愚かしい、冬。
外気にあてられて
火照った頬もマトモになっていく。
ここの所、うまく眠れない。
手が細かに震え、集中も持たない。
寒くてかじかんでいる訳じゃない。
こうも意思に逆らうように振る舞う身体は、
人間は脳内物質の奴隷のような気さえする。
いくつ歳を重ねて。無為に浪費。
うっかりと死地に立たされたりもして。
それなのに大人が遠く感じるのはどうして。
体験が滑る。身につかない。冗長で間延び。
消耗品のように少し爆ぜて、それでお終い。
もう何年も会いに行っていない。
春になれば、気分もどうだろう。
#62『一年後』
ケタケタと笑うオルガンが
不思議なお茶会にいざなう。
いや、もう席についていた。
それなら盛り上げ上手な側面と。
目が合った、側面と。
わたくし事ながら鼻が高い。
あわててティーポットの底を覗く。
指揮の真似事をしている女がいた。
ふと見上げて、空に目が合う。
くすくす、と重なった笑い声。
あの子のものとは、また違う。
目の奥、耳の奥、歯の奥、鼻の奥。
甘いにおいを食べる。
声を見た、吐き戻したケーキ。
あなたの正しいは、貴方によってこわれた!
いかれたおれの頭をどうにか隠して。
あわよくば貰ってほしい。
#61『子供のままで』
うおー!あいらびゅー!
ぼくの詩をいいねしてくれる人!
心、病んでないー!?大丈夫ー!?
いつもありがとうー!
愛してるよー!
めっちゃ初対面のきみも!
下北でぶつかってきたおじも!
みんな大好きだよー!!!!!
……。
#60『愛を叫ぶ。』
摘まれて、行き場をなくした
手頃な遊び場でヤケドを負った
絡まる有線イヤホンが
抑圧する。痛みじゃないのに
動けないと自らを窘めるように
悶々として、熱くなって、引きちぎれて
そっと顎に触れられて、上向き
持っていかれた口吻、コーフン坑夫(1908)
前後不覚表裏一体アザミ野糖足らん口車
採取で、そうして船首からもたげて
抓まれた私、恣意死に、ハハ。
シ、シシシ、詩、四肢
#59『モンシロチョウ』
分かたれた夜でないて
肺胞が憶えていて苛立たしい
きみの名前を呼ぶ時の息の使い方
消えたくて、それでも
荒廃した、砂漠で、砂金のひと粒
ありえないって分かっていて
それでもこのよにしがみつく
射幸心がだらだら
まて、をされて永遠解かれないね
無窮狂うバケモノになっちまうよ
#58『忘れられない、いつまでも。』