kiliu yoa

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11/12/2023, 2:05:58 PM

美しい人は、皆、好きだ。

綺麗な人は多いが、美しい人は少ないと思う。

美しい人は、皆、心の礎がある。

苦しみに翻弄されても、未来を、生き抜くことを、諦めない。

苦しみを、乗り越えた人は、皆、本当に美しい。

私が思う…美しい人は、皆、過去に苦しみを乗り越えた先の人だった。

誰よりも、美しい。

いつか、そう言われてみたいし、言いたい言葉だ。

まぁ、こう思う…うちは、言われないだろうけど。

もう、苦しみなんて御免だ。

私は、今、苦しみを乗り越える、最中だ。

きっと、大抵の人は、そうなのだろう。

大抵、皆、何かと戦っている。

そう思うと、何だか、嫌な気持ちになった。

まるで、私は特別で無いと言われたみたいに…。

いつか、その言葉を受け入れられたらな。

きっと、その言葉を受け入れられる時には、

その苦しみを越えられているのだろうか。












11/9/2023, 11:14:06 AM

貴様に、何が分かる。

明るく、軽い冗談みたいに義兄に言われた。

どこか、闇と重みが垣間見えた言葉だった。

義兄と私の生きてきた道が異なったことを……、

義兄と私では背負ってきたものの重みが異なったことを……、

義兄から突き付けられ、この時、初めて気が付いたのであった。


















11/5/2023, 11:22:18 AM

『希望とは、なんと都合の良い言葉だろう。』

内心、わたしはそう思う。

「貴女は、私の希望だ。」と、男に口説かれた。

わたしは、希望の言葉が嫌いだ。

でも「ふふふ、ありがとう。」と、聖母のような眼差しと微笑みを返す。

そうすると、大抵の男は赤面する。

チェス盤に駒が増えた。

そう思えば、どんな不快な気持ちも殺すことが出来る。

皮肉にも、わたしの名に篭められた意味は『希望』だった。

綺麗な容姿だけが取り柄の、仕返しの出来ない、怯えることしか出来ない、

母のような女に、わたしは成らない。

あくまでも、主導権を他者には委ねない。

希望など、無責任に託さないで欲しい。

もう、いや。

もう、生きるのに疲れた。

だから、死ぬまえに最も接点の無かった異母妹をピクニックに誘ってみた。

厳密には異母妹では無い、長兄のお気に入りの彼女と話してみたかった。

彼女は、わたしのはなしを時々頷きながら、静かに聴いてくれた。

彼女は、そよ風みたいな人だった。

涼しくて、優しくて、穏やかな雰囲気を纏っていた。

だから、だろう。

今まで誰にも話さなかったことまで、口から出ていた。

自分を殺すことに疲れた、と。

いつまで生きればいいのだろうか、と。

そしたら、彼女は何て言ったとおもう?

「そうか。」

この一言だけだった。

でも、何故か、鼻の奥がツンとして、堪えようとしたのに、

瞼から涙が零れ、頬をつたい、流れた。

この一言には、言葉では表しきれない、彼女の『なにか』を感じた。

気づいたら、彼女はわたしの背後に回り、背をを向けて座っていた。

その気遣いが、なによりも嬉しくて……、また、涙が零れた。

ありのままのわたしを、受け入れてくれる人が居た。

ああ……やっと、分かった。

少し、明るい未来を信じよう。と、思えた。

たぶん、これが、きっと、『希望』なのだろう。















11/2/2023, 3:40:19 PM

金髪碧眼、それは彼ら一族を象徴する、

王家に準ずる家格と貴き血筋を顕わしている。

稀代の名君と云われる、ノース、北の主君。

それが彼の肩書。

わたしの隣で眠る人は、貴き血筋のもとに生まれた人。

強く成るしか、早く大人に成るしか、生きることを許されなかった人。

たった一人で多くの業を背負い、たった一人で多くの命を背負う、

主君としての並外れた技量と天賦の才を有する人。

多くの女たちを魅了し、多くの女たちを泣かせ、多くの女たちに依存する、

矛盾を抱える、弱き人。

わたしは、あなたの妻。

わたしは、決してあなたに魅了されない。

わたしは、決してあなたに泣かされない。

わたしは、決してあなたに依存させない。


強くない、男らしくない、ありのままの、弱きあなたを

受け入れ、支え、見守る。

それが、わたしに出来る、あなたの妻としての役目。

見返りなんて、いらない。

なんでって?

あなたを、心から、なによりも愛しているから。




10/30/2023, 1:28:55 PM

若き美しい青年は、故郷の処刑台に立たされる。

今世紀、彼は最も重い罪を犯したと報じられた。

「イースト、東の主君よ、最期に言い遺すことは在るか?」

見物に訪れた民衆の中には、すでに涙を流す者がちらほら居た。

「この地に暮らす人々よ、どうか、この愛する…美しい故郷を頼みます。
 
 そして、これだけは忘れないでほしい。

 この地を統治できて、私は本当に幸せだった。今まで、有難う。」

 彼は、穏やかな優しい笑顔で……そう言った。

 その直後のことである。

 民衆の一人が、声を上げた。

「その人を、殺すな!」

「その人は、この地をずっと守ってくれたのよ!」

「いつも、わたしたち民の声に耳を傾けてくれた!」

「やっぱり、おかしい!何故、名君が殺されなきゃいけないんだ。」

「静粛に!」

「「「そうだ!」」」
「「「そうよ!」」」

多くの民衆が、声を上げた。

裁判官が声を荒げても、民衆は怯むどころか、反旗の声は増すばかり。

裁判官たちは、この時、気が付いた。

この地の民衆には、彼が必要不可欠だと……。

何よりも民を優先する、名君だったことを……。

「処刑を中止する!」

 一人の裁判官が、そう叫ぶ。

「貴様、正気か!何を言っている!本国を裏切る気か!」

 別の裁判官が、激怒した。

「ああ、そうさ!この度の件の責は、全て私が取る!」

 あの、一人の裁判官が、そう宣言した。


 イースト、東の主君。

 彼は、後に歴史に名を刻む。

 未来の多くの人々に愛され、受け継がれる……名君と成った。





 









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