「見事に、憚られたな。」
我(わたし)は、左手で目元を覆い、苦笑した。
皆、呆然と立ちすくむ。
それは、あまりにも突然訪れた。
「王弟が謀反を起こし、国が派遣した討伐軍により、敗死した。
謀反に加担したものは、皆、斬死された。」と、いうものだった。
王弟、それは……我ら腹心が忠義を尽くしてきた、主君だった。
主君が謀反を起こそうと考えている事すら、我ら腹心は知らなかった。
我ら腹心から見た主君は、そんな……お方では無かった。
兄君たる王を支えるため、日々、努力を重ねられていた方だった。
政敵など、両手では数え切れない。
しかし、裏で糸を引く人物には、検討がついた。
そして、主君は……その人物の政の手腕で敗れたのだった。
3/17/2024, 11:07:49 AM