kiliu yoa

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12/27/2023, 9:58:39 AM

変化とは、水のようである。

ある時は、波のように。

ある時は、雨のように。

時には全てを奪い、時には全てを恵む。

どんな薬も度が過ぎれば、毒となる。

流れに呑まれれば滅び、流れに乗れば栄えを生む。

それは、大いなる自然の理の縮図のように感じた。

12/25/2023, 12:41:14 PM

今日は、母上が帰ってくる。

母上は、仕事の関係で家になかなか帰れない。

だから、今日は嬉しい。

家族で一番に母上に迎えたくて、玄関の前に立つ。

「若様、冷えますから…こちらを着て下さい。」

執事がコートを渡してくれた。

「ありがとう。」

私はコートを羽織る。



ガチャ

玄関ドアの鍵が開く音がして、玄関ドアが開く。

「母上、おかえりなさい。」

「ただいま、わたしの世界一の宝物!」

ギュッと、抱きしめられる。

頭にキスをされ、もう一度強く抱きしめられる。

其れが嬉しくて、嬉しくて、堪らなかった。

この時を過ぎれば、もう母上を独り占め出来なくなる。

だから、この時を噛み締めた。

可愛い弟たちと可愛い妹たちに母上を譲れるように。

「母上、大好きだよ。」

「わたしも、大好きよ。」

そして、最後にもう一度だけ母上を強く抱きしめた。




12/24/2023, 2:19:51 PM

豪華さや豪勢さの無い、エメラルドグリーンで統一された邸宅。

そこに置かれる、最高品質の高尚な品々。

この邸宅に住まう家主は、家格、才能、容姿、富etc……、

恐らく、誰もが一度は欲すものを若くして、全て有した男だ。

今日は年に一度の多くの家族が集う、特別な日。

本来なら、誰もが今日を待ち遠しむに違いない。

しかし、彼ら家族は違った。

彼ら家族には、ある重大な欠陥が在った。

それは、おおよその家族なら存在する、

家族愛などの情を、互いに、全く抱いていない事で在る。



玄関の来客を知らせる、ベルが鳴る。

この邸宅に住まう男は、笑顔で家族を歓迎するふりをする。

そして、この邸宅を訪れた彼ら家族も、又、笑顔で歓迎されるふりをする。

なんとも芝居がかった、滑稽で空虚な家族なのだろう。



『平凡で家族愛のある人生』

or

『若くして多くを有しながらも、家族愛が欠陥した人生』

あなたなら、どちらの人生を選ぶ?



























12/22/2023, 11:46:21 AM

ゆずが香る、美しい季節と成りました。

あなたが現世を去った、あの日もこの香りが色濃く漂っていましたね。

この爽やかなゆずの香りを嗅ぐと、今でも昨日の事のように、

あなたのことを思い出します。

あなたが宝と称された、あの方は思し召した通り、

竹のように靭やかに 睡蓮のように泥の中でも咲く花へ 

と、見事に成られました。

凛々しく、美しく、聡い、そのお姿はあなたを彷彿とさせます。

あなたの成せなかったことを、形にされることに尽力されて居りますゆえ、

安心してお過ごし下さい。


手紙を封筒に入れ、蝋を垂らし、封をする。

そして、その封筒を明かりの火に掛けて燃やす。

これで、彼岸にも届くでしょう。

どうか、これからもあの方を見守って居てください。

そして、どうか、彼岸ではあなたらしく、穏やかな日々を過ごせますように。






12/21/2023, 11:38:23 AM

走って、走って、逃げて、逃げて……。

何に追われているか、私には分からない。

直感が警告する。

これに捕まっては成らぬと……。

無我夢中になって廊下を走り抜ける。

角を曲がった先には、モルタル調の部屋が広がっていた。

大きな白枠のすりガラスの窓から、光が差していた。

私は、その白く差す光の美しさに立ち尽くした。

何故かは、分からない。

いつもは、こんなことには目もくれないはずなのに。

この時は、とても惹きつけられた。

あっ、見つかった。

逃げなくては……。

この部屋のドアは、一つしか無かった。

気が動転し、私は血迷った。

逃げたい一心で、窓へ一直線に走った。

窓ガラスを突き破る。

すりガラスは、粉々に砕け散った。

下を見ると、森の木々が見えた。

落ちる。

そう、思った時だった。

無意識に両腕で羽ばたいていた。

両腕から白い羽が生え、翼に変わっていた。

後ろを振り返る、私を追う、

何かは私を見上げ、立ち止まった。

無我夢中に成って、上へ、上へ、上り、飛んでいた。


上空から見る 海沿いの町は小さく、

ダムから流れる水は 涼しい風を運び、

豊かな森からは、様々な鳥の鳴き声が聞こえた。


嗚呼、空を飛ぶことは こんなにも気持ちいい。

私を追うものは、もう私を追ってこない。

それは、とても自由だった。

そして、色々なものがよく見えた。

世界とは、こんなにも美しいものだった。

色々な地を放浪し、色々なモノたちに出逢った。

それは、刺激に満ち、感動的なとても幸せな日々だった。

しかし、その日々は とても孤独だった。















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