銀の瞳、淡いうす茶色の髪、整った東欧の顔立ち。
俗にいう、美青年であった。
彼の雰囲気は、なんと言えば良いのだろう。
どこか儚げで……そう、本当に生気が無かった。
虚空を纏っているような……人間離れした雰囲気だった。
死神がいたならば、きっと彼のようなのだろう。
実際、彼は処刑人だった。
処刑ならば、大人だろうと…子どもだろうと、平然と殺せる人間だった。
いつからか、高額な暗殺にまで手を染めるように成っていた。
だから、彼はこんなふうに成った。
人間らしさの欠片も、彼は失ってしまった。
だから、人々は彼をこう呼んだ。
『死神』と。
なんと、馬鹿らしいのだろう。
己のことながら、そう思う。
気が付いた時には、もう……何も遺っていなかった。
気が付いた時には、かつての私は何処にも居なかった。
3/23/2024, 1:59:26 AM