茶園

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2/23/2023, 3:31:49 PM

空想遊話 『謎の列車』
※凄く長いです。

 眠たいのに、なぜか外に出ていた。
 意味もなく、目的もなく。
 なぜか、駅の方へ歩こうとしていた。
 特に意識している訳でもなく。

 あっという間に駅に着いた。ぼーっとしながら歩くと、時間も距離も短く感じる。
 この真夜中、終電は終わっているから来ても意味ないと思っていたのだが、
 なぜか電車が止まっていた。
 しかも、見覚えのない電車。淡く蛍光のように光る紫一色の列車。これは何鉄なのだろう。
 行き先を見てみたが、何も書かれていない。
 なのに車内は電気が点いていて、乗り場に面するドアは全部開いている。
 明らかに怪しいが、取り敢えず乗った。

 中には、乗客が二人いた。サラリーマンの男と、若い金髪の女性。ドアが閉まる音がした。

 電車の進むスピードは異常に遅かった。自転車くらいかもしれない。所々徒歩レベルのところもあった。

 他の乗客から遠い端の席に座って寝ていたが、サラリーマンの男の声で目が覚めた。
 「あんた…ここ乗るの初めてかい?」
 男は目の前に立っていた。いきなりだったので思わず肩がすくんだ。
 「え…そ、そうですが…」
 「そうか…てことはあんたも選ばれたんだな…古代の賢者に。いや、試されてるといった方が正しいかな?」
 「??」全く理解不能だ。若干お酒の匂いがする。きっと酔っているのだ、この人は。
 「いや、気にしなくていいよ、直に分かる」
 この人は過去に何回か乗ったことがあるのか?
 きこうとしたが、男は颯爽と元の席に戻って行った。
 金髪の女性はニヤニヤしてこちらを見ている。怖くなってきた。

 電車は長旅であった。長く感じただけかもしれないが。どこに向かっているのか、どこまで行くのか分からない中、ようやくアナウンスが鳴り響いた。
 《ショウヨウ~ショウヨウです》
 勿論、聞いたことがない地名。路線図にもそんな駅はない。ドアはパニックになりそうな自分をよそに、開いた。
 他乗客二人は電車を降りていった。足が弾んでいるようにも見えた。
 電車は発車しない。ドアは開いたまま。降りるのは怖いが、他にどうすればいいか分からず、降りた。

 しかし、外は意外と明るかった。辺り一面森だが、木の幹や地面のそこかしこに何か光っているものがあった。
 近くで見ると、それは…宝石のように価値のあるものだった。触れた途端、眠気は一気に吹き飛んだ。そして、頭の中に何かが降りてくる感覚を覚えた。正しく、それは自分の追い求めていたアイデアだった。
 歩いても歩いても、光はどんどん見つかり、新しい発見が次々と起こり、自分の世界は広がる一方であった。こんな経験は初めてである。
 同じ駅で降りた二人は奥でひっそりとその様子を見てはお互いの目を合わせては互いにVサインをした。

 その不思議な電車の旅を終えてからは、自分のライフスタイルは不思議と良くなり、仕事も捗るようになった。
 あれはいい旅だったんだなと今は思えるのだが、夢かどうかも良く分からず、あのサラリーマンの男が言った言葉はどういう意味なのかはまだ分からずであった。

2/18/2023, 8:55:55 AM

お気に入りについて

・お気に入りを見つけた途端、その人に電撃が走る。幸せの電撃が。お気に入りのものとの運命の出会いが起こったのだ。
 そんなお気に入りに何個も出会える人はとても幸せ者だ。それだけで人生はとてつもなく豊かになるであろう。
 また、お気に入りは見つけた人を救うこともある。気持ちを立て直せたり、悩みを解決するきっかけになったりもするので、素晴らしい存在である。

・自分に嫌気がさして好きなものを素直に好きと感じれなくなったとしても、好きなものは素直に好きと言い、大切にすべきだ。好きな気持ちを誤魔化したりしたら、自分の周りにはお気に入りのない寂しい世界しか広がらなくなるだろう。

