kiliu yoa

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8/21/2024, 2:19:49 PM

あなたは、白い隼のよう。

いつもまっすぐ、わたしのもとに来てくれる。

たくさんの愛情と色欲を注ぎ続け、わたしを満たしてくれる。

そして、貴方はわたしのもとをあっという間に去ってゆく。


それは、わたしが貴方の一番では、嫡妻では無いことを意味している。

わたしは所詮、妾に過ぎないことを如実に現している。


貴方が酷いひとなら、よかったのに。


貴方が酷いひとなら、鳥のように飛び立てたのに。

8/20/2024, 7:10:11 AM

夕空の 焼きつくやうな 陽光は 人目を憚ぬ 燃えゆ恋のよう

8/15/2024, 6:10:44 AM

「これが自転車っていう乗り物なのね。」

「乗れるようになるには、練習が必要なんだ。乗れたら、便利だよ。

 風が気持ち良いし、何より歩くより長い距離を進める。」

「ふふふ、とっても素敵ね。わたしも乗れるかしら?」

「その服装じゃ危ないから、乗馬服の方がいいよ。」

「あら、ワンピースはいけないのね。」

青年はしゃがみ込み、ペダルの歯車を指差す。

「この小さい歯車見える?」

少女も、ペダルの歯車を覗き込む。

「うん!見えた。凄く小さいのね。」

「この歯車にスカートの裾が巻き込まれる事故が有ったらしい。

 だから、スカートは避けた方が無難だと思う。」

「ふふふ、ありがとう。じゃあ、着替えてくるわ。」

「分かった。ここで待ってる。」

 





8/14/2024, 4:33:16 AM

「なに?その楽器。」

「琴っていうの。東方の国の歴史ある楽器よ。とっても綺麗でしょ。」

「ふーん、誰かに貰ったの?」

「ええ、愛するひとから貰ったの。
 
 あのひとは、わたしの好みをよく理解しているひとなの。」

「愛する人って?何人もいるじゃん。」

「清の人よ、彼はとっても優しくて、繊細な文化人なの。」

「ああ、元夫の。離婚したのに、仲良いんだ。」

「互いに望まぬ、離婚だったから。

 ……様がわたしを祖国に呼び戻したかったから、彼とは離婚したの。」

「色々あるんだね、高貴な人にも。」

「ええ、たくさんあるの。あなたたちにも、たくさんあるようにね。」


「あら?どうしたの、拗ねちゃって。」

「僕より、その人のことが好きなの?」

「そうね…、難しいこというのわね。少し、考えるわ。

 うーん、あなたと彼とでは愛情の種類が違うの。

 だから、比べられないわ。

 彼とあなたのことは同じくらい愛してるの。

 これだけは、確かなの。」


「あらら、そんなに頬を膨らませて。

 怒らせる気はなかったの、ごめんなさいね。」











8/8/2024, 12:22:32 AM

吸い込まれるような、淡い紫の瞳。

天女のように微笑む、桃色のくちびる。

白磁器のような、きめの細かい白き肌。

白い絹の羽衣に、紫翠と銀の装飾を纏う、綺麗な貴女。

「わが愛しき人よ。」

白魚の両手が、私の輪郭を包みこみ、

あなたは、私の目を覗きこむ。


『噫々、なんと美しいのだろう。』


私が知りうる、どんな女性よりも、貴女は女性らしい。

貴女は、礼儀正しく、気立ての良い、軸のある、洗練された女性。

貴女に惚れ込まぬ人など、この世には居ないのだろう。


「会いたかった。無事で良かった。」私の眼から涙が零れる。

零れた涙を、あなたは優しく手でぬぐう。

「わたしも、あなたに早く会いたかった。」

もう一度、長く抱きしめられた。

























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