kiliu yoa

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2/20/2024, 11:13:12 AM

目を瞑り、微笑む。

高貴な血筋と家格を有する、氏族の嫡流にして本家嫡男として振る舞う。

この時ほど、自我が不要な時は無い。

礼儀正しく、愛想良く、上品で紳士的な所作を……念の為、意識する。

優しく微笑んでいながら、鋭く冷たい目をする。

お偉い方々に丁寧な挨拶とちょっとした雑談をする。

○家の嫡流には妙齢な娘が居る、●家と□家が婚姻した、

▽家が没落した、■家は〜派に移った、などなど様々な情報が行き交う。

パーティは、政の戦場。

ここから、国や経済が動く。

我が一族の努めは、至って明確だ。

ただ、勢力のバランスを保てるよう、手を回し、引き際を見極めるのみ。

今の世は、動きが激しい。

ならば、その動きに寄せ、立ち回るのみだ。


友人と目が合う。

いつもとは全く異なる表情、ひどく冷たい目をしている我(わたし)を見て、

彼は、なんと思うのだろうか。



私は、彼ほど器用で天賦の才を有する人を見たことが無い。

そして、彼ほど自我を殺すことに長けた人を、未だ見たことが無い。

同じ氏族の傍流の宗家嫡男として、これから彼に仕える者として、

彼に同情する。

嗚呼、その姿は、まるでかつての私を見ているよう。













2/19/2024, 10:12:08 AM

クシャ、カシャ……枯れ葉の上を歩くたびに音がなる。

枯れ葉の層は、やがて土に還り、土の養分となるらしい。

その光景を見たことが無い、幼い私はその事実が信じられなかったっけ…。


自然は、めぐる。

だからこそ、美しい。

2/16/2024, 6:17:26 AM

弱さは、強さだ。

その己の恥とも思える、弱さを受け入れ、認めよ。

その弱さが強さに転ずることを信じ、己なりに努めよ。

然れば、己に多くの宝を齎らさん。


個人を生まれや権威などで判断するな。

やがて、我(わたし)右腕となる者が現れる。

その者は卑賎の生まれながら、優れた知性と品性を持ち併せ、

初めて、我を見事に言い負かして見せた男だ。

権威、血筋、富に目を眩ませてはならぬ、個人の本質を見よ。

そして、常に多くの視点、多くの人間の意見を取り入れ、

個人を過信しすぎず、過小しすぎず、己を含め評価せよ。

然れば、事実と感覚の解離を紛うこと無かれ。










2/9/2024, 4:43:36 PM

花は、美しく咲き誇る。

だからこそ、よわった心を癒やし、よわった心に元気を与える。

最愛の貴男に咲き誇る、美しき花々を贈る。

大切な貴男に、たくさんの愛情とたくさんの祈りを込めて。

どうか、少しでも多く、貴男の体調が良好な日々が在りますように…と。

どうか、少しでも多く、貴男とともに生きられますように…と。

年に一度、貴男を想う気持ちと感謝の気持ちを…貴男に贈ります。



2/5/2024, 2:56:04 PM

「あなた……、愛しきあなた。」

私の頬は、紅く染まる。

「どうしたの、聴こえているよ。」

出来る限り、冷静に返事をする。

「あなたのもとに嫁げて、本当に幸せだったわ。

 わたしを愛してくれて、本当にありがとう。」

貴女に強く、抱きしめられる。

「礼を言うのは、こちらの方だ。

 私も貴女と過ごす日々は、本当に幸せだった。

 私を愛してくれて、本当にありがとう。」

私も、強く抱きしめ返す。


嗚呼、もう別れか。

婚姻する前から、聞いていた。

しかし、予想より……ずっと早かった。

ただ、それだけ。

溢れそうになる涙をぐっと堪え、優しく微笑む。


貴女を見送る、その時まで……

貴女が好きだと言ってくれた、笑顔で居たいから。












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