「あなた……、愛しきあなた。」
私の頬は、紅く染まる。
「どうしたの、聴こえているよ。」
出来る限り、冷静に返事をする。
「あなたのもとに嫁げて、本当に幸せだったわ。
わたしを愛してくれて、本当にありがとう。」
貴女に強く、抱きしめられる。
「礼を言うのは、こちらの方だ。
私も貴女と過ごす日々は、本当に幸せだった。
私を愛してくれて、本当にありがとう。」
私も、強く抱きしめ返す。
嗚呼、もう別れか。
婚姻する前から、聞いていた。
しかし、予想より……ずっと早かった。
ただ、それだけ。
溢れそうになる涙をぐっと堪え、優しく微笑む。
貴女を見送る、その時まで……
貴女が好きだと言ってくれた、笑顔で居たいから。
2/5/2024, 2:56:04 PM