名無し

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太陽

太陽が登って、
そして沈む。

夜が明けて、
そしてまた夜がやってくる。

帰ったら君がおかえりと言って、
俺がただいま、と言う。

こんな事、当たり前でしかない
当たり前であり、日常であり。

そう思っていたのに、
現に今、ただいま。と言って返ってくる言葉はない。
君が居ない部屋なんて、ずっと夜みたいに暗くて。

今思えば、
君が出迎えてくれるのも、
君が朝起こしてくれるのも、
君が料理を作ってくれるのも、
ちっぽけなように思えてたことも、
全部全部、奇跡のようなものだったのかもしれない。

そうは思っても君は帰ってこない。
俺は、誰もいない暗い部屋にごめん、と零した。

でも、返ってくる言葉はもうなかった。




8/6/2024, 3:25:35 PM