終点
夏祭りの帰り、夕方、電車に揺れる君と僕。
そして君の終点駅。
じゃあね、
と笑顔で言う君の顔。
きっと君は寂しいなんて微塵も思っていないだろうな
僕だけが寂しいと思っているなんて、
それこそもっと寂しい。
僕は、寂しい気持ちを抑えて、
家まで送っていこうか?と言う。
大丈夫、
と断った君。
何も言えないまま電車のドアは閉まる。
あそこで送って行けば、君ともう少し居られたのに。
残るのは、後悔と、君の浴衣姿。
家に帰るまでが長く感じた。
想い人が居る君を無理に誘ったのは僕だった。
それなのに、浴衣まで着てきてくれて。
本当に優しいな。
だから甘えてしまうのに。
期待してしまうのに。
夢でもまた、君と祭りに行けるといいな
今度は恋人として。
8/10/2024, 1:29:47 PM