名無し

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8/10/2024, 1:29:47 PM

終点

夏祭りの帰り、夕方、電車に揺れる君と僕。
そして君の終点駅。
じゃあね、
と笑顔で言う君の顔。
きっと君は寂しいなんて微塵も思っていないだろうな
僕だけが寂しいと思っているなんて、
それこそもっと寂しい。
僕は、寂しい気持ちを抑えて、
家まで送っていこうか?と言う。
大丈夫、
と断った君。
何も言えないまま電車のドアは閉まる。
あそこで送って行けば、君ともう少し居られたのに。
残るのは、後悔と、君の浴衣姿。
家に帰るまでが長く感じた。
想い人が居る君を無理に誘ったのは僕だった。
それなのに、浴衣まで着てきてくれて。
本当に優しいな。
だから甘えてしまうのに。
期待してしまうのに。
夢でもまた、君と祭りに行けるといいな

今度は恋人として。

8/8/2024, 2:48:38 PM

蝶よ花よ

貴方は蝶よ花よと私を扱ってくれて、
誰よりも、世界一、宇宙一、私を愛してくれる。

そんな貴方が私は好き。
大好きなの。

会うたびに愛が増して、
会えなくても愛は増してく一方で。

そんな事思っていた頃が懐かしい気がする。

貴方が会えなくても、私はいつでも会えるのにね。
何で会えないか。
私はそんなこと聞けなかった、怖かったから。
都合のいい女でありたくなかったから、
都合のいい時だけ呼び出してくる関係が。

でもどんどん泥沼にはまって動けなくなっていく。
そんなの自分でも分かっていた。
だからこそ、早いうちに別れたかった。
だけど、別れを切り出そうとしても切り出せなかった。

だって、怖かったから。

自己中なのかもしれない。
都合のいい時だけ会うのも、
きっと私が都合のいい女だからなのかもしれない。
それでもいい。

もっと早く別れればよかった。

この世に自己中以外の愛があるの?
それなら教えて欲しかった。

これから、
ピアノの調律が狂っていくように、
貴方との関係も狂っていくなんて夢にも思わなかった。

8/6/2024, 3:25:35 PM

太陽

太陽が登って、
そして沈む。

夜が明けて、
そしてまた夜がやってくる。

帰ったら君がおかえりと言って、
俺がただいま、と言う。

こんな事、当たり前でしかない
当たり前であり、日常であり。

そう思っていたのに、
現に今、ただいま。と言って返ってくる言葉はない。
君が居ない部屋なんて、ずっと夜みたいに暗くて。

今思えば、
君が出迎えてくれるのも、
君が朝起こしてくれるのも、
君が料理を作ってくれるのも、
ちっぽけなように思えてたことも、
全部全部、奇跡のようなものだったのかもしれない。

そうは思っても君は帰ってこない。
俺は、誰もいない暗い部屋にごめん、と零した。

でも、返ってくる言葉はもうなかった。




8/5/2024, 1:17:50 PM

鐘の音

鐘の音が僕を起こす。
それが毎朝の習慣。

鐘の音が鳴り止む、
そうすると、君はいつも窓から顔を出す。
「リンッ」
鈴の音がする。
それを合図に挨拶をする。
「おはよう」





8/4/2024, 2:32:05 PM

つまらないことでも

「つまらないことでも、地道にやって行けば、必ず成功するんだよ。お母さんは見てるからね」
8歳の時に母さんが言ってくれた言葉、母さんは覚えてるかな。
ずっと会いにこれなくてごめん。
今、俺はずっと夢だった教師になったよ。
子供たちは皆良い子でさ。
母さんが言ってくれた言葉がなかったら、今の俺はないよ。ありがとう。
それに、俺結婚したんだ。息子も産まれた。お義母さんもお義父さんも優しい人でさ、
俺毎日が幸せなんだ。
なのに、なんか涙が出てくるんだよ
母さんが死んでからもう何十年も経ってるのに
おかしいだろ?
ごめん、子供が呼んでる、また近々会いに来るよ
母さん。









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