kiliu yoa

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9/27/2023, 1:06:12 PM

   天から、雫が落ちてくる。

   まだ雨足は弱く…傘を差すのを、ちと…躊躇った。

   土は多くの水を含み、道が泥々していた。

   卸したての靴には、多くの水気を含んだ…砂利と泥がへばり付く。

   高値を叩いた靴に傷が付き、汚れると思うと…何気に落ち込んだ。

   水は、大地を潤し…豊かにする。

   大地が豊かに成れば、戦は起きにくい。

   戦が起きなければ、その地の住人は…故郷を追われない。

   土地を追われ無ければ、物盗りに成らずとも…生活することが出来る。

   物盗りが減れば、その地は…治安が良く為る。

   治安が良くなれば、その地は経済的に豊かになる。
 
   経済的に豊かに成れば、その地は発展する。

 だから、少し靴や裾が泥で汚れたぐらいで、機嫌を悪くしたくないものだ。

   まあ、それは…もう少し先のことに成りそうだ。

   どうやら、和多志が大人になれるのは、もう少し先らしい。

   いつかは、ちょっとした災難も笑い飛ばせたらなと思った。

  

   



   
   

9/25/2023, 10:21:04 AM

 鳥のように成りたい。
 
 自由に、大空を統べる鳥のように。

 賢く、力強く、優雅に羽ばたく、鳥のように。

 鳥だったら、足枷が在ろうとも、遠くへ行ける。

 鳥だったら、なにものにも、縛られない。

 

 鳥には、鳥の世界が在る。

 きっと、私の思うような世界では……無いのだろうな。

 正直、羨ましい。

 何よりも、自由で居られることが……。

 浅ましいことは、わかっている。

 自由とは、それだけ多くを背負う。

 だから、身軽とは訳が違う。

 

 もし、生き方を選べたなら………。

 一度だけ、鳥のように………自由で美しく、鮮烈に生きたいものである。

 


 

 

 
 

 

9/24/2023, 3:58:28 PM

  繋がり、縁、etc……

 女は、それらが何よりも、嫌いだった。

 なにせ、それらに常に振り回されてきたからだ。

 ただ、生きているだけ。ただ、少々他者より秀でたものがあるだけ。

 それだけで、命を狙われた。

 だから、努めた。自分の持つ、全てを……。嫌っていた、それらまでも。

 
 しかし、それはもう……『わたし』では無かった。 

 動物を愛していた…、民を愛していた…、親しき人々を愛していた…、

 この国を愛して……やまなかった、

 『わたし』は、もう……居なかった。


 そこに居たのは、……薬を手放せない、常に仮面を被り……役を演じ続け

 ……他者の隙に漬け込み、他者を操り、利用し、切り捨て続けた、

 空虚で、哀れで、滑稽な女だった。


 そして、気付いた。

 わたしの器では……、わたしのような者は……、

 この地位は……、この権力は……、持たぬ方が良いことを……。

 このように、成り果てた。

 それは、何よりの証拠だと云うことを。

 だから、愛しき……あの子に譲ろうと思った。

 あの子なら、きっと……大丈夫。

 あの子なら、この地位を……、この資産を……、この権力を……、

 わたしの名を……、わたしの全てを……、有するに相応しい。

 私とは違い、あの子は芯がある。

 竹のように靭やかで、睡蓮のように泥の中でも咲き誇れる。

 そんな人に、きっと成れるだろう。
 
 
 

 

 

9/18/2023, 2:45:14 PM

 暗闇が怖かった。 
 
 日が暮れるのが恐ろしくて……、一時期は夜に寝つけぬほどだった。

 恥ずかしながら、今でもやはり一人だけの夜は怖い。

 ただ、昔から冬の夜の空は好きだった。

 幼い頃、いつも母に車で迎えに来てもらっていた。

 その時間帯の冬は、もう訪うに日が暮れ、辺りは夜のように暗かった。

 駐車場から家までの少し歩く距離の道。

 空を、見上げる。

 其処には、ネオンブルーのアパタイトが細かく砕け、

 金青色の夜空、いっぱいに散らばり……輝く、数多の星。

 その光景は、冬の厳しい寒さを忘れるほどに、脳裏に深く焼き付くほどに、

 鮮烈で、美しかった。

 

 




 

 

 

9/13/2023, 10:50:37 AM

 目が覚めて、香を焚く。わたしの好きな香りをこの部屋に焚き染める。

 此の人は、とても寂しがり。

 此の人は、わたしと一緒に朝を迎えたい。

 でも、其れは叶えられない。

 此の人は、わたしを初めて守ってくれた人。

 此の人は、わたしを初めて…心から愛してくれた人。
 
 此の人は、わたしを初めて抱いた人。

 わたしは、貴方を愛してる。でも、貴方と一緒には成れない。

 もうすぐ、わたしは嫁ぐ。決められた相手のもとへ……。
 
 さようなら、これで貴方とはお別れ。
 
 じゃあね、愛しの貴方。

 『愛してるわ。』

 

 
 

 

 

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