「ねぇ好きだよ」
「あぁ...ありがとう」
「あなたは私と同じ気持ち?」
「同じ気持ちだが付き合えない」
「え?なんで?」
「身分が違うだろ?」
「...そうだね」
ほんとに困ってしまう
俺と彼女は執事と主の関係なのに。
俺は彼女を守ることが仕事
毎日毎日体は鍛えているのに
心は日に日に弱くなっている
彼女に執事以上の気持ちを
持ってしまったからだろうか。
たまに考える。
彼女を守ることが出来なかったら
俺はこの先どうしたらいいのか。
きっと世界には色が無くなるだろう。
そんなことを考えていると俺の名前を呼ぶ彼女がいた。
「ねぇ,街に行きたい。」
「なんで俺と街に行きたかったんですか?」
「最近悲しい顔してるから息抜きに
...迷惑だった?」
「いえ,心配してくれてありがとうございます。」
心が日に日に弱くなっているのは
彼女が俺たちを優しく
ただの駒として使うのではなく
1人の人として見てくれて
誰よりもたくさんの愛を優しさをくれるから。
その代わり俺は
俺の命が尽きるまで彼女を守ることを誓います。
─────『優しさ』
今日も理不尽に怒られてクタクタ。
家に帰ってもやることがあるなんてもう体は動かない。
何時間も私はその場に座っていた。
ふと時計を見る。
もう時計は23時を回っていた。
私が帰ってきてから何回長針が12を回ったのか。
私には分からない。
急がないとあと1時間で始まる!!
急いでシャワーを浴びて髪も乾かしてスキンケアも
しっかりして時計を見た。
良かったあと5分で始まるところだった。
お酒を準備して5分を待つ。
今夜は星が綺麗だった。
やっぱり真夜中は静かになる。
「...あっ始まった。」
「こんばんは〜」
「みんなこんなに遅くまで起きてていいの?」
「声好き?えっホントにありがとう!!」
「今日はね少しお酒も飲んでるよ。」
星が輝くミッドナイトに
私は本当の私に変わる
星が輝くことが私の配信の切符
明日の夜は星が輝くだろうか?
─────『ミッドナイト』
彼といると落ち着くの
何していても彼はいつもそばに居てくれて
彼が飲み物を取りに行った時
戻ってくると彼は
私のマグカップを持って私の前にそっと置いてくれる
「ありがとう」
「どういたしまして」
お礼を言うと彼は笑って愛おしそうに私を見ていた。
その後は各自で好きな事をやった。
私は,読書やSNSのチェック。
彼は,ゲームや動画鑑賞。
もちろん2人で話したり,遊んだり
お互いが満足するまでずっと一緒にいる空間が
今の私にとって1番安心できる
心地よい場所になっていた。
でも時々この関係に
いつかは終わりが来てしまうことに
不安を覚える。
「ねぇ,いつになっても捨てないでね」
「捨てる?何を」
「私を」
「捨てる?君を?捨てないんだけど。」
「もしかして...不安になっちゃった?」
「少しだけ」
「大丈夫,大丈夫。捨てるなんてしないよ。
俺は君が好きだよ。」
「私も好きだよ」
「ほら,お互い好きなんだよ。だから大丈夫。」
「...うん。」
心配そうな彼の顔を見ていたくなくて
顔を下に向けた。
彼はそっと私の唇にキスを落とした。
「えっ?」
突然のキスに驚いた。
「ストレートに行動に移そうかなって。
今の俺にできる最大の愛情表現だよ。」
そんな言葉を口にする
少し恥ずかしそうに言う彼は
いつも私を不安という鎖から解いてくれる。
いつも私をふわふわで柔らかい大きなタオルを広げて
どんな私も受け止めてくれる。
私に大きくてて温かい安心をくれる。
「離れたくないよ」
「うん。離さないよ。」
「いつもありがとう。」
「ううん。俺もありがとう。」
こんな私だけど飽きないで
嫌いにならないで
捨てないで
俺は彼女を捨てたり
嫌いになるなんてしない。
この先どんなことで不安になるかわかんない
この先どんなことで不安にさせるか分からない
でも彼はいつも私に安心と温かさをくれる
でも俺はいつも君に安心感と温かさをあげてるつもり
「「嫌いになるなんて有り得ない」」
「俺は」
「私は」
「「貴方が呆れるほど君に愛を伝えるよ。」」
─────『安心と不安』
とある写真を見つけた。
それは逆光の写真。
色がないのにストーリーがあるような写真だった。
撮影者は写真家らしい。
その人は逆光の写真しか撮ってない。
なぜかは分からないけど
逆光に照らされて
人や建物全てが黒く塗りつぶされているのが
いいなって思った。
その人は質問募集してるらしい。
「なんで逆光の写真しか撮らないんですか?」
疑問に思って送った。
「質問ありがとうございます。
なんで逆光の写真しか撮らないんですか?
色が沢山入ると下手になっちゃうんです。
苦手だから逆光の写真しか撮ってないです。
勉強中です。」
とても丁寧に質問返しをしてくれて
丁寧な人だと思った。
自分はいつの間にか
顔も声も知らないあなたに心を惹かれたみたい。
あなたが撮る写真。
あなたが丁寧に答える質問。が
私には魅力的に見えて
いつか逆光の写真じゃない写真も見れるといいな。
なんて思ってしまう。
逆光すらも綺麗に見せるあなたも
きっと同じくらい美しいんだろう
─────『逆光』
「先輩!聞いてください」
元気な彼女の声はよく頭に通る声だ
「はいはい何?」
僕はクラスで目立つ方では無いのに
彼女のせいで少し目立つようになってしまった。
面識のない彼女から告白されたのが始まりだった。
「好きです。」
「...ごめん。誰?」
今思うと最悪な返事だと思う。
でもあの日から彼女は僕を見つけると
必ず話しかけてくるようになった。
「今日見た夢が最高すぎたんです。」
「ヘぇーそうなんだ」
「はい!!先輩が結婚式に呼んでくれて
タキシード着てる姿を見る夢でした!
先輩がかっこよくて
幸せになるこんな夢を見ました!」
「俺のタキシードお前が最初に見るんだと思ってた。」小さな声でつぶやく僕の声を聞いたのか
赤くした顔が僕をずっと見ていた。
「付き合ってくれるんですか?」
「あっ。...まだ付き合わない。」
「え?なんでですか!
...今度は先輩と私で結婚式をあげる夢をみますね!!」
これが夢じゃなくて現実になるまで
先輩と私の未来の夢を見ていようかなぁ
─────『こんな夢を見た』