kiliu yoa

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3/23/2024, 1:59:26 AM

銀の瞳、淡いうす茶色の髪、整った東欧の顔立ち。

俗にいう、美青年であった。

彼の雰囲気は、なんと言えば良いのだろう。

どこか儚げで……そう、本当に生気が無かった。

虚空を纏っているような……人間離れした雰囲気だった。

死神がいたならば、きっと彼のようなのだろう。

実際、彼は処刑人だった。

処刑ならば、大人だろうと…子どもだろうと、平然と殺せる人間だった。

いつからか、高額な暗殺にまで手を染めるように成っていた。

だから、彼はこんなふうに成った。

人間らしさの欠片も、彼は失ってしまった。

だから、人々は彼をこう呼んだ。

『死神』と。


なんと、馬鹿らしいのだろう。

己のことながら、そう思う。

気が付いた時には、もう……何も遺っていなかった。

気が付いた時には、かつての私は何処にも居なかった。













3/20/2024, 3:42:53 PM

夢とは、美しい。

夢とは、その人自身の核を現すもののように思う。

それは、個々がそれぞれ描く、多くの悩みと多くの幸せの結晶。

さあ、今日はどんな夢をみるのだろうか。



3/18/2024, 10:31:17 AM

もうすぐ、聴取が始まる。

我(わたし)の主君が謀反を起こしたからだ。

我ほど、最悪な腹心はいないだろう。

主君の無実を信じる事も、主君を庇い弁明することも、

我は、何もしなかった。

否、何も出来なかった。

それは、悪手だと感じたからだ。

だから、我はこう述べた。

「我は、我ら腹心は…何も知らなかった。」

例え、主君を侮辱されても反論せず、こう述べることしか……、

その手法しか、我ら腹心が生き残る道は無かった。




3/17/2024, 11:07:49 AM


「見事に、憚られたな。」

我(わたし)は、左手で目元を覆い、苦笑した。

皆、呆然と立ちすくむ。


それは、あまりにも突然訪れた。

「王弟が謀反を起こし、国が派遣した討伐軍により、敗死した。

 謀反に加担したものは、皆、斬死された。」と、いうものだった。

王弟、それは……我ら腹心が忠義を尽くしてきた、主君だった。


主君が謀反を起こそうと考えている事すら、我ら腹心は知らなかった。

我ら腹心から見た主君は、そんな……お方では無かった。

兄君たる王を支えるため、日々、努力を重ねられていた方だった。


政敵など、両手では数え切れない。

しかし、裏で糸を引く人物には、検討がついた。

そして、主君は……その人物の政の手腕で敗れたのだった。














3/13/2024, 10:55:47 AM

「きれいな顔ね。そして、冷たい目は彼を彷彿とさせる。」

貴女は、私の顔の輪郭を両手で覆い、優しく微笑みながら、

私と一瞬、目を合わせてそう言った。

「こいつで間違えないか?」

鋭い目つきの男は、ぶっきら棒に貴女に問う。

「ええ、彼で間違えない。」

貴女は微笑み、満足そうに青年に答えた。

「金は?」

「いつも通りよ。」

「分かった。」

そういうと、男はこの場を去った。

再度、貴女は私を見て言った。

「今日から貴男は、わたしの夫になるの。」


ふと、目が覚める。

昔の記憶の夢か…。

あの頃は、まだ私の方が背が低かった。

今も変わらぬ、穏やかで美しい、魅惑な貴女。

今日も、貴女は私のとなりにいる。







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