・お気に入りに包まれた人は幸せで心が満たされ、生きる力が漲っている。もしかしたらお気に入りになるものたちは救世主として皆の元にやってきているのかもしれない。

2/13/2023, 9:30:39 AM

伝えたいことを形に

・バレンタインデーの前日だからか。このお題が出るのは。
 私はバレンタインデーは好きな人がいないから必然的に義理チョコとか友チョコとか自分へのチョコかになる。
 特に自分へのチョコは思いっきり自分の好きなものにしたい。一番贅沢なチョコを自分にプレゼントしてやるのだ。
 自分へのチョコは、自分への労いの気持ち、感謝の気持ち、自分を好きだと思う気持ちを伝えるためにある。好きなチョコをこだわって選んでいる時点でその気持ちがあると思うから。

・伝えたい気持ちがあるならば、チョコでなくてもいいと思う。花だとか言葉でも良い。相手の好きなものなら尚良いだろう。好きなものを貰ったら、相手は自分のことを分かってくれてると感じ、嬉しくなるものだから。

・これらを考えると、やはり伝えたいことは形にしなければならないのだろう。伝えなかったら、相手には伝わらずに終わってしまう。そうなればその後の後悔は大きい。それならばいっそ伝えてしまえ!

2/10/2023, 8:49:37 AM

短い小説 『花束』

 綺麗な花を数輪摘み、一つの花束を作った。
 花といえば赤色、青色、黄色、白色、紫色…。
 大体この5色であろう。この5色がバランス良く摘まれたものこそ見栄えが良さそうに見えるが、敢えて少し色に偏りをみせたほうが実は美しい。色も大きさも整っていないのが自然であって、ありのままの花なのだ。

 1本1本、一番良いと思う組み合わせ、配置、色合いを考えて花束を作る。花を買いに来た人たちに存分に幸せになってもらいたい。花を買いに来た人たちは、きっと、大事な目的があるだろうから。

 

2/6/2023, 10:13:25 AM

短い小説 『溢れる気持ち』

 うちの周りには、何かに一生懸命になりすぎてそのことしか頭にない者がいる。
 例えば、身体を鍛えるのに必死になりすぎて怪我しても筋トレやめない人。
 人に何かを教えるのに必死になりすぎてスパルタみたいになっている人。

 彼らは、気持ちが溢れすぎて爆発している。

 私も、気持ちが溢れることは多々ある。様々なことに。私はクールに見えて感情的だ。私は自分が出来ることを増やしてやりたいことをやりたいという気持ちが溢れている。その為か、出来なかったら悔しい気持ちでいっぱいになるし、出来たら嬉しい気持ちでいっぱいになる。
 昔はもっと感情的だった。何もできない自分が嫌すぎた。

 「おい?その程度しか出来ないのか??」
 昔の話だが、性格の良くない人がいた。その人はたくさんの人を殴ったり騙したり泣かせたりして周りから嫌われているが、本人は全くお構い無しという雰囲気だった。その人の暴走を止めようとしても歯が立たず、胸くそ悪い思いをしたこともあった。一発蹴ってやりたいが、上手く出来ないことに腹が立って仕方がなかった。
 その人は、今は引っ越したようだが…?


「…」
 何もない空間。外も中もなく、果てしなく虚無。そこで、一人うずくまっていた。殺風景過ぎる空間、そこにいる一人も、その空間に溶け込んでしまいそうであった。
 顔も体もやつれており、服もボロボロで、体も何年も洗ってないようだった。
 一人は涙を浮かべ、頭を抱え込んだ。何かに怯えるように手足が震える。
 “あの時何で人に優しくできなかったのだろう…”
 その人は取り返しのつかないことをしてしまったようだ。たくさんの人を悲しませた結果、世界から追い出されたのだ。
 後悔しても仕切れず、ひたすら後悔するしか出来ず、絶えず涙が溢れたのだった。

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