の優しき人の命を奪わぬために。

さようなら、わたしが愛した人よ。

どうか、わたしを忘れ、健やかに幸せになってね。



2/27/2025, 12:17:21 PM

My wife is so beautiful.

She was more beautiful than any person I had ever met.

Long lustrous black hair, obsidian eyes,

She had skin as white as the moon.

2/26/2025, 1:22:30 PM

カタカタカタカタ…ジャ、カタカタカタ…カタ。

タイプライターで一文字ずつ、間違えないように紙に打込む。

私は大人に成ってから、この仕事をずっとしている。

毎日、様々な資料を一通り、報告書として纏めてきた。

それが私の仕事。

この仕事を任せられるようになって、もう何年だろうか。

リリリン。

ベルの音、主人の呼び出しだ。

廊下に出るドアとは反対側にある、

上の階に繋がる階段のドアを開けて、螺旋風階段を登る。

私の部屋の真上の階の部屋に、私の主人の部屋がある。

「ヨランダ、この資料を報告書に纏めて欲しいのだけど、

 今、大丈夫かしら。」

美しく微笑む淑女、この方が秘書として長年仕えてきた自慢の主人です。

「ソフィ様、お気遣いありがとうございます。

 今日は大丈夫ですので、対応させて頂きます。」

「では、お願いします。

 急ぎではありませんから、少し休憩を挟んでからで大丈夫ですよ。」

 ソフィ様は、お優しく、何でもお見通しのようです。

 実は、昼休憩を取れていませんでした。

「ありがとうございます。そうさせて頂きます。」

ソフィ様に一礼して、螺旋風階段を降りる。

ソフィ様から頂いた紅茶を淹れ、遅めランチを頂きます。

少しの至福の時間です。

さあ、仕事に戻りましょう。

私は、タイプライターに指を置く。

隣の資料を見ながら、報告書に纏める。

少々気が遠くなる、地味で変化に乏しい仕事、

しかし、見えない誰かの為の誇らしく素晴らしい仕事。

今日も私は、この仕事を丁寧に正確に最善を尽くす。

見えない誰かの為に。



 



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